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会社法の見え方が変わる!?【会社法条文操作講義】中小企業の実務あるある編

こんにちは。
初の試み、博多での勉強会。
すでに御申込も受け付けており、現地参加及びオンライン参加いずれの御申込もいただいているところです。
有難うございます。

今日は、9月22日に開催予定の福岡勉強会で扱う講義のサンプルを公開します。

会社法が苦手になる理由

会社法は、苦手だと感じる方が多い科目です。
苦手になりがちな理由は、次のとおりかと存じます。
①一つの条文が長い。
②条文数が多い。
③各種手続きのイメージがわかない。

私は、「司法書士実務を10年以上経験した後に、予備試験と司法試験に合格し、法律系資格の講師業をしている。」という珍しめのキャリアを進んでおります。

司法書士が中小企業法務をするというイメージはあまりないかもしれません(顧問弁護士のイメージが強いかと思います)が、
中小企業法務と司法書士は非常に密接に関係しております。

司法書士は、法人登記のプロフェッショナルです。
設立、役員変更、本店移転、目的変更、種類株式の発行、増資、減資、組織再編、解散、清算結了などなど、会社の様々な場面で法的なサポートをしています。
私自身も、多数の中小企業の登記実務に携わってきました。

過去のキャリアを生かして、
会社法の条文が中小企業法務にどのように使われているのかを
予備試験、司法試験対策という視点に組み替えて説明していきます。

中小企業あるある事例をご紹介しながら、条文操作力を鍛えるような講座設計となっております。

99.7%は中小企業

会社というと大企業をイメージされるかもしれませんが、
日本の会社のほとんどは、中小企業です。

2021年6月1日時点の会社数
中小企業 336.5万者  [99.7%]
(中小企業のうち小規模事業者 285.3万者 [84.5%])
大企業 1万364者   [0.3%]
中小企業と大企業の合計 337.5万者

中小企業庁㏋https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chu_kigyocnt/2023/231213chukigyocnt.htmlより抜粋 



予備試験、司法試験、司法書士試験受験予定の方はもちろん、
「弁護士になって中小企業法務に携わりたい」という
司法試験結果待ちの方、司法修習生の方々にもおすすめです。
(実際に、博多勉強会では司法試験結果待ちの方々のお申込みもいただいております。)

講義サンプル

少しだけ講座の内容をご紹介したいと思います。

こちらが講座で使用するイラスト商業登記簿(会社の登記事項証明書)です。
あなたは、この会社の顧問の法律家です。
この会社からの相談に対応していきましょう。

【ご相談】
先生、実は、取締役のCさんが亡くなってしまいました。後任をどうするかを検討していますが、どうにも適任者が見つかりそうにありません。
このまま取締役会を置いておいてもいいのかも含めて社内で緊急会議をすることになったので、お手伝いいただけますか。
会議に先立って、機関設計について事前にわかるように資料をいただけると大変助かりますがいかがでしょうか?」

条文操作力を鍛えるためには、実際に条文をひく必要があります。
条文を引きながら説明してみてください。

解説編

では、解説をしていきます。

取締役Cは、死亡していますので、死亡の登記申請をする必要があります。

915条1項 
会社において第911条第3項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、2週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。

しかし、単純に取締役Cの死亡の登記申請をするだけでは足りません。

取締役会廃止

商業登記簿を確認してみてください。
この会社は、取締役会設置会社です。
取締役会設置会社は、3人以上の取締役を置く必要があります。

331条5項
取締役会設置会社においては、取締役は、3人以上でなければならない。

後任の取締役がいない場合、取締役会を廃止する必要がでてきます。


ここで商業登記簿を再度確認してみてください。
この会社の株式の譲渡制限に関する規定は、「当会社の株式を譲渡するには取締役会の承認を受けなければならない」となっています。
取締役会を廃止するのであれば、この文言も変更する必要があります。

監査役をどうするか


取締役会を廃止するのであれば、監査役を置く必要もなくなります。

327条2項
取締役会設置会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。ただし、公開会社でない会計参与設置会社については、この限りでない。

さきほど確認したとおり、この会社には株式の譲渡制限に関する規定があります。

2条柱書 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
5号 公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社をいう。

つまり、この会社は公開会社ではない会社ですね。

389条1項 
公開会社でない株式会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く。)は、第381条第1項の規定にかかわらず、その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。

公開会社ではない会社は、監査役の監査の範囲を会計に限定する旨の定めをすることができます。
そのため、この会社においては、監査役を会計限定監査役にすることもできるのです。

ちなみに会計限定監査役を設置する会社は、「会社法2条9号が定義する監査役設置会社」ではなくなります。

2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
9号 監査役設置会社 監査役を置く株式会社(その監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものを除く。)又はこの法律の規定により監査役を置かなければならない株式会社をいう。

いかがでしたでしょうか。
条文をサササッとひくことはできたでしょうか?

イラスト勉強法で記憶定着

実際の講義は、イラストを使いながら説明していきます。

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