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会社法をイメージで記憶する! 絶対的記載事項の新メンバー 1人会社設立物語 第4話
この物語は、「ゆや たろうさん」(架空人物)が一人会社(株主ゆやさんのみ、取締役ゆやさんのみ)を設立するという物語をとおして、条文をご紹介したり、解説したりしていくものです。
会社法に苦手意識のある方々のお役に立てれば嬉しいです。
会社法は、イメージをしたもの勝ちです。この物語をとおして、少しでも会社法のイメージを掴んでいただけると幸いです。
定款の絶対的記載事項に新たな仲間登場!?
ゆやさんは、引き続きせっせと定款を作成中です。
第2話では、会社法27条を確認しました。
ちょっと復習してみましょう。
第二十七条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店の所在地
四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 発起人の氏名又は名称及び住所
その中には、発行可能株式総数は書かれていませんでした。
「じゃあ発行可能株式総数を定款に書く必要はないのだろう」
ゆやさんは、そう思っていました。
しかし、それは間違いです。
定款には、必ず発行可能株式総数を書かねばなりません。
ゆやさんは混乱しました。
「ということは、発行可能株式総数も定款の絶対的記載事項なのか??
27条に書かれている以外にも絶対的記載事項があるということなのか?
27条1号から5号の事項を書いていれば定款を認証してもらえるんじゃないのか?
そもそも絶対的記載事項ってなんなんだ?」
ゆやさん大混乱です。
絶対的記載事項とは?
まず、絶対的記載事項とは何かを説明しましょう。
定款に必ず記載しなければならず,記載しなければ定款自体が無効(ひいては設立の無効原因)となる事項を絶対的記載事項という。
「なるほど、絶対的記載事項とは、書かなければ定款が無効になってしまう事項なんですね。」
ゆやさんは、少し落ち着きを取り戻しました。
実は、発行可能株式総数も絶対的記載事項なのです。
まとめると、絶対的記載事項は次の6つということになります。
これらが書かれていない定款は無効です。
①目的 ②商号 ③本店の所在地
④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
⑤発起人の氏名又は名称及び住所
⑥発行可能株式総数
ただ、絶対的記載事項のうち⑥発行可能株式総数だけは、ちょっと毛色が違います。
発行可能株式総数は、定款認証時には記載していなくても問題ないのです。
発行可能株式総数はいつまでに定款に記載すればいいの?
(発行可能株式総数の定め等)
第三十七条 発起人は、株式会社が発行することができる株式の総数(以下「発行可能株式総数」という。)を定款で定めていない場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
2 発起人は、発行可能株式総数を定款で定めている場合には、株式会社の成立の時までに、その全員の同意によって、発行可能株式総数についての定款の変更をすることができる。
3 設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の四分の一を下ることができない。ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。
定款認証のときに定款に発行可能株式総数を定めていない場合は、「株式会社の成立の時」までに定款に定めておく必要があります。
今回は関係ありませんが、募集設立の場合にも似た規定があります。
第九十八条 第五十七条第一項の募集をする場合において、発行可能株式総数を定款で定めていないときは、株式会社の成立の時までに、創立総会の決議によって、定款を変更して発行可能株式総数の定めを設けなければならない。
会社の成立の時っていつ??
ちなみに「株式会社会社の成立の時」とはいつでしょうか?
(株式会社の成立)
第四十九条 株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
そうですね。登記をしたときです。
厳密には登記申請手続をしたときですね。(申請後、登記完了前に取下した場合等は除く。)
法務局は土日祝日、年末年始が休みです。法務局が休みの日は、登記申請の受付がされませんので、これらの日を設立日にすることはできません。
ゆやさんは誕生日を設立日にしたかったのですが、今年の誕生日は日曜日でした。
誕生日を設立日にできそうにありません。残念。
(続く)
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