新常識?!将棋の大局観について
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さて、今回は将棋の大局観について語ります。
私は将棋において一番重要なのは大局観だと思っていますが、恥ずかしながら、私自身この大局観については最近まで理解していませんでした。実際に人に将棋を教えようと自分の思考の言語化に試みた結果、大局観の正体に気付くことができました。
目次
大局観の正体について
大局観を実戦に導入した方法
まとめ
大局観の正体について
結論から言うと、大局観とは形勢判断力+構想力のことを指す言葉だと考えております。
まず、形勢判断とは局面の状況を踏まえて形勢の優劣を判断することです。例えば、現局面が先手有利だとか、後手勝勢だとかを判断するのが形勢判断です。
次に、構想力とは、先の局面を想像してどうなったらいいのか悪いのか考えることです。
例えば、相手のここが弱点だから将来的にここを攻めたいとか、飛車が遊んでいるから使っていきたいとか先の局面を想像していくのが構想力になります。
局面を見ながら説明した方が分かりやすいと思うので、ここからは具体的な局面を交えて形勢判断と構想力について解説します。
下の図は石田流対銀冠の中盤戦で、居飛車側が☗4六歩を打った局面です。
まずは大局観の第一歩として、構想を立ててみます。
駒効率:飛車、銀を使いたいです。飛車は3筋で使いたいです。角や桂も使えたらベストです。
駒の損得:このままだと銀損しそうです。あとは☗2一角から香損もあり得ます。
弱点:☖3九角(飛車こびん)、☖6九角(金の浮き駒)は狙ってみたいです。あとは☖3六歩と相手の飛車こびんを攻めてみたいです。
ざっくりまとめると以下のようになります。
⇒飛車銀を使っていくとしたら、☖3六歩が考えられます。
⇒このままゆっくりしていると、銀損or香損してしまう可能性があるので、積極的に動いていきたいです。
⇒弱点(浮き駒)を攻めるなら、☖3九角や☖6九角を狙いたいです。
以上の構想を踏まえて具体的な候補手を挙げると、以下の候補手に絞られてきます。
・☖6九角
・☖3六歩
※☖5四銀のようなゆっくりした展開にしてしまうと☗2一角から駒損になってしまうことに加えて、銀、飛車の働きが悪くなるので、なるべく避けたいです。(最終手段になってきます)
では実際に読みを入れながら形勢判断をしてみます。(下図再掲)
①☖3六歩
(ア)☖3六歩☗同歩☖同銀☗同金☖同飛と進めば、取られそうな銀が捌けてとりあえずそこそこ指せる展開だと思います。
(イ)☖3六歩☗4五歩☖3七歩成☗同桂☖3六歩(下図)
銀が捌けて桂馬と交換になって有望な展開だと思います。(銀桂交換で若干損だが、遊びそうだった銀が捌けたので満足しています)
相手の弱点(3七の地点)も攻めることができて、飛車も成れるかもしれないです。☖4五桂馬の筋も残っていますし、☖3九角の筋もあるのでどうにかなると思います。
(ウ)☖3六歩☗4五歩☖3七歩成☗同金☖4五桂(下図)
相手の弱点(3七の地点)も攻めることが出来ていて、飛車も成れるかもしれないです。桂損ながらも☖3九角の筋とかもあるので、なんとかなりそうです。
(個人的には駒損の限界点は桂損までと考えています。この展開なら最悪桂損で収まるので、駒効率の差で十分挽回は出来ると考えています。)
※注意点 桂馬を渡すので、☖7四桂馬の筋には警戒が必要です。
②☖6九角
(ア)☖6九角☗4八銀☖3六歩☗4五歩☖4七角成☗同銀☖3七歩成☗同桂☖同飛成☗3八飛☖4七竜☗7七竜(下図)の展開は、金と角の交換で駒損ながらも、玉の堅さの差+手番は後手ということもありいい勝負だと思います。
(イ)☗4八銀☖3六歩☗4五歩☖4七角成☗同銀☖3七歩成☗3五歩☖同飛☗4六角☖2八と☗3五角と進むと(下図)
駒損は角損で相手の角が絶好の位置にいるので、玉の堅さでは挽回できません。この局面は劣勢と判断しました。
以上から、☖6九角と☖3六歩を比較すると、☖3六歩の方が有望な展開というのが結論です。
このように構想を練りながら、形勢判断を行うのことが大局観だと考えております。大局観を養うには構想力を練る練習と形勢判断を行う練習が必要なります。なかなか大局観の習得は難しいとは思いますが、意識するところが第一歩になりますので、実戦の中で構想を練ったり、形勢判断を行ったりしてみてください(特に駒交換になる局面)
大局観を実戦に導入した方法
ここまで大局観とは構想力+形勢判断と述べましたが、これを一般化して解説していきます。
1.構想力について
構想の立て方としては、
①駒効率
②駒の損得
③弱点
の3つを考えてみて、どんな展開に持っていくのか想像する感じです。
理想的な展開、まずそうな展開を思い浮かべて、ああなるといいな~こうなったらまずいな~というのを、3つの観点で整理するのが基本です。
構想を立ててみると、狙いの籠った候補手がいくつか思い付くと思うので、どの候補手がいいのか形勢判断してみます。
弱点という観点はあまり聞き馴染みが無いと思いますが、
基本は浮き駒+玉頭、角頭、桂頭、飛こびんになります。
下に先ほどのメモを再掲しておきます。基本になるので是非参考にしてください。
2.形勢判断について
基本的には実際に読みを入れてみて、駒の損得と駒効率のバランスが取れているのか考えてみるのが基本です。
先ほどと似た局面ですが、下図の局面でもやはり☖3六歩が成立します。
☖3六歩☗4五歩☖3七歩成☗同桂☖同飛成☗3八飛☖同飛成☗同銀の局面を考えてみます。
この下図で構想を立ててみると、
駒効率:☖1三角、☖3三桂馬、持ち駒の飛車を使いたいです。
駒の損得:☖3八の銀を取りにいきたいです。また、☖5八の金を取りにいきたいです。☗3三角成とされると桂損になりそうです。☗2一飛~☗1一飛成~☗1三竜で香車損、角損に拡大しそうです。
弱点:自玉は☗4四桂や☗7四桂馬の筋が嫌です。相手玉の弱点は☖6九銀です(金は斜め後ろが弱点)
⇒総合的に考えると、現局面では先手に桂馬を渡すと厄介ですが、☖4五桂馬とすれば桂馬を逃げながら☖5七桂成が狙えます。
☖4五桂☗1一角成☖5三桂成と進めてみて形勢判断をしてみます。(下図)
以下のように進むと金を入手できそうです。
仮に、金桂交換になったとすると、駒の損得は桂損になります。
しかし、3八銀が遊んでいること(駒効率が悪い)、玉の堅さが勝っていることから、いい勝負と判断できます。
※桂損が駒の損得と駒効率の限界点であると述べましたが、この例もまさに当てはまっていると思います。しつこいようですが、駒効率でどうにかなる範囲は桂損までと覚えておいて欲しいです。
一点補足ですが、下記局面では☖4六桂はやってはいけません。
☖4六桂☗6八金寄☖7八桂成☗7七角成が一例ですが、
一番渡したくない駒である桂馬を渡してしまっていることに加えて、相手の遊び駒である☗3八銀を持ち駒の桂で取りにいってしまっています。(浮き駒は飛車角で取りに行った方が効率がいいです。)加えて、☗6八金寄で手順に相手玉が堅くなってしまっていることから、☖4六桂はやってはいけません。
以下私の駒の損得と駒効率の考え方をまとめたので参考にして頂きたいです。
3.まとめ
今回の記事を通して少しでも大局観について理解を深めて頂けたら嬉しいです。駒の損得と駒効率のバランスについては大事な考え方なので、今後も具体例を出しながら解説をしていきたいと思っています。
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