中飛車の苦悩 vs三間飛車編
こんにちは!中飛車歴15年のよびです。
将棋倶楽部四段くらいで中飛車専門でやっています!
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こちらで超速の対策についても語っているので、よかったら見てみてください
さて、宣伝はこのくらいにして、
今回は、中飛車党なら避けては通れない三間飛車対策について語ります。
中飛車左穴熊(左玉)についてフォーカスして語りたいので、通常の中飛車対三間飛車の指し方は軽く紹介する流れとさせていただきます。
まず、はじめに中飛車対三間飛車の作戦は大きく分けると、
1.玉を右に囲うパターン
2.玉を左に囲うパターン
が存在しています。
1.右に囲うのは一般的な中飛車対三間飛車の戦いになります。(以下参考)
2.左に囲うのは、中飛車左穴熊と呼ばれる戦法で基本形は以下のような形です。(以下参考)
1.右に囲うパターン
結論から言ってしまうと、
右に囲うパターンは、中飛車側が作戦負けになりやすいという印象があります。(体験談)
右に囲うとつらい理由
1.駒組に時間がかかるため、攻めが遅れる
⇒相振りの大前提にもある通り、相振りは先攻有利です。攻めが遅れるのは致命的です。
2.攻めの方針が難しい
⇒5筋からの攻めは決まりにくい印象です。結局、三間飛車や向かい飛車に振り直す展開になるのですが、そうなると相手に先攻される展開になりやすく、不利になりやすいです。
ここからは具体的に見ていきます。
図1は自然に駒組を進めた局面なのですが、中飛車の駒組が遅れているのが分かると思います。
1.中飛車の駒組が遅れている
⇒三間飛車側は飛車、角、銀、桂馬が良い配置ですぐに攻めれる形になっています。先攻有利なので、このまま押し切られやすいです。(経験上こうなると、勝つのが難しい)
2.攻めの方針が難しい
図1の中飛車側の駒組は飛車、角、銀、桂の配置がすべて中途半端で、ここからすぐに攻めれる形になっていません。
攻めの形は「飛車、角、銀、桂馬」と言われていますが、どうやって角、桂を活用するのか方針が立ちにくいです。
例えば、☖1三角~☖3三桂~4五桂と攻める形が見えますが、ここから駒組に時間がかかること+玉から少し遠い5筋を攻めているため、攻めが間に合いません。
⇒相振り飛車は、玉頭から攻めるのが効率的のため、9筋8筋7筋を攻めるのがセオリーになりますが、ここから攻めの形を作ると時間がかかります。
以上より、そもそも相振りの中飛車(5六飛車型)はほとんど指されていない印象です。
では、初手☗5六歩と指される中飛車党の方相振りの際どうしているのかというと、次に紹介する中飛車左穴熊や☗5六歩型の向かい飛車や、☗5六歩型の三間飛車に振る人が多いような気がします。(以下参考)
今回は参考までに図を載せましたが、詳しい手順は私があまり詳しくないので解説しません。気になる方は専門書を読んでみてください(そもそも出ているかわからないですが、
、、)
最初からが駒組が遅れるデメリットや、攻めの方針が分かりにくいデメリットを抑えることができます。
1.左に囲うパターン
この指し方は自分が小学生のころ、今から15年近く前に出た指し方で、当時は東大流中飛車左穴熊と呼ばれていました。そのあと、プロで指され中飛車左穴熊という名前で定着しました。
左に囲うパターンは、従来の右側に囲う指し方と異なり、玉が堅いというメリットが大きいです。
左穴熊と右穴熊の違い
右穴熊は弱点である端攻めをされたときのリスクが大きい。
下図の右穴熊は☖7四歩~☖9三桂なりで崩壊している。このように、縦の将棋では穴熊は手数がかかるだけで、カモにされやすい。
対して、左穴熊は端攻めをされることが少ない。
端攻めをされたとしても相手側も端攻めのリスクを抱えているのでカウンターを決めやすい。
左穴熊のメリット・デメリット
メリット、デメリットを列挙すると以下の通りです。
漫然と駒組を進めると、中飛車側の方が玉が堅くなるので、有利になるというメリットがあります。
また、マイナー戦法なので、初段前後の棋力帯であれば中飛車左穴熊対策を持っている方が少ないので有利になりやすいです。(アマチュアならではの考え方ですが、意外と大事だと思います。)
左穴熊のメリット
・堅さで有利を取りやすいこと
・方針を立てやすいこと
⇒とにかく飛車角交換+高美濃囲いの桂馬頭を狙っていく
・対策を知っている人が少ない
左穴熊のデメリット
・急戦に弱い
⇒穴熊に組むまでに時間がかかり、組む前に攻められる可能性がある
・抑え込みに弱い
⇒右銀も囲いに使ってしまうので、飛車角を捌くのが大変
参考になる文献と書評
具体的な駒組の方法については杉本先生の本がとても分かりやすいので、これ一冊持っておけばいいと思います。中飛車左穴熊の基本のキが学べるのでおススメです。
藤本先生の対策本について少し難易度が高いので、杉本本を読んで困ったら読んでみてください。杉本先生の本は左穴熊初期の頃の本なので、現代の目から見ると少し対策が古いというのが個人的な感想ですね。
藤森先生の本については三間飛車側目線で色々な対策が記されていていますね。
他には今泉先生の本が2冊出ているのですが、この2冊はちょっと難易度が高い印象があります。中飛車左穴熊の成熟期に書かれた本で、先に紹介した藤森先生の本の後に出た本です。
結論から言うと、藤森先生の中飛車左穴熊対策の対策本って感じですね。
この本は左穴熊にこだわらない指し方が出始めた意味で画期的だった思います。
このころから、急戦に弱いというデメリットをどう克服するのか?というのが中飛車左のテーマになっているような気がします。
中飛車左の変遷
中飛車左穴熊の変遷をまとめると以下のような感じで
中飛車左玉初期
中飛車穴熊5六飛車浮き型の誕生
参考)杉本先生の本
中飛車左玉中期
急戦に強い中飛車左穴熊5八飛車型の登場
参考)藤森先生の本
中飛車左玉終期
さらに急戦に強い中飛車左elmoの登場(AIの登場)
⇒このあと左elmoも厳しいと分かり、プロでは中飛車左玉が絶滅
参考)今泉先生の本
中飛車左玉(現在、よびの研究)
プロでは絶滅したが、AIの登場でアマチュアも研究に入れるようになった。
よびの個人的な見解としては、穴熊を捨てて左美濃を採用をしたことで急戦は比較的優位を築きやすくなったが、結局穴熊を捨てたことで持久戦でかなり苦戦している。
中飛車左ミレニアムや、中飛車左美濃に期待をしているもののちょっと厳しいというのが個人的な見解です。
急戦と持久戦のバランスをどう取るか?というのが現在の課題です。
急戦系⇒中飛車左美濃(天守閣)
持久戦系⇒中飛車左穴熊(組める場合は積極的に狙っていく)、中飛車左美濃(妥協案)、中飛車左ミレニアム(中飛車左穴熊より攻守のバランスがいいが組める条件が限られている)
最後に
マイナー戦法の強みを生かしてまだまだ戦えるのではないかと思っています。
一緒に、中飛車左玉を作っていましょう。
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