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引き算上手になりたい
豊かな実りのために(抱負と今月のふりかえり)
2025年に入って、あっという間に1ヵ月が経ちましたね。
抱負を述べあうような機会も多かったのではないでしょうか。
わたしは「引き算上手」になることを目指したいです。日々の暮らし、仕事、文芸作品へのコメントなど、「本当に大事なところに切り込んでいく力があれば」と思う場面が、昨年とても多くて! 些細なところは放っておけるようになることで、ポイントを見極め、力を集中して使えるのではないかと思った次第です。
特に、課題は時間の使い方。したいことがありすぎて、詰め込み過ぎてしまうのですね。○○を仕掛けてから、××しつつ△△する(たとえば、お風呂をわかしながら、ポッドキャストを聴きつつ、料理を何品か並行でつくる)……。ところが、二毛作にもそれ以上にもしようとすることだけで満足してしまって、結局、一番ほしい成果が出ているのか、疑問が湧く事態となっていました。二毛作を続けると土地がやせると聞きます。豊かな実りのためには、しっかり休ませないといけないのですね。ひとの心やからだも同じでしょう。
「何かをしない」「やめる」という決断は勇気がいりますね。まだやれるのにやらないなんて。もっと良い成果が得られるかもしれないのに、とこわくて。
だから「引き算する」ことは「余白をつくる」ことなのだと、心で読みかえることにしました。
もっとも大事なところが、もっとも光るように。引き算上手になることで生まれるゆとりやあそびは、自分自身にはもちろん、ひとにもプラスになる気がします。
そのようなわけで、1月は意識的に休息をとるように努めましたが……、やっぱりじっとしていられない性分みたいです。
以下、振り返ってみると、なんだかんだ欲張った月でした。
1 いつもの活動
交流のある方々の著作を中心に読んだり、感想を伝えたり。作品そのものを楽しみながらも、主題に対する人物配置や構成の妙、密度の濃い描写、流れるような筆のはこびなど、たくさんの学びがありました。
2 やってみたこと
手帳に「やってみたいこと」をリスト化するようになりました。書き留め、意識にのせることで、行動が促されるのですね。行ってみたかった書店のひとつにタイミング良くうかがうことができ、刺激的な本にたくさん出会えました。
また、無意識も積極的にひろってみたいところ。奇妙な夢をよくみるので、Chat GPTに解釈を尋ねたら、これがなかなか面白くて。鵜呑みにするのは要注意ですが、自分の置かれている現状を踏まえて納得できることも多く、考え方を整理するヒントになりました。創作の種にもなりそうです。
3 やめてみたこと
体調がすぐれないときに仕事に励んだり、集まり(オンラインでも)に参加したりすることをやめました。思い切って休んでしまうほうが、すっきりと早く回復できるので、自分にもまわりにもやさしいはず。
みなさまも、無理は禁物です。
4 印象に残った本(3選)
今月読了した本のなかで、広く入手可能なものを3つ挙げてみます。
①『ウォード博士の驚異の「動物行動学入門」 動物のひみつ――争い・裏切り・協力・繁栄の謎を追う』アシュリー・ウォード著/夏目大訳
オキアミのようなプランクトンからアリやハチといった昆虫、チンパンジーなどの哺乳類まで、幅広く登場します。個体を超え、種として生き残っていくための知恵とふるまいに驚きっぱなしでした。「たくまざる戦略」として備わっているのでしょうね。人間という動物はどうかな?と想像するのも楽しい。また、本書は辞書並みの厚さと濃い内容で2000円程度なので、そのお得さも魅力です。Amazon総合ランキング1位獲得、2024年書店員が選ぶノンフィクション大賞ノミネートという実績にも反響の大きさがうかがえます。
ちなみに、Amazon audibleでは”Animal Societies”のタイトルでオリジナルの関連書籍が聴けそうでした。
②『悪魔の傾聴』中村淳彦著
ノンフィクションライターによるインタビューの神髄とでも言いましょうか。HHJ(否定する/比較する/自分の話をする)を封印し、相手の話に耳を傾ける。行動の背景にある動機を深堀りしていく……。読了後、相手の欲望にアクセスしてしまう「鍵」を手にしてしまった気がして、少しこわくなりました。相手に心を開いてもらえたとき、受けとめられる自分でいられるだろうか? そう考えると、実践するにはなかなか勇気がいりそうです。とはいえ、ふだんから心がけたい聴き方のコツを教われた気がします。
③『救出の距離』サマンタ・シュウェブリン著/宮﨑真紀訳
死の淵にいるらしき女性と謎の少年。ふしぎな対話形式で、ある一点に向かって物語が進行していきます。意識やからだ、時間の流れの不確かさが不穏さをかきたて「ああ、サスペンスの魅力って文字通り”宙づり”にされるところにあるんだなあ」と妙に納得しました。
こちらの中編にはアルゼンチンの社会問題も織り込まれており、小説を書くことが社会的なアクションでもあることを再認識した次第です。
なお、本作は2017年シャーリイ・ジャクスン賞中長篇部門受賞作かつ国際ブッカー賞最終候補作とのこと。Netflixで『悪夢は苛む』として映画化もされているようです。
ここ数年、<スパニッシュホラー文芸>なるジャンルに惹かれています。著者の短編集『口のなかの小鳥たち』『七つのからっぽな家』も大変面白いので、幻想奇譚がお好きな方におすすめしたいです。
結局、引き算どころか、長々と好き勝手に書いてしまいました。
おつきあいいただき、ありがとうございます。
試行錯誤しながら、また何か投稿していけたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
これからも、みなさまとおいしい果実をわけあえますように!