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2/22 二弦の共鳴@下北沢 ReG "二弦ノ共鳴"


act: Kiyoshi freeman x 高木フトシ

1.  2月22日は二弦の日

 2月22日は「二弦の日」。ここ最近、この日をこう呼んでいる。二弦の日とはKiyoshi freeman 、高木フトシの両氏の音楽ユニット二弦の共鳴、「二弦」に因んでのこと。彼らのライブが毎年この日行われるのだ。

 開演時間より遅れること40分、会場の扉を開くとすでに彼らのステージは最高潮の雰囲気。本編は終わりかけていた。  
 髙木フトシがwhyを歌い、客席からは彼の演奏に合わせて手拍子が起こっていた。髙木フトシはその客席に向かって「ありがとう」と言い放ち、楽しそうに満面の笑みを浮かべていた。
 ほどなくして髙木フトシのターンが終わり客席からは大きな拍手が起こった。
 「ひとまず」といったところで本編はここで終了する流れとなっていた。
 本編ステージが終わるかと思われた矢先、「もう一曲やりたかったなぁ」とその流れを止める髙木フトシがいた。客席からはそれに応える大きな拍手が起こった。

 髙木フトシ曰く「去年からひよってるなと思ってた」と冗談を言う様に隣に座るKiyoshi freemanに言う。その言葉で彼らは二弦の共鳴の過去のステージについて振り返り始めた。今でこそ本編の問答スタイルのステージは個々に5曲程度の抑えたターンで収まっているが、二弦の共鳴初期は1人10曲程の勢いでターンを展開しアンコール含め3時間半程のステージをこなしていたのだ。終わらせ方を考えていなかったと振り帰るKiyoshi freeman。当時、なかなか終わらぬステージにスタッフはドン引きしていたとエピソードを明かした。

2.  二弦の共鳴@問答ライブ

 二弦の共鳴のステージは他のライブでは観れない特徴がある。Kiyoshi freeman 、高木フトシが同じステージ上で交互に自身の楽曲を選び披露するというシステム。あらかじめ決めたセットリストはない。故に予定調和のない、演者にとって緊張感とスリルある中のステージだ。ちなみに過去一度だけお互いセットリストあらかじめ決め相手に知らせずに交互に楽曲を歌ったステージがあった。ここに「共鳴」名付けられたる所以がある。

 彼らはジャケンで先攻後攻を決め、先攻となった者が自身の楽曲を先に歌うのだ。後者はその歌の歌詞、曲調、リズム。。etcを解釈し、自身の自由な発想で自身の持つ楽曲で返答する。これを交互に繰り返すというもの。故に「問答」というワードがしっくりくるのだ。セットリストを見ればわかるが、この日の先攻はKiyoshi freeman、後攻は髙木フトシ。

 「キヨシさんさへ良ければ」と高木フトシがKiyoshi freeman へ終わりかけた本編の続きを促す。もちろん答えは1ターン続行だ。Kiyoshi freeman がBENNYを演奏し始める。観客は歓喜の声を上げ、静まっていた会場は一変にして盛り上がりを見せる。Kiyoshi freemanが歌っている間、髙木フトシは選曲し歌詞のファイルをめくる。ギターを構え準備をし自身の出番を待つ。この待つ時の髙木フトシは楽しそうに見えた。
 二弦の共鳴のステージで面白いのは問答スタイルもさることながら、相手が歌っている間の待ち時間の姿勢である。歌っていない方の演者の選曲する姿であったり、相手の歌に合わせて歌っていたり、コーラスを入れたり、ギターを合わせて弾いたり、ギターのボディを叩きパーカッションで参加したり、様子は色々だ。この様子を伺えるのもこのステージの面白さの一つだと言える。
 Kiyoshi freeman のBENNYを受け、髙木フトシの選んだ曲はBlind / Blind。Kiyoshi freeman から熱き歌のバトンが髙木フトシに渡される。彼はどのような解釈でBlind / Blindと選曲したにだろうか。聴く側はまたこれを推測する楽しさがある。時に難解だったり簡単だったり。パズルのピースをはめる様な感覚だ。こう言うことでこの選曲??と思考を巡らせピタっとハマった時の爽快感は何とも言えない喜びがある。

 聴き慣れたBlind / Blindのギターの旋律。彼はKiyoshi freemanから受け継いだ熱き歌のバトンを冷まさぬよう様、力強く歌い出した。観客も髙木フトシの熱き歌を受け取り大いに盛り上がりを見せていた。彼はBlind / Blindを歌い上げ本当に本編ステージは終了した。

 終わりかけていた本編だったところ、1ターンでも二弦の共鳴の本筋を体感出来たのは奇跡だ。これを体感せずして二弦の共鳴のステージを語ることは出来ない。この本編延長を提案し熱き歌を聴かせてくれた髙木フトシに感謝を。

3.  アンコール〜SESSION

 客席からアンコールの拍手が鳴り止まぬ。二弦の共鳴、彼らがステージへ再び戻って来た。

 アンコール、第二幕の開始である。

 彼らの第二幕はアンコール、トークとセッション。感嘆と静観。少しの小休止でステージは構成されていた。

   期待のアンコールはKiyoshi freeman が「弾きたい曲」として髙木フトシの世界の終わりにが披露された。「やりたい曲」ではなく「弾きたい曲」と強調され演奏は始まる。髙木フトシが自身の歌をエモーショナルに臨場感たっぷりに歌い上げるその傍らで Kiyoshi freeman の気持ち良さげにギターを弾き、曲に華を添える。髙木フトシ一人で絶対的にこの曲は素晴らしい。しかし、Kiyoshi freemanのギターが加わることのより新たな楽曲へと変貌するのだ。曲が終わると歌っていた髙木フトシが感嘆の声を上げていたのが印象に残る。

 アンコール・二弦の共鳴ver.世界の終わりにが終わると彼らによるトークが始まった。お互いの近況報告を話す彼らの話しを観客は興味深く聞いていた。 トークは彼らがリラックスして楽屋で会話しているような雰囲気。髙木フトシが自身の近況を話していると Kiyoshi freeman はギターのチューニングしている。その雰囲気に混じって観客もリラックスして彼らの話しを聞いていた。トークの内容は興味深いものばかりだ。

 20分程トークが続くと雰囲気がガラッと変貌する。お互いの曲のセッションが始まる。和やかなトークの雰囲気から彼らのシリアスな歌世界が会場に広がった。
 セットリストは二弦の共鳴名義で制作された音源があるPerfect life、1Q86の月と続く。これら曲が終わると小休止のトーク、再びセッションStar fall、CLOVER、JIVE DAYSと続き、再び小休止。そして最後のセッションブロック、太陽の花、freeman scuderiaへ。最後は大円団に相応しく演者・観客と共に最高の盛り上がりを見せ、彼らの演奏が終わると客席からは大きな歓声と拍手が巻き起こった。

 この彼らのセッションも見どころの一つ。百戦錬磨の最強アーティスト二人によるセッション、最高なステージにならないはずがない。観客は彼らの演奏、歌声に魅了される。二弦の共鳴後半戦は最高に盛り上がりをみせ約2時間のステージは幕を閉じた。
 あり方は孤高の芸術家の如く、しかしお互い芸術家として尊重しリスペクトし合った彼らのステージ。二人の芸術家がステージ上でリアルにぶつかり合い、共鳴し合うライブパフォーマンスであった。

 途中参加でも十分満足な時間を過ごすことが出来た。

ライブハウスの手書き看板。
もはや看板までも芸術。


4. 二弦の共鳴 常識破りの「高尚な音遊び」

 二弦の共鳴、彼らのライブスタイルは従来の音楽ライブとは違う。Kiyoshi freeman 、高木フトシの両名が同時に同じステージ上に座し、個々の持ち歌を交互に歌う。双方が持つ楽曲で問答を仕掛けるというものだ。独創的で個々の世界観溢れるアーティスト達の音楽と音楽のぶつかり合いだ。従来の音楽ライブの概念を覆す常識の上の上をいくライブパフォーマンスなのだ。
 こうして説明しても簡単には想像付かないだろう。かく言う私も、初めてこのライブスタイルを聞いた時、想像上では全く理解出来ず頭の中はハテナ?だらけ、まるで夢か現かといった様な話を聞いているようだった。

 斬新なスタイルもさることながら、彼らが個々に持つ音楽スキルが回を増すごとに進化している。二弦の共鳴、それは彼らが研ぎ澄まされた音楽スキルを披露しあう熱気と興奮に満ちたステージでもある。
 年一回の二弦の共鳴のステージを終え、そこからまた1年間、彼らはライブ活動を通し楽曲制作を通しアーティストとして自らの音楽スキルを磨いている。

 彼らはこの二弦のステージで再会し、一年間の努力の結晶を披露する。互いをリスペクトし互いに刺激を与え合い、新たな高みを目指す。観客は、進化した彼らの真剣勝負を目の当たりにし、その熱気に圧倒される。二弦の共鳴は、アーティストと観客が一体となり、音楽の力を感じられる特別な空間なのだ。

 二弦の共鳴が放つこの斬新スタイルのライブは1度だけの企画では終わらずコンスタントに活動が続いている。過去には二弦の共鳴の名義で全国ツアーも行われた。ファンに愛されているのは間違いない。

 彼らのステージは、音楽の枠を超え、新たな表現の可能性を追求する、まさに「常識破り」と呼ぶに相応しい。圧倒的な熱量と革新性を持ち合わせている。二弦の共鳴が表現する音楽は従来の音楽の概念を打ち破り、聴く者を未知の世界へと誘う。彼らのステージは、単なる音楽演奏ではなく、視覚、聴覚、そして感情が一体となった、まさに五感で味わう芸術体験と言えよう。その熱狂と興奮は、言葉では到底語り尽くせないのだ。
 何はともあれ、二弦の共鳴のステージを理解する最良の方法は、直接その魅力を感じ取ることに尽きる。実際に彼らの崇高な音遊びを見聞きし、ステージの熱量を体感するのが1番の近道、百聞は一見にしかずなのだ。

5. 共鳴たる所以

 最後になぜ独創的、個性あるアーティストKiyoshi freeman 、髙木フトシの彼らがこの問答スタイルでのステージが成り立つのだろうか疑問に思うだろう。
 このスタイルの成り立ちは数年前に遡る。Kiyoshi freeman 主催の2マンイベントに髙木フトシがゲストとして出演したことがきっかけである。当初、個々のステージを楽しむものだった。数回の後、現在の問答スタイルへと変化した。
 彼らは同じステージに立ち共演を通して、二人に共通する世界観があることに気付いたのだ。彼ら二人は音楽家であり詩人である。Kiyoshi freeman 、髙木フトシが書き上げる詩にはどこか重なる要素が多く、交互に個々の歌を披露しても問題なく、見事なまでにしっくりハマるのだ。この奇跡の共鳴が「共鳴」たる所以である。

 髙木フトシはライブ前日、自身のブログで二弦の共鳴について語っている。

二弦も、またアコの可能性。
誰もやっていないであろう(音)楽しいこと。
代官山でのあの時に閃いたことが、こんなに続くとは、、、。
それは多分、Kiyoshiさんも俺もずっと探し中で、ずっと、より次の何か?を探し続けてるからなんだよね。
けど、ロッカーでありたいがあるから、、、時代とテクノロジー。
その答えをね、明日、Kiyoshiさんに渡そうと思う。

髙木フトシ公式HP 20250223ブログより転載


 二弦の共鳴。誰も予想しなかった自由で独創的な表現。後にも先にも彼ら二人でしか表現出来ないであろうステージ。また来年も彼らが進化した姿で共鳴を感じさせてくれるに違いない。来年2月22日、二弦の日を期待して待つことにしよう。


20250222 二弦ノ共鳴SET

01 HELLO
02 Betelgeuze
03 SCARY
04 Where
05 Phobos
06 バラ色の秘密
07 新しい世界
08 透明の錯覚
09 半透明の君へ
10 Why
11 BENNY
12 Blind / Blind

en
13 世界の終わりに

SESSION

01 Perfect life
02 1Q86の月
03 Star fall
04 CLOVER
05 JIVE DAYS
06 太陽の花
07 freeman scuderia

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