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2/1 髙木フトシ@浅草 Gold Sounds Asakusa Gold Sounds 8th Anniversary"歌う、幻影" 髙木フトシワンマン

 act:髙木フトシ

 2月1日、浅草Goldsounds周年記念ライブにして髙木フトシ新音源Sikn job isolatorリリースのレコ発ワンマンライブが行われた。新音源はYA/NA氏(vez/ZEPPET STORE)プロデュース/ミキシングによる制作期間2年、満を持してリリースだ。

 この日の空模様は青空。晴天。予報では翌日から関東に積雪のニュースが報じられていた。天も髙木フトシを祝福してる様だ。

 ライブ会場には賑やかなBGMが流れ、沢山の観客で賑わっている。彼らは思い思いにライブ開始を待っている。私もその内の一人、椅子に座りその時間を待った。心臓の鼓動が胸打つのが分かる。高鳴り過ぎて胸が痛む。髙木フトシの歌を早く聴きたいと逸る気持ち、居ても立っても居られない気持ちでこの待ち時間がとても長く感じられた。

 照明が緩りと暗転し、定刻より数分過ぎた会場にSEが流れ始めた。Billie HolidayのStange Fruit、賑やかなBGMを打ち消す。トランペット、ピアノ、ベースのセピア色で重厚なジャズの旋律、視界が揺らぎ現実世界から断絶される。憂いに満ちた女性の歌声が髙木フトシの音世界の入り口へと観客を誘う。私の高鳴っていた鼓動は洞調律へと変化した。

 髙木フトシがステージに現れ定位置に座す。ギターを構える。アンプからノイズが発せられる。SEを掻き消すようにBlind/Blindの重厚なギター音と幻想的なエフェクトが会場を覆う。一気に“歌う幻影”の世界へとスイッチ。「楽しもうぜ」と第一声に髙木フトシの歌声は力強く会場に響き渡り解き放たれた。


 ”歌う幻影“、髙木フトシの音世界。本編、アンコールで約2時間の長丁場。セットリストは新譜Skin job isolatorに収録されている全楽曲、加えて彼の戦争への思いを歌に込め選曲された楽曲の構成であった。髙木フトシはガット、アコギ、12弦のギター3本を駆使し、表現豊かに優しく繊細に、激しくしゃがれた低音の叫び声で歌い上げる。彼が畳かけるように次つぎと幻影を観客に魅せていく。

 アコースティックギターでの彼の楽曲は旋律が激しく爆音のイメージを持っている。それに伴って彼の歌声も同調し激しくダイナミックに歌い放つ。一般的な弾き語りのイメージで彼の歌声、楽曲を聴くと頭の中がバグるのではないだろうか。髙木フトシの弾き語りは概念を壊し当たり前を吹き飛ばすのだ。彼の描く音像は他と一線を画し、唯一無二と言ってよい。私はこの唯一無二の音楽を見つけ出せたことは生涯幸せに思う。

 12弦ギターの楽曲は華やかな印象を持つ。リズミカルな曲が多く、彼に促されなくとも手拍子が客席から自然発生する。手拍子はまばらだったものだ。これは幾重にもライブを重ねた継続の賜物である。そして、観客の進化でもある。
 私が髙木フトシのライブに通い始めた頃は彼のその歌世界に没入して聴き入ってしまうものだった。観客が彼の歌とギターに合わせて手拍子をする光景はなかった。今では当たり前のようにライブのいち光景となっている。手拍子は一体感を生み、そして心が楽しいと感じ高揚する。私にとってそれは素晴らしく最高な時間だ。

 ガットギターの旋律はどこか心が落ち着く。この日歌われた「夜空」は聴いた者を優しさで包む。髙木フトシの感情を揺さぶる歌声とギターの音、寄り添う歌詞も相待って涙を誘う。公然に歌われてからまだ月日は浅いがすでに髙木フトシの代表曲である。アコースティックギターの爆音音嵐の中で歌われる曲がガットギターverで歌われるとたちまち優しくしっとりとした名曲となる。表現は無限なのだ。

 総じて、髙木フトシが魅せるライブパフォーマンスの楚となるものは唯一無二の歌声、旋律、世界観だ。彼が綴る歌詞は独特の世界にある。これらが髙木フトシにしか生み出せない圧巻のライブパフォーマンスの源である。髙木フトシのライブはこの瞬間での喜び、幸福、悲しみ、怒り、etc、、感情が動かされるのだ。
この日もまた彼が歌う生歌は最高だった。

彼の歌に合わせて赤から青。暗闇からの一筋の光。透明な白。クルクルと場面展開するステージの照明。“歌う幻影”を表現する最高な演出だ。


 息つく暇もなく怒涛の若く9曲目のDark ferris wheelまでを聴かされ、幻影の世界へ入り込んでいたところでこの日最初のMCがきた。
 「サンキュー」「無事、Skin job isolator、発売日がやっときましたー」と言う彼の第一声に客席から大きく拍手が起こった。

 新音源Skin job isolatorを制作するにあたっての経緯が語られた。既に今までのライブやラジオにて語られたエピソード、YA/NA氏からの働きかけをきっかけ音源制作への気持ちが動き、この日アルバムリリースまで至ったのだと。

「その日から長かった様な短かった様な、、気はしますが、あのー完成してやっとみんなに届けられる時が来たので、あのーそれが何よりも嬉しっ」

「ほんとあとー、まー、単純にやっぱなんだろうな、、作品を作り、えー世に放つっていうことが、、なんかやっぱりこー何かが動く、きっかけに、なるんだなーって言うのも、あのー、今回、ちょっと、その反響って言うのかな?なんか、バッドシックスもそうなんだだけど、なんかそれを、、多々感じることがあって。なんか、だから作品として何かを作り、作品としてライブをやり続けることが、、多分大事なんだね。そんなことを、今更ながらまた思った次第です。なのであのージャケット見ながら、詩を読みながら、なんかこの音源を聴いてくれたならすごい嬉しいなぁと思います。どうもありがとう」

(MC一部抜粋)

「やっぱり自分はとにかく、とにかくって言うか、兎にも角にも、なんかー戦争が嫌なので、そう言う世界にならない様な、ならない様に、そんな、願いを込めた3曲ほど聴いてください」と。MC明けにWhere、無知の支配、太陽の花の3曲。
 このセトリブロックは髙木フトシの歌うことの原点、「愛と平和を強く歌っていきたい」という思いをブレずに表したものだと感じた。

 3曲を歌い終えると再びのMC。浅草goldsoundsの周年を祝う言葉が語られた。すかさず来年の周年記念ライブのスケジュールを押さえられていた。また来年が楽しみである。

 そしてセットの流れは12弦パート。先に記したようにお楽しみ時間。観客は髙木フトシの歌に乗り思い思いに楽しんでいる。髙木フトシからも「カモン」と煽りを受け、会場は大盛り上がりをみせていた。

 ライブ本編16曲を完唱した髙木フトシにアンコールの拍手が鳴り止まない。その要求に応えるため彼は再びステージに姿を現した。

 アンコールの1曲目は夜虹。新アルバムには「子供たちのために」というキーワードがある。子供たちを可愛いと思ったことは一度もないと悪態をつきつつも、真剣に子供たちのことを思った大人でありたいという気持ちがあると語られた。

 夜虹が歌い終わると「ラストー!また会おうぜ!!」と言い放ち、ワンマンライブ最後の歌、Quiet darknessのギターの旋律が華々しく掻き鳴らされた。希望のメッセージを高らかに歌い切った。

 “僕が君の希望になる 君が僕の希望になる”


 髙木フトシは約2時間、18曲、“歌う幻影”を表現し切り彼のワンマンライブは終わった。

 幻影とは、まぼろし。実際には存在しないのにそこに存在するかのように見えるもの。
 ワンマンタイトルに反していることは承知で言う。髙木フトシの歌声は幻影ではなく、この日この時実際に存在していた。彼のリアルな歌声は確かに心届いた。それは血が通った熱き尊いものだった。

 ワンマン本編の最後の歌、夜空を歌う前に上手く説明が出来ないと語ったMCがあった。

前を向くだとか、こう、、一生懸命生きるだとか、なんだとか、なんか、、そう言うことよりも何よりも、あのー大事なことを、一つひとつシンプルに、すごいシンプルに、あのー一生懸命思うこと、なんか、その瞬間を、、どれほど作れるかが、なんかこう生きてて面白いし、あのーそれでいいんじゃないかなって、、なんか、、上手く説明出来ないけど、そう思ったりします

MC抜粋

 これは今、彼が体現し私たちに見せてる姿なのではないだろうか。今ココ。今この瞬間、全力で生きるってことではないかと受け取った。

 最後に、幾多の困難を乗り越えて、最善を尽くし新アルバムSkin job isolatorの制作、リリースにこぎ着けた髙木フトシに称賛を。そして、愛と平和の思いをブレずに自信の歌を歌い続けている彼に尊敬を、感謝を。


20250201 浅草Goldsounds
髙木フトシワンマン“歌う幻影” SET

SE 01
01 Blind / Blind
02 Betelgeuze
03 Illusionary eyes
04 Clown smile and lies

SE 02
05 Silence

SE 03
06 Why
07 No one knows that fact

SE 04
08 Delusion of justice

SE 05
09 Dark ferris wheel
Mc~
10 Where
11 無知の支配
12 太陽の花
Mc~
13 Even if it evil
14 Lost mercury
15 What
Mc~
16 夜空

En
01 夜虹(vez)
02 Quiet darkness

    髙木フトシ公式HP 20250202 ブログより転載

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