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11/3 上野 音横丁"上野音横丁10th Anniversary ~皆さまのおかげでしかない音横10周年~

act: 高木フトシ / 木村世治(ZEPPET STORE) / 櫻 知彦 / Shame / DaISUKE DARK SIDE / Yz -イズ-セッション / 郛(くるわ)

             Photo by Naomi

 上野にあるライブハウス、上野音横丁10周年の周年イベント。7組の出演者、イベントスタートが15時半からという長丁場。髙木フトシの出番は20時、最終演者でトリを飾った。

 6組目の演奏が終わり、いよいよ髙木フトシが登場する。降ろされた幕の向こうでゴソゴソと音が聞こえ忙しくセッティングが行われている様子が伝わってくる。その中でマイクに声を入れる彼の声、ギターの音が聞こえてくる。マイクのアンプから髙木フトシの「最高です」という言葉が漏れ聞こえてきた。後日のブログで“リハ無しで挑んだライブ”と綴っていた。

“リハ無しで挑んだライヴだったけどPAの人、恐ろしく勘のいい人で。
何にも伝えてないのに、ガット重低音を出してくれてた。
モニターも完璧で、何事もなく歌い切れた。感謝しかない。”
(髙木フトシ公式HP 2024/11/14ブログより転載)

 ブログで綴られていた通りリハ無しだとて何ら遜色ない音響も照明も完璧なライブであった。髙木フトシとライブハウスの深い信頼関係によるものだろうと感じる。

 ギターの音は鳴っていたがステージの幕が上がり、ギターを試し慣らすように弾く髙木フトシの姿が現れた。彼がギターを弾くのを一旦止めることもなく、静かに綺麗なギターの旋律が会場に響き渡りスイッチが切り替わった様に髙木フトシのライブが始まった。

 1曲目はnoise。この曲は髙木フトシのライフワークである2023年曼荼羅隔月ワンマンシリーズで発表された楽曲だ。私の主観であるがノイズで満ちたこの世の中、自分の軸で見出した進むべき方向、そこからどこに進みどこに行くのかという問いを歌詞から受け取った。そして、「ノイズ」という言葉から得るイメージとは真逆にギターの静かで清らから旋律が印象的な曲である。この曲を実際に聴くまではワードのイメージ通りの複雑なノイズ音、爆音、グランジ的なノイジーな音を想像していた。しかし、実際には上記で記しているように静かで清らかなギターの旋律から始まり、穏やかに伸びやに優しく歌い上げる、白く清らかな旋律の曲であった。この表現がより一層、noiseを鮮明にしているのだと感じる。初めて耳にした時、良い意味での裏切り、予想を遥かに超えた「noise」の表現であり、髙木フトシの表現力の広さと深さに心から感嘆したものだ。彼自身、次のようにブログで述べている。

“「Noise」と言っても色々あって。
思いつく限りの様々なノイズを表現出来ればと思いつつ。
それとは真逆の「美しさ」の中にある醜さも全部。
表現出来ればいいなと思います。”

(髙木フトシ公式HP 2023/3/20ブログより転載)

 一曲目を歌い終わり「髙木フトシです。楽しんでますか」と静かに自己紹介。続けて「なんか最近どうやら俺、自分、うつ病らしくて、YouTubeによると、、たまたま観ちゃって、えーと、こう言うサインが6個以上あったら貴方はうつ病ですと、、(省略)」と不吉な内容でMCを切り出し始めた。彼はうつ病のサインチェック項目で1つだけ当てはまらない項目があったと話す。その1つは「掃除が出来ない」という項目だったらしい。彼は毎日必ず掃除をしてからギターに触るというルーチンがあると話し、彼のプライベートの一面を垣間見ることが出来た。同様の内容でMCが進んでいき、このMCをどう着地させるのかと思っていたところ「これが言いたかったんだ。雨が、雨ばっか降るので雨に因んだ曲を歌いたいなーと思ったんで雨音という歌を歌います」と「雨音」の曲紹介がされた。秋雨が降る季節の雨音の選曲。日本語の歌詞の美しさが印象的な曲である。この歌を歌い終わった後はうつ病のMCを忘れていた。

 滅多に告知はしないのだが告知をさせてほしいと再びMCへ。11月16日に稲毛にあるライブハウス、K‘DREAMでの初ワンマンが行われると告知があり、それに因んでNIRVANAのカバー、Something in the wayが髙木フトシがカートさながら歌いあげた。K’DREAMは店長は大のNIRVANA好きで有名であり、店内はNIRVANA仕様でvoのカートへのリスペクトの思いがいっぱい詰まったライブハウスである。髙木フトシは毎年4/8にK‘DREAMで行われるカート追悼イベントに欠かさず出演している。余談であるが私が髙木フトシを知るに至ったきっかけはNIRVANAである。カートの歌声が好きでネットで情報検索していたところ、某アーティストのHPでTHE HATE HONEYのヴォーカル髙木フトシが和製カートと紹介されていたことが始まりである。

★10/16K‘sDraem@稲毛/髙木フトシワンマンの情報はこちら↓から。


  折れた翼は髙木フトシが二十歳の時に作った曲だと照れ臭そうに言う。「すごい、あのーとても恥ずかしい歌詞の歌を聴いてください。恥ずかしいんだよ。ほんとに恥ずかしいけど、、なんだけど、でもいい歌だなと思うんだっ。聴いてくれるか」と客席に照れながら問いかける。客席からOKの意味の拍手が盛大に起きると彼はギターを引き出した。彼が恥ずかしいと言うのも無理はない、その歌詞は初々しく、良い意味で青臭い、“それを愛と呼べばいい”表現がストレートだ。この曲はかつて一度だけメジャーデビューの話しがあり、そのときのデモテープ作りで、良い曲だと言われてた何曲かのひとつだと過去のインタビューで語っている。
(参考文献:2014.08.14インタビュー:http://akuh.seesaa.net/article/404398474.html?amp=1)
参考までに歌詞を下記に添付しておく。

 この歌を歌う彼は照れながらなのか終始笑顔で歌っているのが印象的だった。聴いている方も自然に笑顔になっている。この曲は頻繁に歌われることがないが、聴く時はいつも胸熱い思いになり歌詞を噛み締め聴くのが常である。

 彼は折れた翼を歌い終わると照れながサンキューと告げて次の曲へ。続けてNo regret。あくまでも私の主観であるが、この曲は前に歌われた折れた翼とは対極にある様な歌であると感じた。No regretの歌い始めの歌詞に“言葉にすらしない 目を背けていよう うつむいているまま”とある。折れた翼ではストレートな歌詞に“それを愛と呼べばいい”と言い切っているのに対して、この歌は“言葉にすらしない”と言っている。No regretの歌詞の中盤では“「その場所はどこにあって名前はなんていうの?他に答えは無いの?教えて欲しいんだ、鳥のようにそこへ行けたらいいのにって」(和訳歌詞、実際は英語歌詞)”と飛ぶことが出来ず行く先分からず失意、失望感で満ちている様に思える。折れた翼には答えがあって、折れた翼でも広い空に飛び立って生きて行くと希望に満ち溢れ前向きである。この歌詞の高低差、ギャップが面白い。このセットリストの2曲の選曲どうの関連しているか分からない。髙木フトシが意図していることとは違うとしても、二つの曲を続けて聴くとこう繋がるという勝手考察出来ること楽しいのだ。まるで謎を解く様で面白いのだ。(上記で添付した参考インタビューにNo regretについても語られている)
 彼は先程の照れながらの笑顔と打って変わって、表情は険しく笑顔は消えていた。髙木フトシは曲によって如何様にも変容出来るところが凄いところである。

 最後はblind/blind。髙木フトシの決意表明を表した曲である。No regretからの流れで聴くと飛ぶことが出来ず、行き先が不透明であっても、自分は歌を歌うことしか出来ないという決意ちいうことだろうか。エフェクトなしのガットギターverで力強く歌いあげ本編は終わった。

 アンコールで再登場した髙木フトシから上野音横丁10thを祝う言葉が伝えられた。そして、このライブハウスでの1番の思い出を語り始めた。過去に遠藤ミチロウ氏と共演したことがあり、緊張していた彼に気さくに話しかけてきてくれたと話す。その時にライブハウスの近くにあるキムチ屋を教えてもらったというエピソード。当時、彼は辛いものが食べられなかったが今では体質が変わり、味の好みも変わったと話す。遠藤ミチロウ氏との思い出を思い出したということから、この曲をと「夜空」が歌われた。この歌を彼は感情豊かに歌う。聴く者の目の前に心に思う人が現れ、その人との思い出が自然と脳裏に蘇る涙が溢れ出すのだ。実際に泣いているお客さんが何人かいたと友人から聴いた。

“さよなら、また会おう”

夜空の歌詞であるこのワードは何故か安心出来るのだ。

 ライブハウス上野音横丁の10thを祝うイベントは髙木フトシの歌で幕を閉じた。このライブハウスがまた来年、再来年、、、と周年イベントが出来るよう祈り願うばかりである。

10thおめでとうございます。



2024.11.3 上野歌横丁SET

01 Noise
-mc
02 雨音
03 Something in the way
-mc
04 折れた翼
05 No regret
06 Blind / Blind

En
01 夜空

(髙木フトシ公式HP 2024114ブログより転載)


折れた翼   lyrics by 髙木フトシ

果てしなく続く
あの空へ飛び立つ夢をみた
折れた翼で

大切なものばかり見失いそうで
愛することさえも忘れかけていた

胸につもる切なさを今日から
ひとつひとつ溶かしてゆけるなら
それを愛と呼べばいい

凍りつく街で眠りにつく前に
君に君に会いにゆくから
確かな事なんて無いこの世界で
目をそらさずに君を見つめていたいから

手を繋いだぬくもりを離せず
心閉ざしためらうくらいなら
それを愛と呼べばいい

耳を澄まし聞こえてくる
天使の歌声が
窓を叩く陽の光りが呼んでいるよ

風に吹かれ振り向けばいつでも
広い空が寂しさ拭うから
それを愛と呼べばいい

(形のない) あの空へ旅立とう
折れた翼のままで生きてゆく

それを愛と呼べばいい

それを愛と呼べばいい


No regret   lyrics by 髙木フトシ

言葉にすらしない
目を背けていよう
うつむいているまま

数字の羅列に
意味深なマーカー
君はわかっている

ずっとずっと
それがまとわりついて

きっと きっと
それが正しい

Where is the place
Tell me the name of it
In No answer to the other?
I want to tell me
Where is the place
Tell me the name of it
I wish could go there like a bird

「その場所はどこにあって名前はなんていうの?
他に答えは無いの?
教えて欲しいんだ、
鳥のようにそこへ行けたらいいのにって」

肩を抱く手のぬくもりは消えまたひとつ声を失う

重ね合う罪の罰は行方知れず
祈りを捧げる空白

ずっと ずっと
それがまとわりついて

きっと きっと
それが悲しい

Where is the place
Tell me the name of it
In No answer to the other?
I want to tell me
Where is the place
Tell me the name of it
I wish could go there like a bird
I lose my hope


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