12/14 下北沢 440"音沙汰良好"
act:高木フトシ / 中尾諭介 / 三輪和也
NAVIGATE DJ- ISHIKAWA
下北沢440で行われた“音沙汰良好”と名付けられたこのイベントは、DJ-ISHIKAWA氏主催のイベントだ。
今年2024年、“音沙汰良好”は6回開催された。ISHIKAWA氏によりセレクトされた多彩な出演者はこのイベントの魅力の一つだ。その中で髙木フトシは毎回レギュラー出演している。
過去にISHIKAWA氏がこのイベントのタイトル“音沙汰良好”について語っていたことがある。“音沙汰良好”の「汰」の字に髙木フトシの名が隠されており、髙木フトシのイベントであると言うことを明言していた。これはISHIKAWA氏の髙木フトシへの情熱と信頼あっての企画である。
この日、開演から終演にかけて会場に流れていた曲は過去6回のイベントに出演したミュージシャンのものだった。ISHIKAWA氏によるDJで粋な演出がされていた。
この日の髙木フトシは楽しそうであった。気の置けない共演者、会場の雰囲気、ISHIKAWA氏への信頼がそうさせるのだろうか。MCでは彼の笑顔が多く見えた。歌い終わるとステージから客席にいた共演者と楽しそうにやり取りするなど打ち解けた場面も見れた。
アコースティックギター1本、アンコールを含めて8曲のステージ。久々な曲からバンドの曲まで聴かせどころ満載なセット、毎週どこかのライブハウスで生歌を披露しているがセットリストが被らないところが良いところだ。
この日のセットリストは髙木フトシの笑顔とは裏腹に、彼が選曲した曲は1曲目のRadio starからシリアスに緊張感ある髙木フトシの世界観溢れる聴かせる曲だった。2曲目のSadly / Helplessの歌詞は子供の虐待を連想させる。
Help me,, Sadly,,,
会場に髙木フトシのどうしようもない憤りを感じる歌声が響く。切ないその歌詞の内容から笑顔は消えていた。
Sadly / Helplessの余韻の中。沈黙から彼は「どうもありがとう!」と力強く客席に向かって挨拶をする。客席にいた共演者には盛り上げるようにと催促し、彼から楽しく絡みにいく一場面があった。このやり取りで沈黙する会場の緊張が自然に解けていく。彼は続けて観客に向けて「盛り上がってるか?」とテンション高めに煽り、間髪入れず「アッパーな曲を」と曲紹、透明の錯覚へとスイッチ、歌いながら微かに笑顔する彼がいた。
ZEPPET STOREのYA/NA(dr)とのユニットAKUH(変則ベースレスユニット)の曲でもあるthink about you。彼はギターの弦を爪弾くようにおしゃれに弾き語る。歌い終わった直後に「すげー上手くいったなー初めてやったのに」と自身のギターの演奏に感嘆していたのがとても印象的であった。
彼は「告知と言うかお知らせして良いですか」と口火を切った。内容は彼が関わるユニット、バンド、そしてソロのこれから発売される数々の音源についてだ。
まずはgonvut。(ゴンダタケシ(ソロ/GRiP)とのアコースティックデュオ) 12/25、名古屋にてクリスマスライブが行われる。このライブにて新曲が入ったCD-Rが発売される予定であると。彼曰く「ほとんどゴンダタケシが作って、詩は全部オレが書いたんだけど。gonvut初の音タケシ、歌オレ」「曲はね。gonvutが好きな人が聴けば、間違いなく大好きな。あぁgonvutねって思います」と。
次に制作期間2年、自身のソロアルバムについて。当初発売予定日は202412/30のワンマンだった。しかし、4曲ほど直したい箇所があり12/30発売は断念したということだ。2019年以来の新譜。あれほどもう音源なんか作らないと言っていた髙木フトシ、仕切り直しの2025年2月1日、満を持して、浅草goldsoundsのワンマンにて発売と発表された。
このアルバムについて、聴いた人たちが口を揃えて言うのは「はーぁ??これがアコースティック??」だそうだ。髙木フトシが曰く「俺。アコギと歌しか歌ってない」。ニューアルバム“Skin job isolator”は紛れもなくアコースティックアルバムであると。
BAD SiX BABiES。髙木フトシが過去に1年間だけやっていたバンド。シングルのみの発表でアルバムは作成していなかった。今年の1月頃、ベースの戸城氏より当時の楽曲のアルバムを作らないかと誘いを受けレコーディングへ。今年10月にレコーディングがあり、来年2025年2月頃にメジャーレコード会社より発売予定であると言うことだ。彼曰く、意図せず、髙木フトシ、56歳にしてメジャーデビューであると。それを聞いた客席から盛大に拍手が湧き起こった。
最後はTHE HATE HONEY。winter daysの新しいアレンジでストリーミング公開中であるとのことだ。
こうしてみると髙木フトシは数多くのキャリア、足跡があることがわかる。全て楽しみな新譜である。
一通りの告知が終わった後、MC明けの曲はvezの月に砂に連鎖。vezは彼が携わったバンドである。この日のセット、MCを字面にしたら彼の音楽キャリアが揃った。まるで意識した選曲であるのかの様だ。
エフェクトなしのBlind/Blind、ラストは冷めた目の子供達。淡々とした口調で「子供たちの。凄い冷めた目が。。冷めた目が、、ただただ悲しいなと思って。そんな世界は消えちまえば良いのになと思って。そんな歌を作りました」と曲紹介し、彼は子供達が見えているだろう世界に言葉をぶつける様に歌っていた。
アンコールで再び登場した髙木フトシ。DJに英バンドのオアシスの曲がかかっていたことにちなんで、かつて彼が羽田空港でオアシスのメンバーに遭遇した時のエピソードを披露していた。そのエピソードは客席からは笑いが起きその場を和ませていた。
「いつ何時もこの曲に勇気をもらって。。同時に逃げらんねーなって言う思いももらって、生きてたりするので。今日石川さんとは今年最後で。この曲を歌って。みんなにも最後立ち上がってまた、また明日、また明日みたいな、そんな日々を駆け抜けていってほしいです」と言葉を置き、アンコールのSLIDEへ。
SLIDE終盤で観客は促されるわけでもなく思い思いに手上げる。曲が終わると見せかけて。再び始まるかの様にギターを鳴らしSLIDE始まりの一節。
“始まりの綺麗な夕陽は 宙に浮かぶ雲を照らすよ”
そして、この一節を最後にステージの幕を閉じる。今年最後の音沙汰良好は盛大な拍手で終わり、来年もまた素晴らしい歌が聴けそうな余韻が残った。
髙木フトシはこのイベントが大好きだと言う。DJ–ISHIKAWA氏と共に来年もまた沢山このイベントをやろうと言う意気込みを見せる場面があった。“音沙汰良好”髙木フトシを中心に素晴らしい音楽を届けてくれるだろうと期待する。
20241206 下北沢440 SET
01 Radio star
02 Sadly / Helpless
03 透明の錯覚
04 I think about you
-mc
05 月の砂の連鎖(vez)
06 Blind / Blind
-mc
07 冷めた目の子供達
En
01 SLIDE
髙木フトシ公式HP 20241207ブログより転載