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1/24 髙木フトシ@下北沢RHAPSODY "2025新年の2マンライブ!!"
act: 髙木フトシ / 三輪和也
今年。2025年、2回目の髙木フトシのライブは下北沢ラプソディ。1/4池袋手刀から3週間ぶりのライブだ。
下北沢ラプソディ、ここはアコースティックライブバー。空が見える開かれた明るい空間。さほどの広さはなく、演者から観客のひとり一人の顔が伺える距離感だ。過去、ここで体験したライブは優しい音楽に包まれて笑顔で終わる印象だ。
この日のイベントは髙木フトシと三輪和也の2マン。彼らの出会いは去年6月、名古屋upsetで行われたイベントだと髙木フトシが語っていた。この日の共演で彼らは意気投合し、去年の夏、東京下北沢でライブで共演し再開を果たしたと言う。下北沢ではライブをしないという三輪和也、そんな彼を髙木フトシが連れ出し下北沢界隈の知り合いのライブ関係者に三輪和也を引き合わせたというのだ。このエピソードがきっかけとなり、この日のイベントの出演が決まったのである。三輪和也曰く、彼自身が髙木フトシとの共演を熱望し願いが叶ったのだと言う。
彼らは相思相愛、個々のMCではお互いをリスペクトしている言葉が聞かれた。
1番手登場の三輪和也の歌はエモーショナルで終始笑顔にさせられたステージだった。彼のセット、最後の歌はギターを置きアカペラ、次の髙木フトシのステージへと繋がれた。
3週間ぶりの髙木フトシの歌声に胸が高鳴った。ステージにはマイクと椅子だけがセッティングされた。そこに髙木フトシが登場する。彼は椅子に座りライブ始まりを待ちスタンバイする。この光景はいつも見慣れたものである。しかし、この日はいつも彼の傍らにセティングされるギターが無かった。
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ギターがない。これはどう言うことなのか?
少しこの光景に混乱させられたのは否めない。しかしすぐに髙木フトシライブ史上神回を予感させるものに変わった。
彼は黙って空を見つめこれから始まる未知のステージに緊張しているようにも見えた。それともこれから始まる未知のステージに全集中しているのか。。時折、笑顔も見せている彼もいた。
BGMが鳴り止み明るかった会場が暗転する。ほんの一瞬、髙木フトシの姿が暗闇に同化し、すぐにステージに明かりが灯され、髙木フトシの姿が現われた。
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ギターを持たずマイクの前の座る髙木フトシがいた。少し間を置いて客席に向けて話し出した。彼は硬く少し困惑した様な表情、目線は遠くを見据え慎重にこの日の状況を説明していた。会場もいつもと少し違った状況に彼の言葉に耳を澄ませていた。
「えーちょっと事情がありまして。今日はギター無しで。歌だけで最後まで歌い切ろうと決心しております。最後まで楽しんでってください」
神聖な空気に鎮まった会場。髙木フトシの歌声だけ響きわたる。観客は髙木フトシの歌声に耳を傾ける。髙木フトシライブ史上、最高にエモいステージが始まった。
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歌い始めるタイミングを図る髙木フトシ、注目の1曲目はblind/blind。エフェクター音やギターの旋律が一切無い、ガチでアカペラで歌う。剥き出しになった髙木フトシの歌声。彼の歌声だけがストレートに耳に入ってくる。クリアな歌声、言葉を優しく丁寧に歌う声、伸びやに揺れるビブラート、時には感情的に声を張り上げる。会場に髙木フトシの歌声が響き渡る。出し惜しみしない彼の歌声はとても心地良い。彼の表現力は底知れない、感動で鳥肌が立つ身体の反応。そして、彼の歌世界へ。
彼は足でリズムを取り、そのリズム音が生音で聴こえている。そして次第に手振りが大きくなり彼をより大きく魅せている。セットリストはラプソディ仕様であろう彼の持つ優しい歌の選曲。Keep it carefully、so、世界の終わりになど、一度はアカペラで聴きたいと思っていたばかりの歌である。彼がアカペラに馴染むつれ、より感情的に激しく歌唱する。全曲アカペラステージは予想した通りに神回となった。
声だけで勝負。ギターなくとも髙木フトシの声そのものが音楽を奏でる楽器そのものだ。彼は元来ボーカリスト、一発勝負のアカペラに耐えうる歌声、スキルと経験値を持っているのだ。
本編が終わり「アンコール良いですか」と共演の三輪和也を呼び込む。呼び込まれた三輪和也からは「ナイス、ビブラート」と笑顔で称賛する。アンコールはこの2人のセッション。三輪和也がギターを弾き、髙木フトシが歌唱するジョンレノンのイマジンだ。髙木フトシはこの歌に愛と平和の願いを込めて歌う。髙木フトシの歌声は憂いがかりどこか切ない。しかしその歌声の芯のところでは愛と平和を信じている様に聴こえた。また、聴く者の全てを優しさに包み込むような歌声、温かい灯火を心に置いていかれた感覚なった。
彼は全曲をアカペラで熱唱し歌い切った。髙木フトシの歌に全集中したステージは終わった。
髙木フトシの初めての試み、全曲ギター無しのアカペラステージは最高なものだった。飾らない100%素の歌声に魅了された。単純に楽しい時間を過ごせたのだ。本当に彼は最高の歌うたいである。
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今までにないギターを持たず全曲アカペラで試みた彼の挑戦。下手したらボーカリスト、弾き語りアーティストとしての真価を問われる。この声ひとつの勝負は果たしてどうなるものかと勝手に思考が巡らせたがそんな思考は無用なものだった。
何も飾らない素の髙木フトシの歌声。これはストレートに聴く者に届くはずだ。そこに彼の唯一無二の声とスキル、表現力、今まで孤独なステージで培ったライブ力に積み重ねた経験値が加われば最高なステージ・ライブにならない訳がない。実際に彼が持つ能力、経験値は彼自身により最大限に発揮され、この日の髙木フトシのライブはスペシャルなものになったのだ。
急遽、前編アカペラのライヴとなり驚かせてしまったかと、、、。
けど、貫けた気がしてる。
それもこれも、ラプソディーだから出来たかと思います。
皆んなに、何度もね、ありがとう。
彼の後日のブログでこの日のことについて記している。彼が貫いた歌は聴いた者の心に届いただろう。終演後、彼の歌を聴いた観客の笑顔で裏付けられる。
急遽、予定外で全曲アカペラライブで挑んだとしても、彼の歌声は人を笑顔に導き、幸せなひと時を届けることが出来たのだ。これはプロセスはどうであれ彼が諦めずにプロフェッショナルに歌を届けた結果だ。これから先、不測の事態に見舞われることもあるかも知れない。しかし、そんなことにもめげずに弾き語り概念をぶっ壊す彼のライブに期待したい。この日、一歩も引かずに彼の歌を届けてくれた髙木フトシをリスペクトし感謝する。
最後にもう一度言いたい。髙木フトシの飾らぬ歌声は聴いたものを幸せ導く。彼は最高の弾き語りアーティストである。
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1/24 下北沢RHAPSODY SET
01 Blind / Blind
02 Chasing cars
-mc
03 Keep it carefully
-mc
04 So
05 世界の終わりに
En
01 Imagine(Session)
髙木フトシ公式HP 20250126 ブロブより転載
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