魔法は自分でかけるから
小学生の頃、新聞の広告チラシを見るのが好きだった。
土曜日の朝刊には、新聞よりも分厚い広告が挟まっている。
母が見向きもせずに横に避けたその束を私はうきうきとしながら一枚ずつめくっては広げていた。
電気屋さんに家具屋さん、百貨店などのチラシの中でお気に入りをみつけると、それを手に入れた自分を想像する。もちろん買ってもらえるはずもなかったので、当時の私はその妄想を趣味として楽しんでいた。
中でも大好きだったのが、家のチラシだった。
中古物件情報の一覧のような、カサカサとした一