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コウノトリ ーはじめてのアート購入ー

2024.10.6

 今日は新しい家の工事の進捗を見に行って来ました。設計士さんがわざわざ来てくれて、まだ壁も張られていない家の中を案内してくれました。

 前回来た時は2階に上がることは出来ませんでしたが、今日は上がって見ることが出来るそうです。とはいっても壁が無く柵なんかも無いので、ちょっと足を踏み外したら1階にぼとん。妻はお腹が大きいのでお預けです。

ベランダ
羨ましそうに見上げる人
階段ができる場所


 家を建てようと意気込んだのが2023年の1月頃。この土地と出会い、今の設計事務所さんに出会ったのがその年の3月。そして今、2024年の10月。

 2年近くかかってようやくここまで来ました。来月末には完成する予定です。こんな木材むきだしの状態からあと一月半で出来上がるなんて、びっくりです。いざ建て始めたら早いものですね。

 家の外にある足場なら柵も階段もあるし比較的安全かも、ということで妻と一緒に登ってみます。2階の高さまで上がるとずいぶんと見晴らしがいいです。本当にいい土地を見つけました。

 高いところは私の方が苦手なのですが、今日は妻の方がビクビクしていました。お腹に手を当てている妻を見て、『もうお母さんなんだな』と思います。臆病になるのは母としての強さなのでしょう。

 さて、帰りにギャラリーに寄ろうという話をしていました。本当は昨日行く予定でしたが、雨で天気が悪かったので延期したのです。

 電車に乗って品川で降りると目的のギャラリーに向かって歩きます。品川は坂が多く、お腹の大きい妻は大変そうです。上がったり下ったり、ゆっくりゆっくり、よいしょよいしょ。

 今回ギャラリーで開催されている個展は、「あおきさとこ個展 - すぐソコにある - 」。作家のあおきさとこさんのことはブレイク前夜という番組で知りました。

 やさしい色づかいや、手縫いのようなあたたかく芯のあるタッチがぼんやりと印象に残っていて、その時にInstagramをフォローしていたらしく、今回の個展のことを知ったのです。

 妻も好きそうな雰囲気だし、「ちょっと行ってみない?」と私が声をかけたのでした。玄関の絵にちょうどいいかもと。

 そうです、玄関の絵です。約一年半前、家を建てることになって間取りの相談をしている段階で、『家の玄関に絵を飾りたい』という話をして、スペースを作ってもらったのですが、肝心の絵が決まっていないのでした。

 私は現代アートが好きなので、玄関に相応しくもちょっと捻りのある絵を探していたのですが、その点が妻のイメージと食い違っていて、一年半経った今でも全く決められないでいました。

 ギャラリーに並べられている絵はどれもあたたかみがあって、やさしいものばかりでした。作家のあおきさとこさんが在廊されていて、ほとんど付きっきりで作品の紹介をしてくれます。とっても贅沢。

 お話を聞いていると、『家』への憧れを絵にした作品や、妊娠中に沸いてきたエネルギーで絵を描いたことなど、これからマイホーム購入と出産を控えている私たちとシンクロするようなエピソードが続々出てきました。

 あおきさんはとても穏やかでやさしい感性をお持ちな方でした。それでいて瑞々しいエネルギーに満ちていて、いい意味でお子さんがいる様に見えない。きっと、子育ての苦労も楽しんでアートとしてアウトプット出来る方なのでしょう。素敵だと思いました。私はピンと来ました。

購入した絵

 妻も同じらしく、『この方から絵を買おう』と決めました。そこから2時間近く悩んで最終的に二択になり、そして選んだのがこのトリさんの絵。やたら目が合うのです。

 玄関に飾るのだから、『行ってきます』『ただいま』と声がかけやすい絵にしたいと思いました。この愛らしいトリさんなら『行ってらっしゃい。おかえりなさい』と返してくれそうな気がします。

 後から作家さんに聞いたのですが、この絵とは不思議な縁があるようです。この絵は妊娠中に描かれたものだそうで、とある個展の看板娘(DMの表紙)を務めたことがあるそうなのですが、そのDMが完成した時に陣痛が来て無事出産出来たのだとか。

 まるでコウノトリみたいですね。もしかしたら今回も、妻のお腹を見て一仕事しようと私たちに熱い視線を送ってくれたのかもしれません。

 それから最終的に二択になったもう一枚の絵がこの絵(上の写真左の絵)なのですが、こちらはなんと今の妻とちょうど同じ妊娠周期の時に描かれた絵だということが後日発覚。なんとも不思議です。

 こちらはもしかしたらお腹の中の娘がシンパシーを感じて熱い視線を送っていたのかもしれません。

 コチラを見つめている絵とコチラから見つめている絵。選んだのはトリさんの絵一枚だけでしたが、なんとも不思議で優しい体験をしました。アートを買うのははじめてのことでしたが、それが素敵な体験になって良かったです。


2024.11.10

 先日の妊婦健診で妻が全前置胎盤であることがわかりました。即刻仕事は休み。今は自宅安静をしています。

 スマホで『全前置胎盤』と検索ボックスに放り込むと、『死亡率』という関連ワードが目に止まります。

 正直、とても怖いです。今は医療も進歩して死亡に至る事例はほとんどないそうですが、それでも不安です。こんな時に気丈に振る舞えない自分の女々しさを情けなく思います。

 来月の頭には引っ越しを終え、あの絵をお迎えに行く予定です。妻はもしかしたら早めに入院しているかもしれません。

 早くあの絵をお迎えして玄関に飾りたい。どうか妻も娘も無事であって欲しい。トリさん、どうか私たちが家族3人で無事に新しい生活をはじめられるよう、力を貸してください。

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