【さんぽカメラ②】なかなかハードなハイキング【鎌倉周辺】
↓前回の記事
鎌倉の空をそれなりのスピードで進んで行く湘南モノレール。ジェットコースターとか呼ばれているみたい。休日の9時半過ぎ。天気は晴れ。
西鎌倉駅についてドアを降りると、同じ車両の別のドアから降りて来た友達と目が合いました。
今回は観光ではなく鎌倉の自然散策メイン。
さあ鎌倉さんぽカメラ旅のはじまりです!
【西鎌倉駅〜鎌倉高校前駅】
今日のおともはオリンパスのOM-1。
最近発売されたデジタル一眼ではなくてフィルムのほう。
フィルムが値上げしてからずいぶんと疎遠になっていたカメラです。
西鎌倉駅を降りて上り坂の続く住宅街をひたすらに歩いて行きます。
歩くと大変ですが坂のある土地は好きです。
目的地は鎌倉広町緑地。
広大な敷地に豊かな里山の自然が楽しめる場所になっています。
最後に訪れたのは3年前。
当時の相棒はFUJIFILMのX-A7というカメラでした。私の初めてのカメラです。
鎌倉広町緑地
さて、気がつけば緑地まで来ていました。
入ってすぐ小さな菜の花畑があったのでさっそく一枚撮りましょう。
記念すべき最初の一枚です。
私のOM-1は露出計が壊れているので、単体露出計で露出を測ります。
でもこの不自由さが、フイルムだなぁ……。
ケチって最初に十分な空シャッターを切らなかったから、ほらね、半分焼けてしまいました。
でも小説の初めの見出しと白紙のページみたいで、これから36ページの物語がはじまるぞって感じで、なんだかわくわくします。
天気予報は5月並みの気温と言っていたけれど、生い茂る木々の陰は冬の寒さを残しています。
それでもひたすら遊歩道を歩いていると、身体は自然とほてってきて調子が出て来ます。
ちょっとしたハイキングです。
最近観た映画やドラマなんかの話をしながら、緑の葉の擦れる音をBGMに歩きます。
私は人見知りだけれど、気を許した相手にはついおしゃべりになってしまうところがあります。
ほら今も自分が話したことしか思い出せない。
いつも後になって後悔。
あら、いつの間にやら木々の間から吹き付ける風に優しい潮の香りが乗っています。
とても良い見晴らし。
海側を撮ろうか街側を撮ろうか悩んでパシャリ。
今回はフィルム1本しか使わない予定なので、とっても慎重になってしまいます。
ちなみにフィルムはKodak Colorplus 200。
理由は一番お手頃だから。
眺望を堪能して七里ヶ浜方面に公園を抜けます。
空は少し霞みがかっていて、もっと空気が澄んでいれば富士山も見えたそうです。残念。
鎌倉高校前駅
来た時と同じ様な住宅街の坂道を今度は降って行きます。
少し歩いたところで家々の合間から突然、空がのぞきました。海の予感。
海っていつも突然現れる。
だから感動も大きくて、あんなにケチケチしてたシャッターを同じ場所で2回も切ってる。
ほんと、わかりやすい。
だけれどそんなのんびり海を眺めてる余裕はなくて、なぜなら風がものすごく強い。
しかも砂が混じっていてバチバチあたる。
カメラが壊れたら大変。
急いで駅へ向かいます。
途中の踏切で何やら人だかりを発見。
バスケのユニフォームを着ている外国の方を見つけて理解します。
そういえばスラムダンクの聖地なんだっけ。
それにしてもすごい人気で警備員さんまでいます。
私は作品を読んだことないので、反対を向いて江ノ島にレンズを向けます。
風と砂塵のせいでシャッターチャンスをあまり待てません。
駅の改札をくぐり、邪魔にならない様に気をつけつつホームからの写真を狙います。
【長谷駅〜寿福寺】
江ノ電に乗って長谷駅へ。
休日の江ノ電は相変わらず賑わっていますね。
ランチを済ませたら鎌倉大仏を見て徒歩で北鎌倉駅を目指します。
Bergfeld 長谷店
せっかくだから地のものが食べたい。
生しらす丼。
だけれど今はちょうどお昼時。
海鮮を出す食堂を2箇所ほど回ってみたものの、もちろん並んでいます。
そして見つけた一軒のパン屋さん。
店内はとてもいい雰囲気でお食事も美味しいです。会話も弾みます。
ライ麦のパンにスモークサーモンやチーズが乗ったランチセット。
写真映えもしますね。
友達が
「食器にこだわりとかある?」
って唐突に聞いてきて、イイホシユミコさんのunjourシリーズがお気に入りだと答えると、
「今どれ持ってるの?」
と聞いてきます。
しばらく前から、私は近々引っ越しの予定があることを友達に話していました。
そういうことか。
友達は器用な人だと思っていたので少し笑ってしまいました。
引っ越し祝いなんて気を使わなくていいよ、と言ったものの、それでもとても嬉しかったです。
鎌倉大仏
長谷に来たからにはとりあえず大仏。
小学校の修学旅行で来た時は、ここでリスを見つけて追いかけ回しせっかく持ってきた写ルンですをほとんど無駄にしてしまいました。
そんなことを思い出しつつ、いざ鎌倉大仏とご対面……!
……したものの、はるかに巨大な牛久大仏を身近に育った私たちにはあまりインパクトはありません。
ちなみに鎌倉大仏は約10m。牛久大仏は約100m。
うん、圧倒的。
ハイキングコース〜銭洗弁財天まで
鎌倉大仏サクッと拝んだらそのまま奥へと抜けて歩きます。
トンネルの横に傾斜の急な階段がありました。
まさかと思いGoogle mapsを確認するとルートはそちらを示しています。
階段を少し登ったところで観光客風のブロンド髪の女性がキョロキョロとしています。
道は二手に分かれていてどうやら右側へ進むのが北鎌倉駅への正規ルートらしいのですが、なんとなんと結構な岩場になっていて、張ってあるロープを掴みながら家族連れが降りてきます。
2人してちょっと困惑したものの、結局カメラを庇いつつロープを掴んで岩場を登って行きます。
広町緑地に続いてふたたびハイキングスタートです。
しばらく歩くと山道に急にひょっこり看板が。
『樹ガーデン』。
鎌倉のラピュタとか言われているカフェですね。
こんなところにあったとは……。
今回はカフェには寄らず先へ進みます。
道中ふと足元を見るとゼンマイがひょっこり顔を出しています。
不思議なもので一つ見つかると、二つ三つとたくさんのゼンマイが生えているのが見えてきます。
そのまま歩き続けると車道に突き当たります。
源氏山公園に到着しました。
銭洗弁財天
マップを確認すると近くに銭洗弁天があったので寄ってみることに。
洞穴になっている入り口を通って行きます。
等間隔で電灯がつけられた洞窟の中はなんだかセンター・オブ・ジ・アースの待機列みたい。
そういえばディズニー久しく行ってない…。
洞窟を抜けると岩や木で作られた鳥居が並んでいます。
その先に現れる社殿やそれを含んだ空間はとっても神秘的。
切り立った岩壁に四方を囲まれて秘境感がすごい。
今度は人の少ない時間帯に行ってみたいですね。
奥にある水場でみんなお金をザルに入れてジャブジャブ洗っていました。
今回はカメラが濡れたら怖いので遠慮しておくことに。
銭洗弁財天〜寿福寺まで
時計を見るとこの時点で15:30を回っています。
北鎌倉の神社仏閣は16時には閉まってしまうところが多いのでルート変更。
戻って源氏山公園の案内を見ると『寿福寺』へ抜けられることがわかったのでそちらを目指します。
公園を抜けるようにそのまま緑の中を歩いて行きます。
…が、『通行注意!』と書かれた看板が。
歩けないことはないですが、急な斜面になっていてしかも雨でぬかるんでいる。最悪です。
おそるおそる進んで行くと、
「あ、リスだ。」
と友達が。
見上げるとグニっと曲がった木の枝の先が大きく揺れています。
急いで望遠レンズに付け替えて覗いて見ると、あら可愛らしいリスちゃんを確認。
狙って見るもののこちらはフィルムISO200。
望遠レンズの開放端はf3.5。
しかも足場は最悪なコンディションでちょっと動いて転びでもしたらゴロゴロ下に転がって行きそう。
しかたない、あきらめましょう。
……とはいえあきらめきれず、また出会えることを期待して望遠レンズをつけっぱなしにして歩きます。
ちなみにレンズはZUIKO AUTO-T 135mm F3.5。
リスまた出てこないかな。
なんて2人で話していると、なんと本当にリスが!
またしても2人で必死にカメラで追いかけます。地元の人らしき人たちが目もくれず通り過ぎて行きます。
せっかくのチャンスだったのに私は一枚もシャッターが切れず。
フィルムカメラの限界です。
うう、くやじい……。
友達はバッチリ上手に撮っていました。
友達はRollei 35に加え、バリバリハイスペックのFUJIFILM X-T5もある。
とはいえレンズはこれ。
普通にすごくない……?
リスのもやもやを残しつつ先へ進むと、またしても『通行注意!』の看板が。嫌な予感。
崩れた岩場に突き破られたフェンス。
飛び出した木の根を掴みながら降りて行きます。
ですがこんな時でも写真を撮ることは忘れません。
長い長いハイキングを終え、ようやく見慣れた寿福寺裏の霊園が。
普段は正面から見る参道を反対側から拝みます。
なんだか特別な気分です。
寿福寺は鎌倉に来ると必ず訪れます。
観光客でごった返した小町通りや鶴岡八幡宮に比べて、静かで厳かな雰囲気に浸ることが出来る場所です。
さて、残るフィルムもあと3枚ほど。
今回のさんぽはここまで。
なんだかんだで結構ハードなハイキングになってしまいました。
けれども鎌倉の豊かな自然をフィルムカメラだからこそのゆったりとしたテンポで楽しめた素敵な一日になりました。
おまけ
その日の夜、友達からLINEがあって『今日は楽しかったー!』的なことかと思ったら、なんと開かれたRollei 35の裏蓋と千切れたフィルムの画像が。
やっぱり今日は嫌な予感がしてた。
伝染してしまってゴメンね……。
なんとか現像には出せたみたい。
きっと生き残ったフィルムから、破れたことで個性を持った味のある写真が戻ってきてくれる。
それがいい思い出になってくれますように。
Camera:Olympus OM-1
Lens:ZUIKO AUTO-S 50mm F1.4
ZUIKO AUTO-T 135mm F3.5
Film:Kodak Colorplus 200