バッドランドの恐竜たち~感想~
先日、福井県立恐竜博物館に行ってきました。
特別展示の「バッドランドの恐竜たち」を見てきたのでその感想を書いていきます。
なお、訪問したのが10月末で、この記事を書いている時点で展示が終了しています。そのため、感想は過去形で書かれています。ご了承ください。
バッドランドとは
展示物紹介
「バッドランドの恐竜たち~北アメリカの1億年~」では、恐竜研究の聖地である北アメリカ大陸の恐竜たちをテーマに、三畳紀から白亜紀までに生息していた恐竜の化石を時代順に観覧することができました。
以下印象に残った展示の一部を写真付きで紹介します。
コエロフィシス・バウリ(ボーンベッド)
コエロフィシスは三畳紀に生息していた獣脚類の恐竜で、ニューメキシコ州では数百体の規模で化石が見つかっています。展示されているボーンヘッドには7体のコエロフィシスが含まれています。
幼体から老体までの化石がみつかっており、コエロフィシスは群れで暮らしていたとされています。
腹部からは、エサとなった小型爬虫類の骨が見つかることもあるようです。
スーパーサウルス
スーパーサウルスは後期ジュラ紀に生息していた、全長33~35mになる非常に大型の竜脚類です。写真は肩甲烏口骨です。
かつてはブラキオサウルスに近い仲間だと考えられていました(私もスーパーサウルスと聞いて、まずブラキオサウルスのシルエットを思い浮かべました)。おそらく実物の化石を見たのはこれが初めてだったと思います。
アロサウルス・ジムマセドニ
アロサウルスはジュラ紀の獣脚類で、生態系の頂点に君臨していたといわれています。アロサウルスは多くの化石が見つかっており、何種類か種類がいます。
写真の化石は「アロサウルス・ジムマセドニ」という種の実物化石です。同種のタイプ標本(種を特定するために基準となる標本のこと)でもあります。一般的に知られている「アロサウルス・フラギリス」とは異なり、ジムマセドニはさらに古い年代の地層から見つかっています。頭部の突起など、見た目にもいくつかの違いがあります。
デイノニクス・アンティロプス
小型獣脚類、好きなんですよね。
白亜紀前期に生息していた小型の肉食獣脚類です。かぎ爪、特に後ろ足に大きなかぎづめがあるのが特徴で、名前の意味「恐ろしい爪」にもなっています。
デイノニクスはテノントサウルスという草食恐竜と同じ場所から化石がよく見つかり、またテノントサウルスの化石にはデイノニクスが噛んだ痕跡が残っていることから、デイノニクスはテノントサウルスを捕食していたと考えられています。バッドランドの恐竜たちでの展示も、デイノニクスがテノントサウルスを襲っている構図を再現していました。
デイノニクスには羽毛の痕跡が見つかっていませんが、近縁種には羽毛化石が発見されており、復元図では羽毛で覆われた姿が描かれています。
ゴルゴサウルス・リブラトゥス
白亜紀後期に生息していた獣脚類です。ティラノサウルスの仲間であり、ティラノサウルスに似た特徴を持っています。
展示されていた標本は全身の骨格が残っていました。他の生物に亡骸を食い荒らされたり、骨がばらばらになる要因はいくらでもあるのですが、ここまで崩さずに全身が残っているのは珍しいことだと思います。
また、この化石の頭部にはいくつかの傷が残っています。研究によるとゴルゴサウルスは同種同士で頭をかみ合う喧嘩をよくしていたらしく、この傷もかみ合いでできた傷ではないかと思われています。
アロサウルス・ジムマセドニやゴルゴサウルス・リブラトゥスなど、海外の博物館が所有している実物化石を間近で見ることができたのは、本当に素晴らしい体験でした。
他にも写真を挙げたい展示物はあるのですが、長くなるのでこの辺で
また特別展示などを観覧したら記事にしたいと思います。
参考文献
『バッドランドの恐竜たち~北アメリカの1億年~(特別展の図録)』
2024年7月
福井県立恐竜博物館/[編]