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老母と私の農作ノート121
氷点下の朝の静けさが、私の自宅の窓ガラスを霜で覆い尽くし、外の世界を幻想的に変えました。通常なら暖冬に包まれた日々が続き、温暖化の影響で冬の厳しさを感じることは少なくなっていたが、今日はまるで自然がその存在を誇示するかのように凍てつく寒さが訪れました。こんな日があるからこそ、私たちは季節の移ろいを肌で感じ、自然の力強さに感動するのだと改めて気付かされます。
ただし、連休明けの凍てついた空気は我が身に辛く感じさせられます。三連休はほとんど家から出ずに、週末に実家に行ったくらいでした。
車で出発し、まずは自宅の前の桜並木を通り抜ける。春には満開の花々が咲き誇り、冬には寂しげな枝が静かに佇むこの道も、今日は特別な表情を見せています。氷点下の寒さが桜の枝を覆い、霜が銀色に輝く光景はまさに冬の魔法です。少し進むと細い道に差し掛かり、車がやっと離合できるほどの狭さですが、この道を通るたびにその風景が心を和ませてくれます。
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やがて広い4車線の道路に出ると、ラッシュアワーの車の流れが滞り、進むスピードは一気に鈍化します。毎朝見慣れたこの風景も、今日は特別な寒さが漂い、車内でも吐く息が真っ白に凍るほどです。こんな冷たい朝にこそ、温暖化や暖冬の話題がふと頭をよぎります。最近の気候変動により、冬の寒さが緩和され、四季の明確な移ろいが薄れていく中で、このような寒さが訪れることは驚きと同時に懐かしさを感じさせます。
勤務先までの30分間、車内で暖房を効かせながら、寒さの中にも温かさを見つける瞬間を楽しみます。市街地中心部に近づくと、ビルの合間から見える青空や街路樹の様子が変わり、都会の冷たさが漂います。それでも氷点下の朝の冷気は、私たちの心を引き締め、日常の喧騒に対する新たな視点をもたらしてくれるのです。
この寒さがどこから来たのか、そして暖冬や温暖化がどこに行ってしまったのかと疑問に思いながらも、自然の移ろいに敬意を払い、私たちがどれほど技術や知識を駆使しても、自然の偉大さと不思議さには抗えないことを実感します。氷点下の朝が私たちに示すもの、それは自然がまだ力強く息づいていること。そして、その冷たさが私たちに与える感動と学びは、何ものにも代えがたい価値を持つのです。
一日一日が特別であり、今日の氷点下の朝はその証。暖冬や温暖化の影響を感じる日々の中で、私たちはこの寒さを貴重な経験として受け入れ、自然との共生を大切にして生きていくのです。