老母と私の農作ノート16
母はいま86歳である。私の祖母は父方のほうは早くに他界した。70歳になっていたかどうか。
しかし、母方の祖母は百歳で他界した。たぶん母もそれくらいは生きてくれるのではないかと期待している。病気はあまり気にせずとも体は丈夫な人である。ただ心配なのは車をまだ運転していることだ。田舎だからねぇ・・車がなければ不便だろう。
母には本当に必要最小限の時以外はハンドルを握らないように言っている。妻は毎週通っているのだから、その時に買い物に連れて行けばよいのにという。たしかにその通りだ。今度提案してみよう。
先週は木の処分ができたから、今度は畑の中にたっている邪魔な木を植え替えるつもりだ。まずはバラ。木と言えるのかどうかは分からないが、茨に引っかかれながらの悪戦苦闘になりそうである。しかも予報はまたしても雨。土を掘るのには都合がよいかもしれない。ドウダンツツジの引っこ抜きは失敗している。スコップがあればなんとかなったかもしれないが、鍬とかの畑道具ではなかなか掘り取れない。
先週はその切り株に母がつまずき転びそうになった。なんとか端っこだけでも掘り取りたいものだ。
私の腰くらいよりも低い木だったが、かなり根っこは深いのである。来週の目標はバラの植え替え。続いてドウダンツツジの撤去(1本)。できれば畑をひと畝耕し苦土石灰か灰を負けたら最高である。
毎回計画通りにいかないから最低ラインはバラの植え替えかな。
バラと言えば、母は若いころは美貌の持ち主だった。バラの花がよく似合っていた記憶がある。あれは私が小学校の卒業式でもらったバラではなかっただろうか。母に差し出すと嬉しそうにほほ笑んだ姿を思い出す。
母は子供の私から見てもほかの人よりあか抜けていたのではないかと思う。小さなころスケート場に連れて行ってもらい、母はスケートリンクの外で見ていて私だけが滑っていた。もちろん手すりにつかまったままあまり滑ることができない。そこへやってきた見知らぬお兄さん・・・しばらく私に滑り方を伝授してくださった。
そのお兄さんの最後のセリフは今でも思い出す。「あそこで見ている女の人はお姉さん?お母さん?」何のためらいもなく「お母さん」と即答した私。すぐに離れていったお兄さん(笑)
母は20歳で父に嫁ぎ、21歳で私を生んだ。若く見えるのも当然といえば当然である。
いつまでも元気に長生きをしてほしいものである。