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"損切り“への認識、それたぶん間違ってます。損切りの本質について考える

 

1.損切りへのネガティブな印象

  

損切りについて反射的に抱いてしまう印象や、
実際に損切りしてしまった時に感じる感覚はどんなものだろうか。
 
 
・大事なお金が減る
・失望感や無力感を感じさせる
・怒りが沸いてイライラする
・必要と分かりつつできれば避けたい
・あの逆指値の約定音が大嫌い
・トレードの中で一番嫌い
・苦しみや辛さを与えるもの

  

おそらくこのような、ネガティブなものばかりだと思う。 
 
頭では、損切は大切で必要なものだと分かっていても、反射的にはネガティブに感じる事が多いと思う。

一方で、少し冷静に損切りを捉えている時もあると思う。
 
損切りについてちゃんと向き合っている時や、前向きに考えられている時。
 
その時には 
 

・損失は必要経費だ 
・損失は勝つためのコストだ
・勝つうえで避けては通れないものだ

  

という風に思える事もあると思う。
 

その時のあらゆる状況や精神状態によって、損切りに対する印象は多少変化すると思う。
 
しかしほとんどの場合、最初に挙げたネガティブな印象に偏っているのではないかと思う。
 
アタマではポジティブに捉えたい損切りだが、本能としてはどうしても嫌なモノとしか思えない。
 
この本能に抗うために、せめて損切りに対する認識の仕方について、少し考え直してみたいと思う。 

 

2.損失は必要経費、勝つためのコスト

 

損切りは必要経費という考え方は、その通りだと思う。
 
相場を見ていて、優位性のありそうな(勝てる確率の高そうな)場面があったとする。
 
トレーダーであれば、優位性が機能するかどうかを確かめるために実際に仕掛ける。
 
機能すれば利益になるし、機能しない場合は損切りとなる。 
 
トレードでは、勝ったり負けたりを繰り返しながら利益が積みあがっていくため、トータルで勝つためには損切りが不可欠になる。
 
そう考えると、損切りは必要経費だということが理解できると思う。
 
あくまで、理屈としては。

実際は、理屈としては理解しても、嫌なものはイヤだし、なんとなく表面的な理解になりがちだと思う。  
 
ちょっとだけ深堀して、必要経費・コストとはどういうモノか考えてみる。
  

3.クレーンゲームで考える「損切り」


クレーンゲームを想定してみる。

クレーンゲームは、一回1万円ででき、2万円の入ったカプセルを取るというものとしよう。
 
カプセルが取れた場合、入れた1万円は返却される。

クレーンゲームを観察しているうちにある有利なやり方をみつけ、チャレンジする。

ゲームするにはまず1万円を機械に入れてから、ツメを動かして取ろうとする。

1万円は、ゲームに参加するための”必要経費・コスト”といえる。
 
イメージしてほしいのは
 
この時、有利なやり方をみつけてそれを試すために必要な1万円は、あまりマイナス感情はなく、前向きな気持ちで払うのではないかという点だ。
 
「良いやり方を見つけた!たぶん取れる!試してみよう」といった感じだろうか。
 
取れなかった場合は残念に思うかもしれないが、繰り返しチャレンジできる限りは大して落ち込まずに自分の仮説を試しにいくと思う。
 

もしクレーンゲームを行い、10回チャレンジしたとしよう。
結果は以下の通り

回数:1  2  3  4  5  6  7  8  9  10
結果:〇 〇 ✕ ✕ ✕ 〇 ✕ 〇 ✕ 〇

5回カプセルが取れ、5回は取れなかった。
 
+2万円×5=計10万円の利益
-1万円×5=計5万円の損失
 
=差し引き5万円の利益 となった。
 
 
有利そうなやり方を見つけ、実際に試し、プラスの結果を出すことが出来た。 
 

4.トレードでの損切りをより正確に捉えてみる 


このクレーンゲームの例をトレードに直すと、
 
「損失1万円、利益2万円を狙えるトレード(RR比率 1:2)を10回い、5勝5負だった(勝率50%)」
 
となる。
 
ここで見落としがちなポイントがある。
 

クレーンゲームをする時、必要経費・コストは必ず先に支払われていなければならない点だ。
ゲームに参加した時点で、もう支払い済み。
 


これをトレードに置き換えると次のようになる。

「ポジションを持った時点で、想定される損失(経費・コスト)を既に支払っているに等しい」
 

 
つまり、トレードで一定の逆行で1万円損切り、順行で2万円利確という場合
 
ポジションを持った時点で、1万円の損失が確定している(経費・コスト支払っている)と考えたほうが良い。

 
2万円の利益を得られそうな優位性のあるトレードに、喜んで1万円を払っている。
 

と言い換えられるかもしれない。
 
これがより損切りの実態に近い考え方になると思う。
 
 
ここで考えてほしいのは 

ポジションを持った時点で、勝つために必要な経費の支払いがもう“確定”していると仮定しすると
それが実際のトレード結果で損切りという形で現れたとして、一体何がダメなのか?

  

という点になる(もちろん期待値がプラスであることが前提)
 

損切りされた
 = 既に支払い済みの経費・コストが、目に見える形になっただけ

  

ならば、論理的には何も問題はないのではないだろうか。 
  
もちろん理屈上はそうでも、心の底からの納得は難しい。
 
損切りに対する嫌悪感や嫌な印象は、普通は心身に焼き付いているため、損失忌避の気持ちと行為が生じるのが自然だ。
 
しかし、この考えを持つことで、損失への嫌悪感や嫌な印象がいくらかマシになるとは思う。
 

損切りの本当の性質について少しづつ納得していくことができれば、
 
「あぁ、それだけか。なら損切りで過度に落ち込むのってアホらしいな」
 

と思えるかもしれない。
 

 

5.実際に損切りをどのように意識してトレードへと臨めば良いか

 

実際のトレードでの心構はどうすれば良いか。
 
損切りをより正確に捉えた場合、例えば以下のような感じになるだろうか。
 

「ここは優位性が高そうだ。損切り目安はこの辺で(仮に1万円損失)、利確はこの辺(仮に2万円利益)か」
 
「この優位性が機能するか確かめるために、1万円支払おう」


 
 

1万円を前向きな気持ちで支払い、優位性の高そうなトレードへの参加権を得るようなイメージ。 
 
期待値プラスのトレード1回に参加するための必要経費・コストの支払いを、もう済ませているという意識。  

 
 
クレーンゲームに有利なやり方が見つかった時、積極的にお金を入れてから動かすのと流れは同じだ。

 
この意識を(無理矢理にでも)持つことができれば、損失が確定したとしても、それはもう支払い済みなので問題はない、と少し思えてくるハズだ。
 
損切りというものの性質をより正確に捉えると、こういう感じになると思う。
 
 

6.仮に論理的にはそうでも、実践するには訓練がいる。その時、損切りへの正しい認識があれば助けになる


 

もちろん、ここまで話した損切りの性質を理解しても、それで損切りを抵抗なく出来るかといえば別問題だ。
 
損切りに対するネガティブな印象がすぐに拭えるのなら誰も苦労しない。 
 
根強くパターン化された感情・思考の問題というのは、そう簡単には解決できない。
 
しかし意識して訓練することで、ネガティブイメージをかなり軽減できると思う。
 
その上では、損切りの性質をより正しく認識しておくことが1つの知識的な助けになる。

徐々に意識していくことで、今までより少し楽に損切りできるようになるかもしれない。

   


 
 

損切りができない心、根付いてしまった感情・思考がトレードに及ぼす悪影響。その解決策は以下のnote↓を参照してほしい。有料なので最後までは読めないが、序章と無料公開部分だけでも参考やヒントになると思う。

  
 
 

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