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地域によって馬車の呼び名が違うのはなぜ?

今日のインドネシア語の授業は、乗り物がテーマであった。バイクとか車とか電車とか飛行機とかと最初は簡単な単語について学んでいたが、ベチャの話から、日本の人力車の話になり、マリオボロ通りを走るアンドンという馬車の話になった。ひとしきり雑談が終わると、その後テキストに入ったのだが、その最後の例文にやたら知らない単語が多くて、思わず勉強してしまったので、その記録を残しつつ、前から整理したいと思っていた馬車の話をしてみよう。

今日のテキストの例文の日本語訳は以下の通りである。マリオボロ通りにもみられる馬車アンドンAndongの話である。

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アンドンはジャワ、特にジョグジャカルタの伝統的な交通手段である。昔、アンドンはマタラムの王たちの乗り物だった。この乗り物は、美しい装飾が施された馬が引く馬車のかたちをしている。この乗り物はしばしばクレト・クンチョノ(ジャワ語)と呼ばれる。ジョグジャカルタ王宮内のロト・ジョグジャ博物館には、今でも多くの王室用の馬車が保管されている。

現在、アンドンは、王が所有する車や馬車を模した民衆が使用する交通手段である。この乗り物は王の乗り物とは異なる。一般民衆の乗り物は、その財力にあった外観をしている。アンドンはそうして普通の伝統的な交通手段となったのである。

ジョグジャでは、マリオボロのような観光地でアンドンを見ることができる。マリオボロでは、ジョグジャカルタのまちを楽しむためにアンドンに乗ることができる。アンドンに乗る料金は、移動距離に応じて調整される。
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以上が例文である。

私の経験から言うと、同じ馬車でも地域によって形式や呼称が異なり、ロンボクのものはチドモ、あとジャワでもドカルと呼ばれるものがスラバヤかマドゥラにあったのではないかと思う。1990年代の記憶である。

馬車の地域性の形成について、いつか考えてみたいと思っていた。漠然と地域による違いはわかっていたが、それぞれの地域に固有な馬車がどのような要因で成立したのかを明らかにするものである。

そのためには分布を抑える必要があるが、この数時間調べただけでは、はっきりとはわからなかった。インドネシア語の論文でもあるのではないかとResearchGateという論文の検索サイトで調べてみたが、関連する研究を見つけ出すことはできなかった。また改めて探してみたいと思う。

ネットで調べてみると、ドカルDokar、アンドンAndong、デルマンDelman、カハルKahar、クレテクKeretek、ブンディBendi、チドモCidomo、サドSado、ナヨールNayorなどがあるようである。

デルマンはオランダ人技師の名前から取られたという。オランダ統治との関連が強く、ジャカルタを中心に用いられ、車輪も2輪のものもあれば4輪のものもあったという。

ドカルはDog Carから来たという説がある。狩猟用に開発された軽馬車で猟犬を乗せるためのスペースが用意されていたともいう。その後19世紀に車両のかたちが様々に変化しながらジャワ全域に広がっていったとのことである。カハル、クレテクは西ジャワに分布するもので、ドカルからの派生型と考えられている。

4つの車輪があるのがアンドンで、ジョグジャカルタやソロの乗り物であり、王宮の存在と関係があるのではないか。

ブンディは西スマトラ州のもので、2輪のものであり、ブキティンギやパダンでみられる。

ブキティンギ(西スマトラ)のブンディ

チドモはホイールに特徴があり、木製の車輪を使うことなく、車のホイールを使うとのことである。元々そうだとすれば、あまり昔までは遡れないということだろうか。人を運ぶためのドカルとは異なり、物資を運ぶためのチカルを起源としているという。ロンボクに特有の乗り物である。

ロンボクのチドモ。車の車輪が使われている。

サドは背中合わせを意味するフランス語が元になっており、実際、運転手含めた2名とその後ろの乗客2名は背中合わせになって乗る形式である。

などなど、ネットで色々と調べると情報は出てくるが、実態を抑えながら検討すると、地域性がどのように生まれてきたのかに対する仮説のようなものを導き出せるかもしれない。

オランダの統治との関係、王宮の権力との関係、物資の輸送手段としての馬車と人間の移動手段としての馬車、ジャワの中心性と他の島々の周縁性などが絡まり合いながら地域性が生まれたのではないかと考えられる。241018

翻訳ノート
Andong merupakan alat transportasi tradisional di Jawa, terutama di Yogyakarta. Dulu, andong merupakan kendaraan raja-raja Mataram. Kendaraan ini berbentuk kereta yang ditarik oleh kuda dengan hiasan yang indah. Kendaraan ini sering disebut kereto kencono. Di Kraton Jogjakarta, masih banyak kereta kerajaan yang disimpan di Museum Roto Jogja.

アンドンはジャワ、特にジョグジャカルタの伝統的な交通手段である。昔、アンドンはマタラムの王たちの乗り物だった。この乗り物は、美しい装飾が施された馬が引く馬車のかたちをしている。この乗り物はしばしばクレト・クンチョノ(ジャワ語)と呼ばれる。ジョグジャカルタ王宮内のロト・ジョグジャ博物館には、今でも多くの王室用の馬車が保管されている。
merupakan : adalah, is, am, are terutam : especially   kendaraan : 乗り物
berbentuk : have shape   ditarik : tarik 引く   kuda : 馬.  hiasan : 装飾
sering : しばしば.  disebut : sebut, being called.   kerajaan : raja, kingdom
disimpan : simpan, save

Pada saat ini, andong adalah alat angkut yang digunakan oleh rakyat yang meniru kendaraan atau kereta yang dimiliki raja. Kendaraan ini tidak sama seperti kendaraan raja. Kendaraan rakyat biasa memiliki penampilan yang disesuaikan dengan kemampuan rakyat. Andong kemudian menjadi alat transportasi tradisional biasa.

現在、アンドンは、王が所有する車や馬車を模した民衆が使用する交通手段である。この乗り物は王の乗り物とは異なる。一般民衆の乗り物は、その財力にあった外観をしている。アンドンはそうして普通の伝統的な交通手段となったのである。
angkut : 輸送   digunakan : used   rakyat : 民衆   meniru : 真似る   dimiliki : 所有 penampilan : look(style), performance   disesuaikan : menyesuaikan, sesuai, adjust   kemampuan : capability.  kemudian : then.  menjadi : 〜になる

Di Jogja, kita bisa melihat andong di tempat-tempat pariwisata seperti malioboro. Di malioboro kita bisa naik andong untuk jalan-jalan menikmati kota Yogyakarta. Ongkos naik andong disesuaikan dengan jarak yang ditempuh.

ジョグジャでは、マリオボロのような観光地でアンドンを見ることができる。マリオボロでは、ジョグジャカルタのまちを楽しむためにアンドンに乗ることができる。アンドンに乗る料金は、移動距離に応じて調整される。
menikmati : enjoy.  jarak : distance.  ditempuh : taken
ditempuhの学習のための例文:Pekerjaan ini ditempuh dengan pengorbanan. この仕事は犠牲を払って行われる。Penerbangan dari Indonesia ke Jepang ditempuh selama 10 jam. インドネシアから日本までのフライトは、10時間かかる。

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