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隣の家から讃美歌が聞こえてきた

イスラームの国に来たはずだが、まわりにはクリスチャンが多い。

インドネシア語の先生たちは皆クリスチャンである。家主のアグンさん並びにその家族も皆クリスチャンである。この前、うちに遊びに来た、隣に住む大学生とその家族もクリスチャンである。UGMで社会学を勉強する2年生である。すぐ近くには建築家ロモ・マングンの自宅があるが、彼もクリスチャンだし、その向かいにはシスターたちが住む家があり、何度かお邪魔している。

ジョグジャカルタ市の人口は43万人だが、周辺のエリアも含めたジョグジャカルタ特別州の人口は367万人であり、その8%弱がキリスト教徒である。30万人弱のキリスト教徒がジョグジャカルタにいることになるが、そのほとんどは私が住んでいるスレマン地区に集中しているという。

今回の話は、昨日アグンさん一家と晩御飯を食べた時に出た話題のひとつでる。

昨日夕方から隣の家が騒がしかった。UGMの大学生家族の家である。台所が隣の家の2階に接しているので、隣の猫の鳴き声や洗い物の音がよく聞こえてくるが、大勢の人の声が聞こえてきたのは、ここに住み始めて初めてであった。多くの人が集まってきて、ガヤガヤとし始めたと思うと、讃美歌の合唱が始まった。讃美歌は何度も繰り返し歌われているようであった。

私が接したのは、ほんの5分ぐらいであったが、その後の食事会の時に、そのことを話題にすると、10月はマリア様の月で、近々近所の男性が結婚するので、それで皆で集まって一緒に食事を食べたり飲んだりするのだとのことであった。今日は隣の家でやっているが、次はまた別の家で開催されるという。

アグンさんの義理のお母さんの住むスラバヤでは、近所での会合は毎日あるらしいが、この地区では週に1−2回程度だという。今アグンさんは家族のいるジャカルタに行って家を空けることも多いので、今回はお断りしたようだ。

インドネシアのキリスト教組織には階層的にいくつかの組織があり、その末端組織が基本コミュニティ・グループKelompok Umat Basis(KUB)あるいは教会拠点コミュニティKomunitas Basis Gerejawi (KBG)と呼ばれるものである。讃美歌の歌声は、その会合によるものではないだろうか。

同じ地区に住む15から20の世帯で構成される組織とある。信仰をもとづく組織であり、互いの信仰心を確認・強化しつつ、広く世の中にその福音を広げるためのものであろう。ただ、実質的には生活面における様々なレベルでの相互扶助のための組織ではないだろうか。

行政的にはRT(隣組)、RW(町内会)という組織があるが、それとはまた別のチャンネルでコミュニティが用意されており、その重なりあいの中で、地域の中ので生活が支えられている実態を垣間見ることができた。241015




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