家族が濃厚接触者になった時の話
(この記事は、2021年1月のエピソードを5月に書き起こしたものです。新型コロナウイルスの感染対策や行動制限の基準に関しては、厚生労働省などによる公式の最新情報をご確認ください。)
二回目の緊急事態宣言が出ていた一月下旬のこと。夫が職場で新型コロナウイルスの感染者と接触し、濃厚接触者になりました。今日はその時のことを書いてみようと思います。第五波が猛威を奮っている今、少しでも皆様のご参考になれば幸いです。
夫が感染者の方と接触したのは月曜日。翌火曜日にその方の感染が判明し、夫は二週間自宅待機することになりました。濃厚接触者の家族には、調べた範囲では明確な行動制限はないようでしたが(※2021年1月時点での情報に基づきます)、夫が感染している可能性を考えて、念のため子供達も学校と幼稚園を休ませることにしました。
夫は連絡がきた火曜日の午前中仕事に出ていましたが、接触したタイミングから考えて、この時点ではまだ他の人への感染力は持っていないと思われたことは、不幸中の幸いでした。そしてその日のうちに検査で陰性が出たものの、検査のタイミングが早すぎたということで、数日後に再検査をすることになりました。
夫はすぐに不織布マスクを着用し、家庭内での自主隔離を始めました。トイレと入浴以外は自分の部屋に閉じこもり、毎日私が配膳下膳する食事とネット注文で買い込んだ飲料を部屋でとる生活です。洗濯物はゴミ袋にため、歯磨きは部屋で行い、入浴は一番最後。そしてドアノブなど、共用部分で自分が触ったところを全て消毒していました。
私も夫の指示に従って、こまめに換気や消毒、手洗いを行い、極力自分も子供たちも夫と接触しないようにしてLINEで連絡を取ったり、やむを得ず話す時は不織布マスクを着けて部屋の外から話していました。勿論タオルなどは共用せず、別々です。
三日経った金曜日にようやく再検査を行い、翌日土曜日に陰性が判明しましたが、これで一安心とはなりませんでした。何しろPCR検査の精度は7割くらいで、残りの3割は陽性でも偽陰性になってしまうとのことです。つまり、感染していても3割くらいの被験者は見逃されてしまう可能性があるということです。
私がようやく「大丈夫かもしれない」と希望の光が見えてきたように感じたのは、多くの人が感染者と接触してから一週間以内に発症するという、その一週間を過ぎてからでした。夫はもっと慎重で、職場復帰の直前に受けた三回目の検査で陰性が出て、なおかつ感染者との接触からきっちり二週間経った時、ようやくマスクを外して自室から出てきました。二週間ぶりに夫と共に囲む食卓は、まだアクリル板越しではありましたが、感慨深いものがありました。
後から聞いたところによると、夫は二週間の間、毎日発症の恐怖に怯え、最悪の場合も覚悟していたそうです。私は私で、最悪の場合は自分一人で働いて子供達を育てていかないといけないかもしれない、という不安が胸に去来していました。入院して面会ができなくなったり、症状が悪化して話が出来なくなったりする前に、万が一の時は誰と誰に連絡すればいいのか、通帳や印鑑がどこに置いてあるかも聞いておかなくてはいけないなあ、でもまだ発症してないのに縁起でもないよなあ…と、妙に現実的なことを心配したりもして、落ち着かない日々を過ごしていました。
今回は結果的に陰性だったので本当に良かったですが、もし陽性になってしまったら治療や入院などに伴う心身の負担、周りにかける心配や職場への迷惑、そして万が一の時のことなど、夫も私も数え切れない心労に押しつぶされていたことでしょう。また今回は幸い、夫や私たち家族から誰かにうつしてしまった可能性は極めて低かったのですが、仮に他の人を濃厚接触者にしてしまった場合は多大な負担と不安を与えてしまうことになり、ましてその方が発症したり悪化したりしてしまった時の申し訳なさは、想像するのも恐ろしいほどです。
自分の家族が濃厚接触者となった経験を通して、あらためて自分や家族が感染しないよう気を引き締めると共に、万が一感染してしまったとしても絶対に他の人にうつすことのないよう、行動に気をつけなくてはという決意を新たにしました。
そして、不幸にして感染者や濃厚接触者になってしまい、こうした不安と苦しみを抱えている方々に対し、偏見と差別の眼差しが追い討ちをかけることのないよう、強く願います。
長くなりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。
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参考URL:
「新型コロナのわかりやすい解説」京都私立病院協会
「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」国立感染症研究所 感染症疫学センター
「ご家族に新型コロナウイルス感染が疑われる場合 家庭内でご注意頂きたいこと~8つのポイント~」
「家族で濃厚接触者/感染者が出たら?」PCR now
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