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散歩と写真14/?

友人の作品も展示されていることもあって東京藝術大学美術館で開催されている新しいエコロジーとアート展に行った。

「アートはSensory Learning(感覚を通じた学び)」

こういうキャプションを見るのは結構好き。文脈を与えてくれるので、「観る視点」を提示してくれる。
昔、攻殻機動隊をみて思ったことだけれど、妄想や想像、創作があるからこそ、昔と今とこれからを見る視点が生まれるのだと思う。「攻殻機動隊自体は作り話だけれど、現実にも当てはまるよな」そんな気づきを得られるのはアートならでは。

アートはフィクションであれノンフィクションであれファンタジー的な要素がある。ファンタジーを通じて捉えた現実には新たな視点が備わっている。リアルなものを通じてリアルを見ても実現可能性の範疇でしか考えられないことが多い。その枠をとってくれるのがアートだとも思う。

そもそも「すげえ!」「かっけえ!」「美しい!」「おもしろい!」そんな感覚だけでいいとは思うのだけれど、「物を考える機会としてのアート、ファンタジー」という視点を持っていても悪くはない。

こういう世界観に弱い。わかりやすく心がときめく。

入り口入ってすぐに展示されていた、アメリカのある州の生態系をアルゴリズムで再現した作品。
デジタル上で動物が行ったり来たりしたり、風や波が起こる。順番に表示されるのではなく、システムダイナミクス的に(もしくはバタフライエフェクト、もしくは風が吹けば桶屋が儲かる的に)表現されているようだ。


なんとも言えない儚さとグロテスクさ
遠目
おたまじゃくし。
尻尾の線に惹かれる。

ただの写真じゃなくてつるつるした大理石のような素材感。
素材に当たる光も含めてインタラクティブだなあと思う。


続いてお目当ての友人の作品を見る。

作品名:Spool

幾何学模様の精巧さに目を奪われがちだが、
キャプションの通り、同じ作品でも光のあたり方や角度で見え方が違う。

ピントを緩めた方
ピントを絞った方
横から見るか。
近くから見るか。

考えてみれば当たり前だが、この世に「一面的なもの」「相互関係でないもの」はない。ましてや一刻一刻と時が移る中で事象は変容していく。

「行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。 」
「よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。」

本職である教育も学生の時に学んだ社会学も基本的に「事象と答えは動的である」「ものごとは相互作用の中で成り立っている」ということを僕に教えてくれたように思う。

ちなみに隣には坂本龍一の過去の展示が。


そのほかの展示もざらっと

馬の骨の標本を氷で肉付けしている。
The Horse in Motionという映像やアニメーションの基礎になった作品のオマージュらしい。


プログラムで生成された鳥
生成された物語①
生成された物語②
人形の山と日本画
津波の高さを飛ぶドローンからの撮影


一通り観終わったら夜に変わっていた

「浮かぶうたかたが、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまるためしがない」ことをデジタルで明示するような展示だった。

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