散歩と写真 17/? 白老、ウポポイへ
北海道に行ってきた。
コロナ禍になり仕事以外の遠出が遠ざかっていた。身体が忙しいわけではないが、頭がどうにもあっちこっちだったので旅に出たいモードになっていたのだろう。妻の誕生日が近かったというのも重なった。
羽田から新千歳まで一時間半。
家から新千歳まで2時間強という時間は以前行った埼玉県の小川町や長野とさして変わらぬ時間だった。この時代、想えば大体のところにはサッといける。
新千歳から苫小牧へ。
桃鉄で主要な駅としてあった苫小牧は思いの外簡素な駅だった。
地元の駅を思い出す。東進ってどこにでもあるね。
電車を乗り継ぎ白老という駅へ。
途中の電車でシャッターを切ったけれど、うまく光を捉えられなかった。
別の土地に来たんだと感じる。
心と身体が一致している感じがしない。東京での仕事が頭の片隅で動いている頭と北海道にいる身体。そのギャップを感じる心。
駅から歩いて10分。ウポポイは今回のお目当て。
美術館でありながら、広大な敷地を有して、空間ごとアイヌを表現したような場所だった。
今調べたら「ウポポイ」はアイヌ語で「(おおぜいで)歌うこと」らしい。
中に入る。
このウポポイ訪問が命というものに対して思いを馳せる時間になった。
メインの展示を見た後は別棟でアイヌの踊りを見たり、楽器の演奏を聞いたり。どれも構成が素晴らしかった。
興味を持たせるために短い時間のショー。こだわり切った空間なのに全てを見せない。演者もその短い時間に魂を込めていたんだろう。
一つの棟で一つのショー。別のショーを見るには別の塔に行く必要がある。潤沢な土地を贅沢に使っている。
最後に見たのはKAMUY EYESと称された映像作品。
鷹と狐の視点で撮られた映像だった。
どちらも北海道の大地を駆け巡った後、「光の矢」に貫かれて絶命して終わる。
光の矢はアイヌの民の狩りの矢。生きるために命を狩る。狩られた命を神(カムイ)のもとに送る。身体は大地を巡り、命はあっちとこっちを廻る。
外に出たらいい時間だった。宿のチェックインの都合もあるためここまで。
帰り道、ひっそりとした空き地で一台のショベルカーが動いていた。