I am robbed.
"お母さん…!お父さん…!"
"いや…いやぁ…"
美青:…いやっ!!!
まただ
あの日の光景が脳裏に焼き付いてる
もう…やめて
美青:……学校行かなきゃ…
◇
私が幼い頃、両親を失った
火事
私はちょうど出かけていて火事には巻き込まれなかったけど
家に帰ってくると燃え盛る家がそこにはあった
"お母さん…!お父さん…!"
未だ鮮明に覚えている
私は幸せだったあの時間を"奪われた"
美青:あー…頭痛い…
○○:おっはよー!!!
美青:うわぁっ!?
○○:へへっ、ビビってやんの〜
美青:やめてよぉ…
あの日、何もかも奪われた私に残された唯一の存在
それが○○
幼馴染で昔からよく一緒にいた
あの日も○○の家にいた
私の中で○○は、とても大切な存在
だから…
奪われたくない
○○:…顔色悪いな、大丈夫?
美青:うん、大丈夫
○○:…無理すんなよ
美青:…ありがと
美羽:2人ともおはよー
○○:おはー
美青:……おはよ
美羽:○○さ、この前貸した本帰ってきてないんだけど
○○:あっ、わりぃっ…!忘れてた
ズキッ…
○○が他の女と喋ってるだけで頭が…
美羽のことももちろん好き
だけど…それでも…
美羽:も〜…今日家行っていい?そろそろ返してもらわないと…
美青:わ、私が行くよ!
○○:え?
美羽:いや、美青がわざわざ行くことないでしょ
美青:…そ、そうだね…
いやだ…
○○の家に他の女を入れるなんて
いやだいやだいやだいやだいやだいやだ…!!!
美青:……
美羽:じゃ行くからね
○○:お、おう…
◇
なんで尾行なんてしてるんだ
何をそんなに恐れてる?
美青:そんなの…
奪われたくないからに決まってるじゃん
美羽:そういえば○○の家に入ったことはなかったね
○○:そうだな〜、美青以外は入ったことないね
美羽:へー、そうなんだぁ
美青:……
そう、入ったことないの
てか距離近いよ
もっと離れてよ
ズキッ…ズキッ…
○○:ありゃ?鍵閉まってんな、誰もいないのか
美羽:え、鍵は?
○○:…鍵
美羽:まさか…
○○:……ありまーす
美羽:いや、あるんかい
○○:ははっ
美羽:ふふっ
ズキッ…ズキッ…ズキッ…!
楽しそうだ
どんどん遠ざかっていく感覚
○○は私だけの…
美羽:おじゃましまーす
○○:だから誰もいないって
美羽:いいじゃーん
美羽:で部屋は?
○○:ん?部屋までくんの?
美羽:うん
○○:まぁいいけど
部屋に入れるなんて…
ダメだよ?
何してるの…
美羽:うわっ、ちゃんと綺麗なんだ
○○:俺をなんだと…
美羽:てっきり汚いのかと
○○:えーっと…あった、ほい
美羽:ん、確かに
○○:じゃ、ちゃっちゃと帰っちゃって
美羽:え?酷くない?
○○:いや〜…美青にもしこんな状況見られたらすこ〜し厄介なのよ…
美羽:……へ〜
○○:だからはやく帰って…!?
瞬間、美羽は○○に抱きつく
美羽:ふふっ、ぎゅー…
○○:お、おい…やめろって
美羽:やだ、やめない
○○:冗談キツいって…
美羽:……冗談じゃないって言ったら?
ズキッ…ズキッ…ズキッ…ズキッ…
美青:はぁっ…はぁっ…はぁっ…
美青:だめ…だめ…やめて…
とらないで…とらないで…
奪わないでよ…
美羽:私は○○のこと…ずっと好きだったよ?
○○:村山…
美羽:村山やだ、美羽って呼んでよ
○○:…み、美羽
美羽::んふっ///…ねぇ○○?
○○:な、なに?
美羽:キス…したことある?
○○:…ない…けど
美羽:こっち向いて?
○○:…っ!?
2人の唇が重なるのが見えた
私の中で崩れる音が聞こえた気がしたんだ
今までの思い出も何もかもが…
終わる
美青:いやぁぁあ!!!!!
美羽:な、なに!?
○○:…美青?
声のした方へ足を急がせたが
そこには誰もいなかった
○○:美青…
美羽:……どこ行くの…?
○○:美青を探しに行く
美羽:え…?わ、私は……ま、待って!
○○は家から出ていってしまった
孤独がこの身に襲いかかる
美羽:……いや…嫌だよ、私だけ見てよ…
◇
火から逃げ続けてきた
…あんな過去があったから
だけど逃れられることなんて…出来なかった
美青:…ふふっ、ははっ…
油を身体中に浴びて
思い出にふける
美青:ふふっ、こんなこともあったね…
写真を眺めながら
記憶を辿りながら
美青:…○○だけだったんだよ
美青:私に唯一残された大切なもの
美青:だけど…それすらも奪われちゃった…
もう何も無い
何も残されていない
生きる意味がなくなっちゃった
美青:じゃあね……○○…
ライターの火を起こし
全てを燃やし尽くそうとした時
○○:美青!
美青:…○○
○○:バカっ!何やってんだ!
○○はライターを払いのけ、美青を抱きしめる
美青:…○○、ダメだよ…美羽がいるのに
○○:俺が美羽を好きだって言ったか?
美青:キスしてた…
○○:あれは美羽が無理やりだな
美青:……ごめん
○○:…いいんだよ、生きてくれてれば
美青:…うぅ……
○○:俺は約束したはずだぞ?美青のそばにずっといるって
美青:うん…ごめん…ごめんね…
○○:ほら、シャワー浴びてきな
美青:うん………大好き
○○:な、なんでこのタイミングなの…///
美青:ふふっ///
よかった…奪われなくて
…もう絶対離さないからね?
美羽:いやぁ…こんなの……嫌だよ…
お願い…私から
"奪わないで"
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