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I am robbed.

"お母さん…!お父さん…!"

"いや…いやぁ…"


美青:…いやっ!!!


まただ

あの日の光景が脳裏に焼き付いてる

もう…やめて


美青:……学校行かなきゃ…



私が幼い頃、両親を失った

火事

私はちょうど出かけていて火事には巻き込まれなかったけど

家に帰ってくると燃え盛る家がそこにはあった


"お母さん…!お父さん…!"


未だ鮮明に覚えている

私は幸せだったあの時間ときを"奪われた"


美青:あー…頭痛い…

○○:おっはよー!!!

美青:うわぁっ!?

○○:へへっ、ビビってやんの〜

美青:やめてよぉ…


あの日、何もかも奪われた私に残された唯一の存在

それが○○

幼馴染で昔からよく一緒にいた

あの日も○○の家にいた

私の中で○○は、とても大切な存在

だから…

奪われたくない


○○:…顔色悪いな、大丈夫?

美青:うん、大丈夫

○○:…無理すんなよ

美青:…ありがと

美羽:2人ともおはよー

○○:おはー

美青:……おはよ

美羽:○○さ、この前貸した本帰ってきてないんだけど

○○:あっ、わりぃっ…!忘れてた


ズキッ…

○○が他の女と喋ってるだけで頭が…

美羽のことももちろん好き

だけど…それでも…


美羽:も〜…今日家行っていい?そろそろ返してもらわないと…

美青:わ、私が行くよ!

○○:え?

美羽:いや、美青がわざわざ行くことないでしょ

美青:…そ、そうだね…


いやだ…

○○の家に他の女を入れるなんて

いやだいやだいやだいやだいやだいやだ…!!!


美青:……

美羽:じゃ行くからね

○○:お、おう…



なんで尾行なんてしてるんだ

何をそんなに恐れてる?


美青:そんなの…


奪われたくないからに決まってるじゃん


美羽:そういえば○○の家に入ったことはなかったね

○○:そうだな〜、美青以外は入ったことないね

美羽:へー、そうなんだぁ

美青:……


そう、入ったことないの

てか距離近いよ

もっと離れてよ

ズキッ…ズキッ…


○○:ありゃ?鍵閉まってんな、誰もいないのか

美羽:え、鍵は?

○○:…鍵

美羽:まさか…

○○:……ありまーす

美羽:いや、あるんかい

○○:ははっ

美羽:ふふっ


ズキッ…ズキッ…ズキッ…!

楽しそうだ

どんどん遠ざかっていく感覚

○○は私だけの…


美羽:おじゃましまーす

○○:だから誰もいないって

美羽:いいじゃーん

美羽:で部屋は?

○○:ん?部屋までくんの?

美羽:うん

○○:まぁいいけど


部屋に入れるなんて…

ダメだよ?

何してるの…


美羽:うわっ、ちゃんと綺麗なんだ

○○:俺をなんだと…

美羽:てっきり汚いのかと

○○:えーっと…あった、ほい

美羽:ん、確かに

○○:じゃ、ちゃっちゃと帰っちゃって

美羽:え?酷くない?

○○:いや〜…美青にもしこんな状況見られたらすこ〜し厄介なのよ…

美羽:……へ〜

○○:だからはやく帰って…!?


瞬間、美羽は○○に抱きつく


美羽:ふふっ、ぎゅー…

○○:お、おい…やめろって

美羽:やだ、やめない

○○:冗談キツいって…

美羽:……冗談じゃないって言ったら?


ズキッ…ズキッ…ズキッ…ズキッ…


美青:はぁっ…はぁっ…はぁっ…

美青:だめ…だめ…やめて…


とらないで…とらないで…

奪わないでよ…


美羽:私は○○のこと…ずっと好きだったよ?

○○:村山…

美羽:村山やだ、美羽って呼んでよ

○○:…み、美羽

美羽::んふっ///…ねぇ○○?

○○:な、なに?

美羽:キス…したことある?

○○:…ない…けど

美羽:こっち向いて?

○○:…っ!?


2人の唇が重なるのが見えた

私の中で崩れる音が聞こえた気がしたんだ

今までの思い出も何もかもが…

終わる


美青:いやぁぁあ!!!!!

美羽:な、なに!?

○○:…美青?


声のした方へ足を急がせたが

そこには誰もいなかった


○○:美青…

美羽:……どこ行くの…?

○○:美青を探しに行く

美羽:え…?わ、私は……ま、待って!


○○は家から出ていってしまった

孤独がこの身に襲いかかる


美羽:……いや…嫌だよ、私だけ見てよ…



火から逃げ続けてきた

…あんな過去があったから

だけど逃れられることなんて…出来なかった


美青:…ふふっ、ははっ…


油を身体中に浴びて

思い出にふける


美青:ふふっ、こんなこともあったね…


写真を眺めながら

記憶を辿りながら


美青:…○○だけだったんだよ

美青:私に唯一残された大切なもの

美青:だけど…それすらも奪われちゃった…


もう何も無い

何も残されていない

生きる意味がなくなっちゃった


美青:じゃあね……○○…


ライターの火を起こし

全てを燃やし尽くそうとした時


○○:美青!

美青:…○○

○○:バカっ!何やってんだ!


○○はライターを払いのけ、美青を抱きしめる


美青:…○○、ダメだよ…美羽がいるのに

○○:俺が美羽を好きだって言ったか?

美青:キスしてた…

○○:あれは美羽が無理やりだな

美青:……ごめん

○○:…いいんだよ、生きてくれてれば

美青:…うぅ……

○○:俺は約束したはずだぞ?美青のそばにずっといるって

美青:うん…ごめん…ごめんね…

○○:ほら、シャワー浴びてきな

美青:うん………大好き

○○:な、なんでこのタイミングなの…///

美青:ふふっ///


よかった…奪われなくて

…もう絶対離さないからね?


美羽:いやぁ…こんなの……嫌だよ…


お願い…私から


"奪わないで"


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