
立ちんぼに声をかけたら幼馴染だった
※privatterからの移行作品です
仕事終わり
怒りに溺れる
○○:くそ上司がっ!なんで残業ばっかなんだよ!
上司の仕事を押し付けられてしまった
ここ最近とくに酷い
怒りがふつふつと湧き上がる
そんな時
○○:……立ちんぼか
ふと目に入った"立ちんぼ"
すらっとした姿
まるでモデルのようだ
何を血迷ったのか俺は
この怒りを彼女を抱くことで抑えようと考えた
○○:ねぇ
??:は、はい…
○○:2万でどう?
??:…さ、3万なら……
生意気だな
まぁ…いいか
○○:わかった、じゃ3万で……ん?
??:…?
あれ?
この顔…どこかで
記憶の片隅にある
それが呼び起こされた
○○:…保乃?
保乃:へ?な、なんで…
○○:俺だよ!○○
保乃:え、○○くん!?
幼馴染だった田村保乃
幼少期から中学までの付き合いで
俺は高校になるタイミングで東京へ引越した
それからまるっきり関係が絶たれていたが
○○:上京してたんだ
保乃:うん…
○○:大学生?
保乃:そうだよ
関西弁を喋ってない保乃が違和感でしかない
東京に染まってしまったか…
ってそんなこと今はどうでもいい
○○:なんで立ちんぼしてんの?
保乃:そ、それは…
やばい、さすがにデリカシー無さすぎたかな
どうしようこの空気…
○○:と、とりあえずあそこのカフェでゆっくりしない?
保乃:そ、そうだね!
◇
○○:…
保乃:…
ただただ時間が過ぎていくだけ
どうしたものか
ってか綺麗になったな
いや、前から可愛かったけど
店員:お待たせしましたーコーヒーになりまーす、ごゆっくりどうぞ〜
ぎこちなくコーヒーを口に運ぶ
やけにその姿が色っぽくて
そんな彼女をまじまじと見ていると
保乃:立ちんぼしてる理由だけど…
○○:うん
保乃:生活費を稼ぐためなんやけどな…?
少し緊張がほぐれたのか
関西弁がではじめている
保乃:そのぉ…保乃な?彼氏がおるんやけど…
○○:…
聞きたくなかった
彼氏がいるなんて
でもいない方がおかしいか
こんな綺麗で可愛いんだから
保乃:同棲しとるんやけど、彼氏の分も稼がんといかんから…
○○:…は?
○○:その彼氏は仕事とかしてないってこと?
保乃:…うん
まじかよ
ダメ男と付き合ってるのか
それとも保乃がダメ男にしたのか
……俺には関係ないことだけど
保乃:バイトもしてんねんけど、やっぱ足りひんくて…
○○:そんで立ちんぼしてたと
保乃:で、でも今日が初めてやで?
初めてが俺なのか
やばい、興奮してきた
保乃:ほんでどうする…?無理せんでも…
○○:ホテルいこ
保乃:…わかった……
◇
保乃:わぁ…初めてや〜
○○:あ、そうなの?
保乃:ふふっ、意外?
○○:いや、まぁ…
保乃:こういう経験あんましてへんから
○○:そうなんだ…
そりゃ意外だよ
こんなお顔でそういう経験があんま無いとか…
お互いにシャワーを浴びて
ベッドの上で向かい合う
保乃:…は、恥ずかしいな///
○○:そうだね…
正直、恥じらいなんてない
今すぐにでも抱きたいが
一つだけ…
○○:彼氏は…大丈夫なの?
保乃:……うん、だって彼氏に言われたから
○○:…え?
保乃:体を売って来いって
少しだけ…保乃の瞳が潤んだ
それを見て俺は、歯止めが利かなくなってしまった
○○:保乃っ…!
保乃:んっ…
保乃の唇をこじ開け、舌を侵入させる
じっくり味わいながら濃密に…
保乃:…んはぁっ…!
○○:…ぷはっ……
保乃:…◯◯…!
そのまま押し倒され、今度は保乃から舌を絡めてくる
先程よりも激しく貪るように
キスをしながらバスローブを脱がし
その綺麗な体があらわになる
○○:保乃…綺麗だよ
保乃:あんま…見んといてぇ…
○○:……いいよね?
保乃:…うん、優しくしてな?
二人は再開の夜に
甘く、少し切なく溶けていった
◇
○○:……んっ…
なんど体を交えただろうか
よく覚えていないが
いつの間にか寝てしまっていたらしい
保乃:スースー…
○○:ふふっ、寝顔も可愛いね
起こすのは申し訳ないと思い
約束の3万円とホテル代を置いて
この空間とおさらばする
保乃:…ん〜っ……あれ?○○くん?
部屋を見渡すが彼の姿は無い
テーブルにお金が丁寧に置かれている
保乃:……○○くん…
なぜだろう?
心が苦しいのは
保乃:…帰ろ
◇
保乃:ただいま…
▢▢:帰ってくんのが遅せぇよ!
保乃:ご、ごめん…
▢▢:…金は
保乃:こ、これ…
▢▢:は?これだけ?
3万円を差し出すと彼は不満気な表情を浮かべる
▢▢:まぁいいか、よこせ
保乃:…い、いやだ……
▢▢:あ?よこせって!
保乃:あっ…!
乱暴にお金を奪い、そのまま彼は外に出ていってしまった
気づけば涙を流していた
保乃:…ごめん、○○くん……
会いたい
今すぐにでも
もう一度優しく抱いて…
あの優しさが欲しくてたまらない
保乃:……はぁ…
◇
その日の夜
私はまたあの場所で待っている
誰でもないあなたを待っている
保乃:……
○○:…保乃
保乃:○○くん…
やっぱり会えた
とても安心する
はやく…抱いて欲しい…
保乃:ホテルいこ?
○○:…うん
足早にホテルへと向かう
昨日と同じ部屋
だけどなぜか懐かしさを感じる
早々にシャワールームへと向かう彼の腕を引っ張って
そのままベッドへ押し倒す
○○:保乃!?ど、どうしたの?
保乃:○○くん…!
貪り食うように唇を
昨日より激しく、切なく
その接吻は涙の味がした
○○:ぷはぁっ…!
保乃:んはぁ…○○……○○!
○○:保乃…!
感情に流されるままに体を重ねる
気持ちよさの中に苦しみも交えながら
それは甘く蕩けるようなものではなく
激情の果て
人の欲望
そんな歪んだ愛を互いにぶつけるものだった
○○:はぁ…!はぁ…!
保乃:んぁ…!きもち…いっ…
○○:保乃…俺もう…!
保乃:ええよ…!保乃も…
○○:…ぐっ…!
保乃:…ん゙ん゙……!
○○:はぁ…はぁ…
保乃:…なぁ、まだ足りひん…
あぁ、私は壊れてしまったんだ
満たしたい、満たされたい
私はあなただけしか見ない
だからあなたも私だけを見て
○○:保乃…泣いてる…
保乃:え…?
○○:無理しなくていいんだよ?
保乃:…無理なんか…
○○:してるよ
保乃:……○○…
○○:なに?
保乃:……好き
○○:俺も好きだよ
再び口付けを交わす
だけどそれは温もりと真実の愛
私は求めていた優しさで抱かれていく…
その幸せを噛み締めて
◇
翌朝
嘘みたいな快晴です。
○○:おはよ、保乃
保乃:……おはよ、○○
○○:お金置いとくね
彼は3万円とホテル代を置いて
部屋を出ていこうとする
保乃:っ!?行かんといて…!
○○:…保乃
必死にしがみつく
離したくない、離れたくない
保乃:お金もいらへん…
○○:…
保乃:ただ…保乃のそばにおってほしい…
わがままだって分かってる
だけどほんとに好きだから
こんな私を受け入れてくれたから
だから…
保乃:○○が欲しい…
すると彼は頬笑みを浮かべて
私にキスを
○○:保乃も悪い子だね
保乃:ふふっ、それでええよ?
そして二人は再び
甘い時間に溶け合っていった