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立ちんぼに声をかけたら幼馴染だった


※privatterからの移行作品です


仕事終わり

怒りに溺れる



○○:くそ上司がっ!なんで残業ばっかなんだよ!



上司の仕事を押し付けられてしまった

ここ最近とくに酷い

怒りがふつふつと湧き上がる

そんな時



○○:……立ちんぼか



ふと目に入った"立ちんぼ"

すらっとした姿

まるでモデルのようだ

何を血迷ったのか俺は

この怒りを彼女を抱くことで抑えようと考えた



○○:ねぇ

??:は、はい…

○○:2万でどう?

??:…さ、3万なら……



生意気だな

まぁ…いいか



○○:わかった、じゃ3万で……ん?

??:…?



あれ?

この顔…どこかで

記憶の片隅にある

それが呼び起こされた



○○:…保乃?

保乃:へ?な、なんで…

○○:俺だよ!○○

保乃:え、○○くん!?



幼馴染だった田村保乃

幼少期から中学までの付き合いで

俺は高校になるタイミングで東京へ引越した

それからまるっきり関係が絶たれていたが



○○:上京してたんだ

保乃:うん…

○○:大学生?

保乃:そうだよ



関西弁を喋ってない保乃が違和感でしかない

東京に染まってしまったか…

ってそんなこと今はどうでもいい



○○:なんで立ちんぼしてんの?

保乃:そ、それは…



やばい、さすがにデリカシー無さすぎたかな

どうしようこの空気…



○○:と、とりあえずあそこのカフェでゆっくりしない?

保乃:そ、そうだね!







○○:…

保乃:…



ただただ時間が過ぎていくだけ

どうしたものか

ってか綺麗になったな

いや、前から可愛かったけど



店員:お待たせしましたーコーヒーになりまーす、ごゆっくりどうぞ〜



ぎこちなくコーヒーを口に運ぶ

やけにその姿が色っぽくて

そんな彼女をまじまじと見ていると



保乃:立ちんぼしてる理由だけど…

○○:うん

保乃:生活費を稼ぐためなんやけどな…?



少し緊張がほぐれたのか

関西弁がではじめている



保乃:そのぉ…保乃な?彼氏がおるんやけど…

○○:…



聞きたくなかった

彼氏がいるなんて

でもいない方がおかしいか

こんな綺麗で可愛いんだから



保乃:同棲しとるんやけど、彼氏の分も稼がんといかんから…

○○:…は?

○○:その彼氏は仕事とかしてないってこと?

保乃:…うん



まじかよ

ダメ男と付き合ってるのか

それとも保乃がダメ男にしたのか

……俺には関係ないことだけど



保乃:バイトもしてんねんけど、やっぱ足りひんくて…

○○:そんで立ちんぼしてたと

保乃:で、でも今日が初めてやで?



初めてが俺なのか

やばい、興奮してきた



保乃:ほんでどうする…?無理せんでも…

○○:ホテルいこ

保乃:…わかった……







保乃:わぁ…初めてや〜

○○:あ、そうなの?

保乃:ふふっ、意外?

○○:いや、まぁ…

保乃:こういう経験あんましてへんから

○○:そうなんだ…



そりゃ意外だよ

こんなお顔でそういう経験があんま無いとか…

お互いにシャワーを浴びて

ベッドの上で向かい合う



保乃:…は、恥ずかしいな///

○○:そうだね…



正直、恥じらいなんてない

今すぐにでも抱きたいが

一つだけ…



○○:彼氏は…大丈夫なの?

保乃:……うん、だって彼氏に言われたから

○○:…え?

保乃:体を売って来いって



少しだけ…保乃の瞳が潤んだ

それを見て俺は、歯止めが利かなくなってしまった



○○:保乃っ…!

保乃:んっ…



保乃の唇をこじ開け、舌を侵入させる

じっくり味わいながら濃密に…



保乃:…んはぁっ…!

○○:…ぷはっ……

保乃:…◯◯…!



そのまま押し倒され、今度は保乃から舌を絡めてくる

先程よりも激しく貪るように

キスをしながらバスローブを脱がし

その綺麗な体があらわになる



○○:保乃…綺麗だよ

保乃:あんま…見んといてぇ…

○○:……いいよね?

保乃:…うん、優しくしてな?



二人は再開の夜に

甘く、少し切なく溶けていった







○○:……んっ…



なんど体を交えただろうか

よく覚えていないが

いつの間にか寝てしまっていたらしい



保乃:スースー…

○○:ふふっ、寝顔も可愛いね



起こすのは申し訳ないと思い

約束の3万円とホテル代を置いて

この空間とおさらばする



保乃:…ん〜っ……あれ?○○くん?



部屋を見渡すが彼の姿は無い

テーブルにお金が丁寧に置かれている



保乃:……○○くん…



なぜだろう?

心が苦しいのは



保乃:…帰ろ







保乃:ただいま…

▢▢:帰ってくんのが遅せぇよ!

保乃:ご、ごめん…

▢▢:…金は

保乃:こ、これ…

▢▢:は?これだけ?



3万円を差し出すと彼は不満気な表情を浮かべる



▢▢:まぁいいか、よこせ

保乃:…い、いやだ……

▢▢:あ?よこせって!

保乃:あっ…!



乱暴にお金を奪い、そのまま彼は外に出ていってしまった

気づけば涙を流していた



保乃:…ごめん、○○くん……



会いたい

今すぐにでも

もう一度優しく抱いて…

あの優しさが欲しくてたまらない



保乃:……はぁ…







その日の夜

私はまたあの場所で待っている

誰でもないあなたを待っている



保乃:……

○○:…保乃

保乃:○○くん…



やっぱり会えた

とても安心する

はやく…抱いて欲しい…



保乃:ホテルいこ?

○○:…うん



足早にホテルへと向かう

昨日と同じ部屋

だけどなぜか懐かしさを感じる

早々にシャワールームへと向かう彼の腕を引っ張って

そのままベッドへ押し倒す



○○:保乃!?ど、どうしたの?

保乃:○○くん…!



貪り食うように唇を

昨日より激しく、切なく

その接吻キスは涙の味がした



○○:ぷはぁっ…!

保乃:んはぁ…○○……○○!

○○:保乃…!



感情に流されるままに体を重ねる

気持ちよさの中に苦しみも交えながら

それは甘く蕩けるようなものではなく

激情の果て

人の欲望

そんな歪んだ愛を互いにぶつけるものだった



○○:はぁ…!はぁ…!

保乃:んぁ…!きもち…いっ…

○○:保乃…俺もう…!

保乃:ええよ…!保乃も…

○○:…ぐっ…!

保乃:…ん゙ん゙……!

○○:はぁ…はぁ…

保乃:…なぁ、まだ足りひん…



あぁ、私は壊れてしまったんだ

満たしたい、満たされたい

私はあなただけしか見ない

だからあなたも私だけを見て



○○:保乃…泣いてる…

保乃:え…?

○○:無理しなくていいんだよ?

保乃:…無理なんか…

○○:してるよ

保乃:……○○…

○○:なに?

保乃:……好き

○○:俺も好きだよ



再び口付けを交わす

だけどそれは温もりと真実の愛

私は求めていた優しさで抱かれていく…

その幸せを噛み締めて







翌朝

嘘みたいな快晴です。



○○:おはよ、保乃

保乃:……おはよ、○○

○○:お金置いとくね


彼は3万円とホテル代を置いて

部屋を出ていこうとする



保乃:っ!?行かんといて…!

○○:…保乃



必死にしがみつく

離したくない、離れたくない



保乃:お金もいらへん…

○○:…

保乃:ただ…保乃のそばにおってほしい…



わがままだって分かってる

だけどほんとに好きだから

こんな私を受け入れてくれたから

だから…



保乃:○○が欲しい…



すると彼は頬笑みを浮かべて

私にキスを



○○:保乃も悪い子だね

保乃:ふふっ、それでええよ?



そして二人は再び

甘い時間に溶け合っていった


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