僕はいつか君の…
−出会ってしまった−
藤吉夏鈴。
クラスメイト。
隣の席。
喋ったことはない。
なんの関わりもない。
それでも…恋に落ちている。
無口な人だと思った。
無愛想だなと。
だけど…
窓から外を眺めてる
その横顔がとても綺麗で
つい見惚れてしまったんだ。
夏鈴:……
○○:……
夏鈴:……なに?
○○:……え?
夏鈴:…私のことずっと見てるでしょ
○○:…い、いやっ!別に……
夏鈴:…ふふっ、変なの
初めて顔を合わせた。
初めて言葉を交わした。
初めて笑顔を見た。
初めて…こんなにも心が躍った。
確信した
やっぱり君に恋してる。
授業の内容なんて入ってこないよ
君だけが脳内にいる
そりゃそうだよ
言葉をくれたんだ
恋ってのは恐ろしいね
教師:おいっ!○○聞いてるのか?
○○:…は、はい!?
教師:最近ボケェっとしすぎだぞ
○○:すいません…
夏鈴:ふふっ
◇
帰り支度をする君をただ見てる
スラっとした立ち姿
身長も僕より少し低いくらい
誰とも会話を交わさず
君はいつも教室を出る
夏鈴:…バイバイ
○○:……えっ
小さく手を振りながら
微笑みながら
僕に向けられたもの
○○:……バイバイ…
おそらく僕の声は届かなかっただろう
…次はちゃんと返せれたらいいな
そんなことを思いながら
余韻に浸り、帰路につく
◇
君が来る時間よりも
少し早く来てしまった
何を期待してるんだ
ほんとに人間ってのは
単純な生き物だ
夏鈴:……
○○:……
君は自分の席に向かっていく
言葉はない
ほらね
カバンを机に置き
イスに座る
それを流し目で見てる
なんと情けないことか
○○:はぁ…
夏鈴:おはよ、○○くん
○○:っ!?
気がついたら目の前に
微笑みかける君に
鼓動が少し高鳴る
○○:お、おはよう…
夏鈴:飲み物買いに行かない?
○○:…え?
夏鈴:行くよ
○○:ちょ、ちょっと待って…!
僕の返答を待つことない君を
必死で追いかけた
夏鈴:う〜ん…
○○:……
夏鈴:…何がいいかな?
○○:え?……おしることか…?
夏鈴:……いいね
ふざけて言ったつもりなんだけど
不思議ちゃんなのかもしれない
夏鈴:○○くんは何がいい?
○○:ん?
夏鈴:ついて来てくれたお礼
○○:いや、悪いよ
夏鈴:一緒でいいや
おしるこを手渡しすると
君は教室に戻っていく
なんか振り回されてる
だけど心地いいよ
◇
あれから会話はなかった
目が合った時、微笑み合うだけ
これが幸せってやつなのかもしれない
夏鈴:○○くん、帰ろ
○○:はい?
夏鈴:ん?帰らないの?
○○:帰るけど…
二人並んで学校を出る
急展開すぎてついていけない
○○:僕こっちだけど
夏鈴:私こっち
見事に逆方向だな
夏鈴:…じゃ今日は○○くんの方についてく
○○:……えっ
君の足取りに迷いはなく
○○:ちょっと…!今日ってことはもしかして?
夏鈴:明日は私の方について来てね
笑みを浮かべて
君は再び歩き始める
○○:藤吉さんって不思議だよね…
夏鈴:○○くんもでしょ
○○:そうかなぁ…?
夏鈴:私と波長が合うって事はそういうことでしょ
○○:はぁ…?そういうもんかな…
夏鈴:互いに惹かれ合ったんだよ
○○:え?
君が放ったその言葉を
素直に受け取っても良いんだろうか?
また振り回してるだけじゃないの?
「好きな人っているの?」
聞きたかった
でも君の横顔があまりにも綺麗で
言葉をかけることができない
なんてしてると僕の家
○○:ここだから…
夏鈴:ここか〜意外と近いね
○○:そうだね
夏鈴:じゃあバイバイ
○○:うん…バイバイ
今日は色々あったな
君について少しだけ詳しくなったかも
だけどまだ知らない
君の気持ち
僕はいつか君の
"恋人になりたい"
夏鈴:ふふっ、待ってるよ…その時を
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