国際基準に対応した持続可能な観光にかかる取組事例集とGSTC基準
観光庁から「宿泊施設向け 国際基準に対応した持続可能な観光にかかる 取組事例集」が発行されていました。
持続可能な取り組みと、GSTC基準についてもサクッと学べる資料でしたので、ここでまとめておきたいと思います!
今回の記事では以下の観光庁の資料から引用させていただきます。
私は GSTCサステナブルツーリズム試験の合格者です
このGSTCについては、機会があり試験を受けることになりました。無事合格しております。少し補足しますと、
この後出てくるGSTCにおいては、
GSTCサステナブルツーリズム研修
GSTCサステナブルツーリズム試験
が存在し研修をおえた受講者は受験資格を得ることができます。試験では、選択式・記述式でGSTC基準についての理解度をチェックされます。
試験は私の場合はオープンブック(持ち込み可能、参考資料を見ても良い)でしたので時間をかけてじっくり受験しました。
持続可能な観光とは、ビジネス成長の機会である
さて、ここから今回の資料のお話をしますが、そもそも持続可能、というとビジネスとは逆行したもの、というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
しかし、そもそも「持続可能な観光はビジネスの成長の機会である」と考えられています。それは私の理解では
と考えています。フロー・ストックと同じような考え方で、LTV思考といってもいいのかもしれません。
GSTCとは?
GSTCはグローバル・サステナブル・ツーリズム協議会の略です。持続可能な観光についての知識・理解・受け入れ・需要を増やすことを目標に全世界で活動をされています。
GSTCのサイトはこちらにあります。参考にしてみてください。
GSTCと基準
ここから、GSTCに対応した持続可能な観光に関わる取り組み事例を紹介していきますが、その際に重要なのが
「どのGSTCの項目に対応しているか?」
です。GSTCの基準項目には以下があります。
今回の記事では、GSTC-Iの項目についての、それに対応している自治体を紹介されているようです。
GSTCの基準については、こちらに資料があります。
GSTC-I
https://www.gstcouncil.org/wp-content/uploads/GSTC-I-Criteria-Only-v3Dec2016_Japanese.pdf
GSTC-D
https://www.gstcouncil.org/wp-content/uploads/GSTC-Destination-Criteria-v2.0-Japanese.pdf
紹介されている事例一覧
それぞれの基準に合わせて紹介をされています。
A10 地域への参画:旅館くらしき(岡山県倉敷市)
旅館くらしき様では、GSTC-IのA10での事例を紹介されています。
観光産業によって、よくあるのは観光地として栄えてしまい、地元の人たち、地域の人たちを蔑ろにしてビジネスだけが成長する場合があります。この事例では、旅館のみなさんも町内会員として地域活動に参加し、地域の一員として観光もビジネスも生活も守る取り組みをされているようです。
B3 地元での購入
天空のお宿 雅館様では、GSTC-IのB3の事例の紹介がありました。
観光は総合産業であり、仕入れも含めたサプライチェーンが存在します。そこで、安く・利益を上げるだけ、を考えると安い海外製のものなどを仕入れてしまい、結果的に地域循環性の低いビジネスを行ってしまう場合があります。
そこで、できるだけ地域のものを利用する(ただし品質基準に満たないものは買う必要はない)ことで、地域にも資金が循環し持続的に地域の資源を使ったビジネスが可能になります。
地域循環分析についてご興味のある方はこちらもご覧ください。
天空のお宿 雅館様のサイトはこちらです。
B7 ディーセントワーク(働きがいのある仕事)
帝国ホテル様では、ディーセントワークの事例で紹介がありました。決裁書において、SDGs目標のそれぞれの取り組みについて紹介し、従業員の方からは「社会のためになるホテルに勤めていることが誇らしい」というコメントがあったようです。
結果として、「コロナ禍であっても離職率が業界平均を⼤きく下回った」とのことです。
帝国ホテル様は、サスティナビリティ活動において先進的な取り組みを多数されているとのことで非常に参考になります。
最後に
今回は、GSTC基準とその事例が紹介されている事例集からいくつかピックアップをしてみました。
持続可能というとビジネスから遠い存在に感じますが、持続可能性をビジネスに活かす、という観点でとても参考になる事例が多いのではないかと思います。ぜひ参考にしてみてください。