やまたいぼく

やまたいぼく

最近の記事

文化も、地理も、無知も、格差を説明できない

1990年代末までに、韓国の成長と北朝鮮の停滞は、かつては1つだった国を二分した両国のあいだに10倍の格差を生み出した。韓国の経済的成功と対置すると、数百万人を飢餓に陥れた北朝鮮の経済的崩壊は際立っている。文化も、地理も、無知も、北朝鮮と韓国の分岐した進路を説明できない。答えを出すには制度に目を向けねばならない。 「国家はなぜ衰退するのか: 権力・繁栄・貧困の起源」という本には、私有財産を奨励し、契約を擁護し、均等な機会を生み、新たなテクノロジーを生活にもたらす新たな事業者

    • 「オタク」という呼称の大ざっぱさ①

       いつの時代も、言葉の定義や用法といった話題は人々の関心を集める。特に新語や既存の語の新しい用法がメディアを通して広く知られると、時に「若者の言葉の乱れ」等といった、よりセンセーショナルな伝え方がされ、国語教育を修めた人間たちの意見や議論をそこかしこで観察することができる。  話題にあがる新語、新用法の傾向をよく観ていると、複雑な、ということはより詳細でより正確な定義が単純化し、変容し、果ては曲解されるという流れが多い。変容の行き着く先が、より単純明快な二項対立に陥りがちでも

      • 新しい地方創生について

        オギュスタン・ベルクは著書「空間の日本文化」において、特徴的な日本の文化として「街路」について述べている。 「日本の都市の街路全体は、迷路に近く作られている。それは歩いているのだ、進んでいるのだという感覚を強める働きをする。街路には、様々な看板やショーウィンドウ、朝から夜遅くまでやっている小売店などがあり、人々はそこにいるのが楽しくて、明確な目的もなく歩いている。ここには無数の活動があって、そのうち、最も重要度の低いのが目的地への移動なのだ。」 「日本的空間の中で最も大き

        • 弱いのは何がいけないのだろうか? 弱いのを隠そうと武装するのは何がいけないのだろうか? 隠そうとして看破られることの何が恥ずかしいのか? どの人間も「強そうに」見せることを多かれ少なかれしてるのではないか? 糾弾者よ、お前には弱さがないと言うのだろうか? 弱いのを隠そうとはしない、と言うのだろうか? 我々を糾弾するのは、お前自身が弱さを隠したいからではないのか? 蜂が警戒色をまとうように、ライオンがたてがみをたくわえるように、女が美を磨き、男が地位や財産を誇るように、我

        文化も、地理も、無知も、格差を説明できない