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書店のにおいのする「香水」

別に君を求めてないけど

横にいられると思い出す

君のパウエルズ・バイ・パウエルズのその香水のせいだよ


はい。お察しの通り、瑛人さんの「香水」をもじってます。
なんだか申し訳ないのでYouTubeのリンクくらい貼っとくか。

いやなにかって、これも気分で始めることだけど、「読書ニュース」なるもの、意外と需要あるのかなあと思って。

本日のCNNから。

米人気書店、「書店のにおい」の香水を販売

ポートランドにある人気書店「パウエルズ・シティー・オブ・ブックス」が、「書店のにおいのする香水」を発売した。

その名も「パウエルズ・バイ・パウエルズ」

けっこう人気みたい。

発売のきっかけは、
「新型コロナウイルスの感染拡大のために書店が一時的に閉店となっており、書店を懐かしがっている本好きに対して、思い出してもらえる何か元気づけるものを与えたい」
とのことで、なかなかお洒落なことをするもんだよね。

https://www.powells.com/book/powells-unisex-fragrance-1110000347670

こちらが商品ページ。
今月1日から予約を始めて、もう1200件以上の予約が来ているのだとか。

においの種類としては、「古紙のにおい」だそうだ。スミレや樹木のかおりを組み合わせてなんとか作れたらしい。

どうだろう。実際自分が古紙のにおいを纏っている、というのは。
たしかに私は、本屋のにおいや古紙のにおいは好きだ。図書館なんかで、かなり古い文献を漁る時の記憶は、かなり心地よかったりする。

だが。だがだよ。
そのにおいを「嗅ぐ」ことと自分がそのにおいに「なる」のは違う気がするなあ。

現実的には、その香水を家のソファに軽く吹きかけて、そこで読書をする、というのが良いのかなあ。
そうすれば本に囲まれながら読書しているような気分になれそう。

ただ今回面白いなと思ったのは、やはりその着眼点。
「本屋になかなか行けない本好き」という客層をターゲットとして、「本屋のにおいが好きっていう本好きって多いよね」となったわけだ。

ターゲット層の抱える課題に関する認識がとてもシャープだなあと思う。

なお余談だが、この書店がまたけっこう面白い理念を掲げている。HPの中で、「WHY INDEPENDENCE MATTERS」と題した文の冒頭がこれだ。

Think about the last good book you read. Did it make you feel more connected to others? Maybe it served as a welcome escape. Maybe it helped you rediscover the beauty in life. Did it surprise you?
(雑訳:最近読んで良かった本を思い出して。その本は、他人との繋がりを強めましたか? おそらくその本は、あなたに逃げ場を与えてくれたことでしょう。あるいは、生きることの美しさを再発見させてくれたことでしょう。驚きましたか?)

そしてそういう経験を与えてくれる本を我々は提供したい、と表明している。
この "Maybe it served as a welcome escape." がまた秀逸だなあと思った。この本屋は、本好きの中でも、人々が本に求める「心の弱さ」に着目しているからだ。

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特集ページの一覧を見ると、黒人とかネイティブアメリカンとか、そういう人種の違いを意識したものがほとんどだったりするわけだけど、もともとそういう書店なのかな。例えば、アメリカにはびこる人種差別の渦のなかで、もっと黒人が心を休める時間を作りたい、と思った黒人が創業したとか。
考えすぎかな笑。

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