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金とき
2020年9月15日 19:08
いつもなら、夕焼け色の空が広がっている時間だった。予報外れの分厚い雲があるはずの光を遮り、今にもぽつぽつと降り始めそうだ。 疲れ切った足を動かして、空気の入っていないタイヤを漕ぐ。きい、きい、と一定のリズムで音が鳴る。土手の上の、でこぼこのコンクリートをがたがた揺れながら自転車で走る。 一つ下の道で、制服を着た男子高校生がブレーキの音を響かせてUターンした。なにか約束を思い出したのだろう