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朝のお話です。 明るくて、希望に満ちているはずだけれど、実は暗い夜の続きで、いろんな気持ちが入り混じっているようです。
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2021年4月の記事一覧

ひつじぐも

ひつじぐも

 朝焼けの終わり、すっかりおとなしくなった太陽を見上げる。彼女は自分の放つ光が、全く見えないところでたくさんのひとを生かしていることに、気がついているだろうか。すんと冷えた空気で、濃い緑色の葉っぱについた朝露が震える。

 いつもどおりの、優しげな朝であった。女はひとつ、ため息をついた。ほうっと湧き出た白いもやが散り散りになって消えた。なんだか無性に寂しくて、葉っぱを揺らす。朝露は張りを失って流れ

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朝に思う

朝に思う

 似てる、と思った。

 ゆるく巻かれた茶髪、大きな黒目、きゅっとあがった猫目の目尻。

 考えすぎだ、と首を振る。マスクをしているし、こんなひとはこの世界にたくさんいるに決まっている。考えすぎだ。

 ワイシャツの中から金色のネックレスを覗かせたその女子高生は学生鞄を肩にかけて電車を降りて行った。ホームのベンチに腰掛ける女性と、ふと目が合う。

 電車が動き出す。昨日通った景色を逆再生するように

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