マガジンのカバー画像

42
朝のお話です。 明るくて、希望に満ちているはずだけれど、実は暗い夜の続きで、いろんな気持ちが入り混じっているようです。
運営しているクリエイター

2020年12月の記事一覧

明けの明星

明けの明星

 右腕を精一杯伸ばしてカーテンを引く。ぽつぽつと付いていたマンションの明かりはとうに消え、代わりにうっすらと空が白んでいた。夜に隠れそびれた小さな星が光る。

 そっとテレビを消して、杏里にラインを送る。ソファに足を投げ出すと、冷えた足先に当たるぬくもりを感じる。

「言ってたアニメ、全部観たよ」

 眼鏡を外して、伸びをした。一晩中同じ体勢で見つめていたテレビの画面に自分が映っている。ぶるりと身

もっとみる