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お客様に”買わせる”のではなく”買いたい”と言ってもらうためには?

理学療法士から個人事業主となりピラティススタジオを経営していますが、これまでのように病院に勤務していたら自然と患者さんが来て、また1週間後とか1ヶ月後に勝手に来てもらえるわけではなく、これからは自分で人を集めて、来てもらった人にリピートしてもらえるような工夫をしなければなりません。

前者は【集客】や【マーケティング】とも言い、後者は【クロージング】や【セールストーク】とも言い表すことができると思いますが、今回は後者についてこれまで自分が経験してきた成功・失敗談や書籍で得た情報を元にまとめていきたいと思います。


どんな考え方で対応していく必要があるのか?

私たち医療従事者(もう私は医療従事者とは言えないかもしれませんが)は、これまで患者様やお客様からお金を直接いただくという経験をしてきていません。

(学生時代のアルバイトで直接お金を扱う経験をしていたり、医療現場で働きながら何か別の事業を行っている方は話は別ですが。)

副業を始めたり、個人事業主となると当たり前ではありますがお客様から直接お金をいただくことが増えます。

まして、パーソナルトレーニングなど保険診療外で高単価のジムやスタジオでは数万円〜数十万円の高額な商品を扱うこととなるため、慣れていない状態だとかなりストレスに感じてしまいます。

これだけ高いお金を扱う中で、1人のお客様から商品を買ってもらえない、つまりリピートされないとなると売上の低下に繋がり、雇われている方では信頼の低下、個人事業主の方では自身の生活に影響してしまいます。

こうなってしまうと、よりプレッシャーが増え、「この商品を絶対に”買わせければ”いけない。」という考えにもなりかねないです。

ここで勘の鋭い方は、ん?と思うかもしれませんが、私たちは何のためにその商品を作りお客様に購入していただいているのでしょうか?

決してお客様に売りつけるために作ってお金儲けをしようとしているわけではないかと思います。(残念なことにそんなことをしている方もいるのは事実ですが…)

では、お客様の未来を明るく豊かなものにするために作った商品を無理やり売りつけるのではなく、その商品の有用性や利点を理解してもらって気持ちよく購入してもらえないのにはどうしたら良いのでしょうか?

今回はスーパーの食材などの有形商品ではなく、私が取り扱っているような回数券などの無形商品を例にとって説明していきます。

その商品にはそもそも根拠があるのか?

パーソナルトレーニング施設やピラティススタジオなどでは、4回券・8回券・12回券などの回数券や、月2回コース・月4回コースなどのサブスクシステムがあります。

これらは形のないものなので無形商品となりますが、この回数には根拠があるのでしょうか?

例えば、スーパーに果物が有形商品として売られていると思いますが、同じりんごでも産地やブランドによっては値段が異なってくると思います。

「このブランドならこれだけ高いのは仕方ないか…」
「この産地のりんごは間違いなく美味しいから今回は買おうかな。」

といった理由で購入したりしなかったり選択することがあるかと思います。

では、私たちが取り扱う商品である回数券やコースの料金には、それぞれどんな理由でその値段をつけて、どんな人にはその商品が合っているのか言語化できているのでしょうか?

これが決められていなければ、一人一人のお客様に合ったプランを自身を持って説明することはできませんし、提案ができないので無理やり売ろうとしているのがお客様にバレます。

商品の価格の決め方に正解はありませんが、いくつか考え方はあります。

  1. 市場での類似商品はどのくらいの価格なのか?

  2. 自分自身がその金額をいただいた時に心理的な負担にならないか?

  3. 商品のコンセプトと値段が見合っているのか?

この辺りが価格を決める上では考えるポイントとなると思います。

市場での類似商品の単価が5,000円程度なのに15,000円では売れにくいと思いますし、自分のサービスに自信がなく3,000円程度と思っているのに10,000円いただくのは心理的な負担になりますし、安くて高品質と謳っているのに高単価ではお客様に疑問を与えてしまいます。

どんな対応の仕方でクロージングまで進めているのか?

商品を購入してもらうためには、クロージングの時だけ上手い話し方をすれば良いわけではありません。

ある程度、クロージングのマニュアルはあると思いますが、そこに行くまでの過程もとても大切です。

新規の方が来店された場合には、お店の入り口の扉が開いた瞬間から商品を購入していただけるかどうかが決まってきます。

例えばあなたがお客様として美容室に行った際に、扉を開けたらスタッフの方が目も合わせず、名前も確認せず、聞こえるか聞こえないかからないような声で挨拶をされたら、その瞬間にまた来ようとは思いませんよね。

初めていくお店で不安や緊張がある中で、お客様は勇気を持って扉を開いてくれています。

その扉が開いた瞬間に、その緊張が一瞬で無くなるくらいの笑顔で元気な挨拶をされて、名前を確認してもらえて、「今日は暑いですね〜!」とか言われたら、また来てみようかなと思えませんか?

(もちろん、その方の性格によって良い場合も悪い場合もあるとは思いますが、少なくとも前者よりは良いかと思います。)

メラビアンの法則というものがありますが、人は表情や姿勢・態度などの視覚情報が55%、声のトーンや大きさなどの聴覚情報が38%、言葉の内容の言語情報が7%と非言語コミュニケーションが影響力のある情報としています。

しかし、これは視覚情報や聴覚情報だけ重要視していれば良いというわけではなく、視覚・聴覚情報と言語情報に矛盾が生じた場合に7%程度しか伝わりにくいということで、すべての情報が十分に備わっていることが望ましいです。

つまり、どんなに良い言葉を並べても、見た目が悪かったり声のトーンが低かったりしては相手は影響を受けにくく、逆に見た目が良くて声のトーンが高くても、言っている言葉が意味不明であったり信憑性の低いものではこれも影響を受けにくいということです。

まず、相手に良い影響を与えるためにも、身だしなみを整え、表情は明るく、明るいトーンで話すことが重要で、そこから実際に問診や評価、施術やレッスンを行なっていく中で、お客様にとって有益な正しい情報を伝えていく必要があります。

クロージングに行くまでに、ここまでの良い影響を相手に与えることができていれば、あとは今後どのような道を進むことによってお客様の理想の状態に近付くことができるのかを正しく導いてあげるだけです。

その他にも、細かな気遣いも大切になってきます。

例えば、お客様が来店された際に靴を脱ぐとします。その靴をお客様が自分で並べればそのままでも良いですが、並べていなければ自然と並べて帰りに履きやすいような状態にするべきです。

寒い日であればコートを着てくるかもしれません。中に運動着を着ていてコートだけを脱げば準備できる状態であれば、「コートをハンガーに掛けておきましょうか?」との声かけができます。

雨が降っていれば身体が濡れている可能性があるので、事前にタオルを準備しておいて、「濡れた身体を拭くのにお使いください。」とタオルを差し出すこともできます。

こういった細かな気遣いも相手の方に良い印象を持っていただいて、商品を買いたいと思っていただけるようにするためには必要です。

理想は、買ってもらうために行うのではなく、良い印象を持ってもらうために行うわけでもなく、自然と当たり前のようにできる状態にしておくことです。

いざ、クロージングの実践!

ここまできて、実際に施術やレッスンを提供し、お客様の望みに対して効果を感じていただけたら、どのようにして次回の継続に繋げれば良いでしょうか?

初めから継続するつもりで来店している状態が理想ですが、まるっきり新規の場合はそうでないことが多いと思います。

例えば、私が経営しているピラティススタジオで、お客様の体験レッスンが終了した後にはこのようにクロージングを進めていきます。

米:「では、今日の運動はここまでにします。お疲れ様でした。」
客:「ありがとうございました。」
米:「体験を受けてみてどうでしたか?」
客:「疲れましたし、難しかったけど、なんかスッキリしました!」
米:「良いですね!ピラティスはやっている最中キツイですけど、終わった後はなんかスッキリする感覚が得られるかと思います。」
客:「そうですね!やっぱ身体を動かさないとダメですね…」
米:「身体を動かすことは本当に大切ですよね。今まで自分の身体のことを知る機会もなかなか無かったかと思いますので、今回知ることができてよかったのではないかと思います!」
米:「〇〇さんのお身体の状態的には腰の症状を改善するために××の柔軟性の改善や△△の動かし方を改善していく必要があると思います。そうすると□□のような変化が起こるので痛みは減るはずです!」
客:「なるほど。そういうことなんですね。私はどのくらいの頻度で通った方がいいのでしょうか?
米:「当店に通われている方でも、〇〇さんのように腰痛が起こる方は多いのですが、初めは週1でコンスタントにご来店いただけると、症状が早期に改善している方が多いです。理想は初めは週1で通って、症状が軽減してきたら徐々にメンテナンスに移行していけるように頻度を減らしていっても良いかと思います!」
客:「そしたら、まずは週1から始めてみようかと思います!」

いかがでしょうか?こちらから無理に売りつけるような話ではなく、お客様から「どのくらいの頻度で通うべきでしょうか?」と質問がありましたね。

このように言っていただけると、こちらとしてもスムーズに次回の予約に繋げることができるので、心理的な負担が少ないかと思います。

では、このような言葉をお客様から言ってもらうために、何か特別な技術があったかというと、そんなことはありません。

お客様がご来店いただいてから、笑顔で、明るい声のトーンで、ちょっとした気遣いをして、本当にあなたの身体を良くしたいという想いで対応して、丁寧に説明をしているだけです。

これと逆だったらあなたは商品を買いますか?
私だったら絶対に買いません。笑

接客業をしたことがある方であれば、意識すれば当たり前にできるようなことを行うことが第一で、知識や技術はその次に来ると思います。

後からでも知識・技術がついてくれば、もうあなたも人気インストラクターです。


まとめ

ここまで読んでくれた方は、どのように感じてくれましたか?

あ、当たり前に人と向き合うことができてなかったかも…と思った方は、ぜひこれからすぐに実践してみてください。

ちょっとの意識ですぐに実践できる内容だったかと思います。

  1. 根拠を持った商品を用意する。

  2. 明るい笑顔や声のトーン、ちょっとした気遣いを心掛ける。

  3. 本気で良くしたいと真摯に向き合い、丁寧に説明する。

まずはこの3つを意識するだけでも、継続率は伸びていくかと思います。
私のような元医療従事者が陥りがちですが、知識や技術だけがあればリピートされるわけではなく、もっと大切なことがあります。

少しでも参考になれば幸いです。
いいねやコメントお待ちしております!

米川俊樹/理学療法士/経営者

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