味の桃源郷、福岡(鳥いち/福岡)
九州は鳥が美味い。魚も美味い。野菜も美味い。
つまり、全部美味い。そして懐に優しい。
飲み助食いしん坊にとってのユートピア、九州。
私は足かけ10年福岡に住んでおりましたが、住んでいても回りきれないほどに銘店がぎゅうぎゅうにひしめいている。尚且つ「全国区の銘店」「知る人ぞ知る銘店」「知られざる秘境」まで階層をなしており、もはや「銘店お節三段重」状態なのである。
胃袋が二個あれば、と何度思ったことだろう。肥えて本望、一片の悔いなし。と思い詰めるのも無理はない。
しかしながら、銘店だらけ福岡は飲食店側からすればまさに「修羅の国」。飽きの早い県民性が恐ろしいまでの代謝の早さ「うねり」を生み出し、弛まば盛者必衰と謳われ、鳴り物入りも力なくば容赦なく叩き潰される。店主たちは舌の肥えた民たちから日々ジャッジされ続けるプレッシャーを跳ね除け、腕を磨き店を進化させ続けていかなくてはならない。それだけに生き残っている飲食店は珠玉の輝きを放つのである。リスペクト。私には無理。
私が愛してやまない「鳥いち」もそんな修羅の大地を力強い足取りで歩んできた銘店のひとつである。焼き鳥、人柄、申し分なし。訪れるたびに永く人々に愛され続けると確信を深める素晴らしいお店である。ともあれ百聞は一口にしかず。福岡にお立ち寄りの際は是非。