短パン姿で、座ったままビーフンを茹でる男
「統一ビーフン」という即席麺をご存知だろうか。台湾に本社を置く即席麺のメーカーで、本国では最大手。日本でいう「日清」くらいポピュラーらしい。
なんといっても社名がいい。「統一」である。ビーフンに一途に集中している様子が伝わってくるではないか。これが「散乱」や「解散」では全くだめだ。床に「散乱」したビーフンほど悲しいものはない。初めて食べるというのにいきなり「解散」と言われても困る。こちらは結成した覚えすらないのだ。やはり「統一」でなければならない。
さて、この統一ビーフン。2022年の春に日本での販売も本格化され、ネットショッピングを利用すれば簡単に手に入るようになったと聞いたので、台湾料理好きとしては食べねばなるまい。ということで入手してみた。トップの画像である。
まず目につくのは、いかにも現地っぽいパッケージに描かれた「座ったひと」である。手前にひとり、奥にふたり座っている。パッと見ると、みんな「食べるひと」のように見受けられるが、そうではない。
手前のひとりに注目したい。彼は「作るひと」なのだ。背景がどこまでも青いので気づきにくいが、これは店なのである。「座ったまま、ビーフンを茹でる店員」なるほど、そう言われてみればハチマキを巻いているし、長い柄杓のような器具も持っている。
興味深いのは、奥のふたりが長ズボンを着用しているのに対し、店員が「赤い短パン姿」で麺を茹でているという点だ。おそらく、足元には寸胴を温めるガスコンロか何かがあるのだろう。暑いのだ。
「赤い短パン姿で、座ったまま、ビーフンを茹でる男」
ラフだ。途方もなくラフである。
店員どんなスタイルで調理していようが、「ビーフンがうまけりゃそれでいい」という台湾国民のおおらかさを感じる風景である。これはカップ麺の味にも期待ができる。早速、湯を沸かして作ってみた。
それで、できあがったのがこれだ。
一切の「無駄」と「ケバさ」を排除した潔さ。チャーシューやら、煮卵やらそんなでかいを乗せるのは無粋。黙ってビーフンをすすりなさい、と言わんばかり。シンプル至上主義の境地ともいうべきビーフンだ。
あっさり薄味ながらネギとニンニクの香味が効いていて飲めば飲むほど、食欲を増進するスープ。素麺よりもさらに細い麺は口の中でサラサラと解ける食感が心地よい。二日酔いの日のためにストックしておきたい味わいであった。
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