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山口めろんさんの歌がすごい
タレントで歌手の「山口めろん」さんが、山下達郎さんの冬の名曲「クリスマスイブ」をピアノ弾き語りでカヴァーしている。先日、初めてKBCラジオ(九州朝日放送)で耳にしたのだが、その歌声に私は衝撃を受けた。彼女には「異次元の歌姫」という形容が相応しいと思う。
その声は、ちかごろ歌を聞いて感動することなど滅多になく、感性もろともゴビ砂漠のごとく乾き切った私の耳に、潤いの雨を降らせた。それも、小雨どころではなく、大雨、夕立、ゲリラ豪雨レベルである。
なにしろ、恐ろしいまでの「音痴」なのである。
ピアノの演奏は板についたもので、澱みのない伴奏からは確かな技量を感じさせる。聞けば絶対音感の持ち主。素養は申し分なし。あとはアウトプットに余程の問題がない限りは、第一級の歌い手であることに疑いはないだろう。
しかし、余程の問題があるのだ。
音程が、あっちへ飛び、こっちへ飛び。感性の赴くままに生き生きと跳躍する。まさに融通無碍。すでに原曲のキーなど、すでに何の意味もなしていない。音楽の理論、原曲へのリスペクトの鎖を断ち切り、新たな「音痴の地平」を切り開いてしまっているのだ。
本来だったら「下手くそで、音痴な歌なんぞ聞きたくない」「聴く価値がない」と遠ざけられるはずである。しかし、そうはならない。その音痴ぶりには音楽への愛が感じられるのだ。歌うのが楽しくて、音楽が好きだという気持ちが溢れている。その「ひたむきさ」が聞き手を、すんでのところで繋ぎ止める。
だんだんと、小さいことで悩んでいる自分が馬鹿馬鹿しくなり、笑えてくる。もはや歌を聞く、というより、自然現象を観測する心持ちに近いのだと思う。
機会があったら一度、聞いてみていただきたい一曲。
クリスマスも近いですしね。
きょうもお読みいただきまして、
ありがとうございます。
それでは、また明日。