「なめくじマン」と「桃のカプレーゼ」
海の日、快晴。こんな日は散歩だ。散歩に限る。キラキラした木漏れ日。街を抜ける風が肌を撫で、夏の到来を全身で感じる。そうだ。缶ビールでも買って帰ろう。あの、フタが全部取れて生中みたいになるやつがいい。
「しかし、いまどきのヤングは「生中」とか、言うのだろうか。何か別の、、」などと、ぶつぶつ言いながらスマシ顏で玄関を出た瞬間である。甘く爽やかなカルピスのような幻想は蒸発した。シュアッ。
情け容赦なく照りつけるサンビーム。これはもう本当に太陽どのが「ビーム」を打ってきている。慈悲のひとかけらもない。完全にやっつけるつもりだ。
みるみるうちにスマシ顏は溶けていき、ものの15歩であえなく「なめくじマン」に変身してしまった。バケツいっぱいの水をひっかぶったように濡れそぼり、揺らぐ陽炎の中をふらふらと歩くなめくじマン。
そこにはもはや爽やかの「さ」の字もありはしない。あるとすれば残酷の「ざ」であろう。
「ヤル気満々な太陽どの」と「焼けたアスファルト」の白熱のラリーにより、灼熱と化した路上(まるでトースターで焼かれる食パンの気分だ。)で考えるべきことはただひとつ。「無事に生きて帰ること」だけである。
ぐらぐらと煮えたぎる思考回路で僕は思い出していた。夏を決してナメてかかってはならないことを。クーラーの効いたリビングから眺める爽やかな夏の風景に惑わされてはいけない。惑わされてはいけないのだ。と。
さて、与太話もほどほどに。
(ちなみに無事に帰れましたが、ビールは買えませんでした。クヤシス。)
かんかん照りの夏の日にお似合いな一皿をご紹介。
『桃のカプレーゼ』です。
皮をむいて一口大に切った桃と、手でちぎったモッツアレラを、オリーブオイル、白ワインビネガー、レモン汁、小指の先くらいの塩と胡椒でマリネ。仕上げにバジルを添えれば完成。(トップの写真です。)
みずみずしく優しい甘さの桃に夏のカラダが喜ぶ一皿。
冷たい方がフレッシュ感がより際立って良いですね。フルーティな香りで軽やかな口当たりの日本酒(やはり純米大吟醸でしょうか。)またはアルザスあたりのスパークリング、白ワインなど相性良いのではないでしょうか。
余談ですが
「Sans Déconner.(そんでこね)」の渋谷シェフの手にかかるとこうなります。
桃、アンチョビ、パクチー。
そんなんアリですか!
発想に脱帽。味わいに納得。
どうか、ワインを。
それでは、また明日。
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