挟まれ、食べ物のスジ!
歯に挟まることで人を絶望的な気分にさせるものが世の中にはたくさんある。
たとえば、とうもろこしの薄皮、りんごの皮、みかんのスジ。気づくと挟まっている。まさに挟まり界のプロ。こやつらの困った点は「気づきにくい」ところにある。
午後のおやつに食べた「みかんのスジ」が夕食時に出てくることなど平気で起こる。ステルス挟まり。静かに気取られぬように歯のすきまに潜むのだ。油断もスキもあったものではない。
続いて厄介なのはニラ、白髪ネギ、などのスジっぽい香味野菜。むろん問題は「ニオイ」である。がっちり挟まってしまったが最後。ニオイを生産し続ける。しかも、ときが経つにつれて匂いの強度が増す。
こうなってしまっては、もう我々にやる気を出すことなどできない。帰りたい。−−それしか思考できない無気力状態に陥ることになる。万が一、翌朝まで持ち越してしまったとしたら、事態は深刻さを極める。「目覚めたら、そこは地獄だった」ときの気分である。もう、無理なんです。
ちなみに、この「臭くなる現象」は鶏もも肉のスジっぽいところなど、お肉全般にも当てはまる。
しかし、そんな「挟まり軍団」の中でも際立って絶望的な気分にさせるものは「牡蠣の貝柱」ではないかと私は思っている。
牡蠣の貝柱ほど、除去しずらいものはない。繊維が強固で簡単には解けない。しかも、しばらく旨みを出してくる。良かれと思ってのことだろうが、恐ろしいありがた迷惑である。みるみる全てのやる気が消滅していく。もう帰りたい。
番外編だが、カニの殻。
これは、何かの拍子にガチっと挟まると、とにかく痛い。
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それでは、また明日。