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そこに、山があるから
うずく。という現象について考えてみたい。
きっかけは音楽をなりわいとする人々の話である。
部屋に楽器がぽんと置かれていたとする。すると「うずきだす」のだそうだ。それは強烈な欲求というより「ああ、あるなら、やろうか」といったテンションのものだ。
彼らは楽器を手にすると安心したように、弾き慣れたフレーズを指が自然となぞる。驚いたことに、かなり複雑に思えるリズムや旋律を談笑しながら淡々と奏でる。
ベテランの域にあるほど、その傾向は強い。こういうのを職人というのだろう。長い演奏生活の末に、楽器を身体の一部と認識するまでに至っているのである。
そこで、ふと思った。
そういえば登山が好きでしょうがないという人は山を見ると「登りたくてうずく」という。「そこに、山があるから」という名言が示すとおりだ。
その伝でいくと、
釣り人は海を見れば、釣り糸を垂れたくなる。
サッカー選手はボールを見れば蹴りたくなる。
料理人であればキッチンを見て、やはり調理をしたくなるのだろう。
では、美容師はどうだろうか。やはり、道を歩いていて髪ぼさぼさの人間を見ると「ああ、こう、バサッと切りたいなあ」とうずくのではないだろうか。それで、美容室で切ってもらっているときに聞いてみたのだ。
「いや、そんな変な人はいませんよ。」
ばっさり切られてしまった。
おしまいに、
余談ではあるが私がうずくものを紹介したい。
それは「シーチキン軍艦」である。