見出し画像

サプライズ

『朽ち果てろ、サプライズ!!💢
あの子たちの非日常に利用された。
悲しかった。
だって誰も彼も私の誕生日を祝うことよりもそのあとに載せるTwitterやインスタ用の写真を撮ることに必死だったから。
そこに私はいなくて、何ならその日は私の誕生日ではなくて、それなのに、みんなはお構いなしに私にスマホを向けてパシャパシャと写真を撮っていく。そのカメラを睨むことができたらいいのにな、と思いながら引き攣った笑顔をあらゆるレンズに向けている自分が嫌い。馬鹿みたいなティアラを乗せて、『本日の主役です』なんて肩からかけちゃって、本日は誕生日でも何でもないのに。クラスメイト全員からの手紙が入った箱を渡されて、それとお花を胸に抱えて「ありがとう」と言うしかなくて。ああ、惨めだ。ありきたりなメッセージにいらついた。書かされたであろう隅っこ男子の殴り書きが私を嘲笑っているように見えた。私の本当の誕生日を知っている人はあの中に何人いたのだろうか。受験しか待っていない退屈なスクールライフの暇つぶしとして、消費されたんだと情けなくなった。今日はハーゲンダッツ食べてもいいよね、お母さん。

わたしの日記2014


中学3年のときの日記を読んでいたら、こんな日のこんな出来事を綴っていた。

あんなに悲しいサプライズはない。

「あなたのために」を盾に「私のために」になってしまうのが人間です。
サプライズはそれが顕著に現れるからタチが悪い。
「私がしたいから私のためにサプライズするねん」と潔く言ってくれたら全力で乗っかるのにね!!

「ちょっとしんどいかも」とぼそっと送ってしまったLINEに対して、「そうか。」と淡白な返信をしてきたきみは、次の日、私の最寄駅で待っていて、私の大好きなミスドのオールドファッションを片手に「元気出た?」と笑っていた。

わたしの日記2020


だけどね、こんな心が温かくなるサプライズもあるよ、と中学3年生の私に教えてあげようと思う。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集