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人は、やはり仕事によって鍛えられ、成長していく
私は、いままでの会社人生45年間で、さまざまなことを経験してきました。
新卒で会社に入った時は、何がしたいとか、この仕事が天職だ、
これ以外の仕事はしたくない、なんてことは全く考えていませんでした。
とにかくいい会社に入って、いい給料をもらってというのが、恥ずかし
ながらスタート時点で考えていたことでした。
偉人と言われた人たちも、多かれ少なからそんなところから
スタートしたのではないかと、勝手ながら思います。
しかし、偉人たちは与えられた仕事に対し、会社が悪い、
上司が悪いとか不平不満を言ったり、上司や同僚を馬鹿にしたり、
だからダメなんだ、だから仕事を辞めたいというふうなことは
恐らくは一切言ってこなかったと思います。
好きな仕事を選んでするよりも、与えられた仕事を好きになって
いって、結果として大成功していったのではと思います。
最初は好きではなかった仕事も、お客様や会社から評価されたり、
時には失敗もし地獄を見たり、失意や落胆もしながらを、何十年と
続けていくうちに人として鍛えられ、人生が形づけられていく・・・
それが実は人生なのではないかと、僕は思います。
一般の人は、朝家を出てから仕事を終え、家に帰るまで恐らく
12時間は会社の仕事のために使っているでしょう。
ならば、嫌々仕事をするのではなく、その12時間に積極的な
意味を持たせたいと思うのです。
「パンを食べるために仕事をしているんです」という人は
すぐにその考えは捨て去りましょう。そんなことでは誰も
喜びません。
考えてみましょう。あなたが会社へ行ってしている仕事は
実は大変なお金がかかっているのです。
会社の建物だってタダではありません。何億、何十億円の
お金がかかっています。
あなたがやっている仕事だって、製品を開発したり、製造したり、
さまざまな人たちが関わっていたりして、そうとうなお金が
かかっている、そんな仕組みがあるのです。
自分でお金を払ってやろうと思っても、できないほど大変なんです。
その仕事は自分で合わないからと言って辞めるのは簡単ですが、
裏では大変なお金が動いているということを考えるべきなのです。
そんなことがあるんだと思いながら、仕事をし、自らその仕組みを
動かし、会社を動かし、会社を成長させていくことに貢献する。
そんなことで自分も会社も、大きく成長していくのではないかと
思うのです。
ある時、ドイツのある工場の工場長がこんなことを私に言いました。
「この工場で作っている製品の半分は、日本からもらった
注文で生産しているのです」と。
その工場は、200-300人の人たちが働いています。
その半分の人たちの生活を日本で支えているんだ、と思うと
身が引き締まる思いがしたものです。
人は仕事で鍛えられ、成長する。
それを実感させてくれる工場長の言葉でした