上司は、いかに部下に成功体験を積ませるか その5
引き続き成功体験の、その5です。
私は以前部下にこんなことをやりました。
なかなか中心になって動いてくれない部下を、ある顧客との重要な会議で、テーブルの真ん中に座らせました。
真ん中に座るということは、中心になって話すということです。
最初お客さんも怪訝そうな顔をしましたが、すぐに私の意図を汲んで
理解してくれました。
彼が中心で資料を作成し、発表の準備までしていましたから、中心になるのは当然の事だったのです。
もちろん私は責任者でしたから、通常ビジネスマナーとしてはテーブルの真ん中に座ります。
この時だけではありませんが、大体自分が中心で話さない会議では「端っこ」か、「お誕生席」に私は座ります。
その方が全体を見渡すことができるし、中心となるべき部下がどんな状態かも把握できるのです。
部下はプレッシャーのなかで、お客様と話を進めることになります。
最初は、緊張の極致でしょう。でも、すぐになれます。
実は最初は、上司(私の事)はいつも逃げていると部下たちには
勘違いされましたが、理由がわかると皆納得してくれました。
そのうちには、自分の番になると悟ってくれますから。
次回からは、黙っていても部下は中心に座り、話題の中心になり
話を進めてくれるようになります。
お客様もだんだんそれが当たり前のようになってくれます。
もちろん重要な局面では私が判断して話しますが、そうでない時は
「端っこ」で見守ります。
上司によっては「おれが、おれが」と、いつも真ん中に座る人がいますが、
それでは部下の出番がありません。部下だって出番を待っています。
一般的には、部下は上司がいると自分はやらなくていいんだと思ってしまいがちです。それでは人は育ちません。
ことと場合によりますが、部下を常に中心に持って来た方が「人は育つ」ことになります。
部下も「これは自分の仕事だ」と思ってくれるようになります。
顧客の偉い人からも、「御社はよく人が育っていますね」と事あるたびに
褒められました。
それはそうですよね。そう育てているのですから・・・
上司は、「部下の働くステージを用意する」とはこういうことなのです。
一つひとつの小さな成功例が、大きな成功へとつながっていきます。