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出会いへの投資は裏切らない
私の上司であった新将命さんは「新(あたらし) 塾」というビジネス
パーソン育成のための勉強塾を主宰していました。
塾生数は120名ぐらいで、毎回2名のゲストスピーカーに講演して
いただいたあと、みんなで飲食して盛り上がり、交流を深める
という趣旨でした。
ゲストスピーカーは、野球の監督、宇宙飛行士の夫、プロの
サーファーなど多彩な人たちが参加されていました。
塾生は、大手の商事会社、銀行、証券・投資関係、中小企業の
社長など様々な方がたが、参加されていました。
「おまえさんも、末席を汚すか?」と冗談ともつかない誘いを
受け、何度か参加させてもらいました。
特別な催しはありませんが、講演と会食だけの会でした。
いわゆる塾長主催の、異業種交流会という言い方がわかりやすい
かも知れません。
しかし、途中で「新志(あたらし)塾」と名前を変えて、15年以上も
続きました。徐々に集まりが悪くなってフェイドアウトしがちな
この手の会にしては、長続きの部類に入るでしょう。
その理由として、明確に紙に書いてはいませんが、塾生資格として
新さんがいくつかの条件を設けたことがあるかもしれない。
条件の第1は、「なんらかの形で新さんと縁があること」
ただし、「一見さんお断り」という京都の老舗の料亭ほどシビアでは
ありません。友だちの友だちでもいい。私は直属の部下でしたので
堂々と参加させてもらいました。
第2は、「なんらかのコンピテンス(技量)を身につけていること、あるいは身につけようとしていること」
成功したい、出世したいと漠然と、またぎらぎらと考えているだけの人を、新さんはあまり認めていません。目標をもち、それに向けて一歩を踏み出している人を歓迎していました。
第3は、「人生に対してまじめに取り組もうとする意欲が伝わってくる人であること」どこでそれをはかるのか。新さんは、長年多くのビジネスパーソンと会ってきましたから、目を見れば、その人となりはだいたいわかるという自信で選ばれていたようです。なんか儲けネタはないかと目が血走っている人はあまり歓迎されません。
第4は、「誠実で、人の裏をかくような汚いところがないこと」
英語でいうと、インテグリティ(integrity)の高い人。
これも、少し話してみれば、およそ見当はつくそうです。
第5は、会に出席する時間とお金を惜しまないこと。
ここが今回のメインテーマです。
仕事で結果を出せる人は、自分にとって大切な時間はしっかり確保
するもの、時間は作るものだと考えている人です。
といっても、年に2回開催で、会費は1回8千円程度だった。
決して高いハードルではありません。
新塾は、意図したとおり、勉強の機会と、良質な人脈づくりの場でした。
世の中に同じような会合は多いが、たいていの主宰者は、直前の
キャンセルが続出することに悩んでおられたようです。
日本のビジネスパーソンは、プライベートに時間を投資するよりも、
仕事に時間を使うことを優先する傾向があります。
しかし、出席をキャンセルするのは、自分の決定にウソをつくことに
なります。そのうえ、人様に迷惑をかけることになります。
ちなみに、私が新さんとアポイントをとり、仕事の相談に乗って
もらったり、会食をお願いして時間をとってもらった時に、
一度たりとも新さんからアポイントをキャンセルされたことは
ありません。
新将命さんというひとは、一度決めたアポイントは他に重要な
アポイントが入ってもキャンセルとしない人でした。
一度新さんに言われたことがあります。
「ある化粧品会社の社長からお誘いを受けたけど、おまえさんの
アポが先だったから、お断りしたよ」と。
そういう人でした。それそれ以降、私も一度決めたアポイントは
キャンセルしないことにしました。
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よく、「ごめん、アポイントが入っちゃったので、キャンセルさせて?」
という人がいますが、自分とのアポイントの重要度を低くみているん
でしょうね。そんな人とはおさらばしましょう。
もちろん、人間は生身ですし、体調不良になることもあるでしょう。
仕事は生き物で刻々と様相は変わります。
しかしながら、オフタイムは原則、自由な時間であるはずです。
その時間をどう配分し、どう使うかを決められないようでは、仕事の
腕前もたかが知れている言わざるを得ません。
仕事の時間はてきぱき短縮化する。
自分への投資時間や人生を楽しむ時間はゆったり長くとる。
そういうメリハリをきかせることが、いい時間配分なのだと
私は思います。
「ダラダラよさようなら、メリハリよこんにちは!」と叫びたい。
これが新将命さんの言いたいところです。