せわしないインターバルの雑記(2/2) |仕事か趣味か
アルバイト生活だった去年。仕事のこの先について問われることが多かった。その時は、問う人が何を気にかけてくれているかをなんとなく察して、安定性や経済性をカバーして答えてた。
そこで出てくる言葉は、本当なら、自分の純粋な興味やこの先やってみたいことと一致させたかった。けど、それはなかなかに難しかった。そんな自分を内面で恥じながら、「優等生的」もしくは「安パイ」な答え方で取り繕っていた。
本音をいえば、先の見通しなんて気分をアゲぽよにするための一時的なものでいいと思ってる。できれば、雑然とした言葉をだらだらとつなげて答えたい。そしてそれを、そのままに聞いてほしい。
わかりやすさや簡潔さを前提にしないところに、素直に出てくる言葉を残しておきたくて、その媒体はnoteが良さそう。なので、33歳時点での自己分析とこの先の見立てについて、なるべく経緯や文脈を大切にしつつ、好奇心やモチベーションに重きを置いて整理する。
それで飯が食えるのか?とか、市場の中でどういうポジションを築くのか?という話は一旦どこかにおいておく。
①好奇心がどこからきてるのかを辿る
自分の興味関心は「林縁≒人と森の境界」にある。
もう少し解像度高くいえば、人が自然に干渉することでつくられ、維持される景観。そこで続いてきた生業や文化。気候の地域性と人為の掛け合わせで成立する植生と生物相。生物を資源として利用する生活技術。その中で生まれ、伝えられてきた思想・信仰・伝承・妖怪。
流行り言葉で粗く括るなら「里山」を構成する要素すべて。
これがそもそもなんでだっけ?を遡ると、限界集落で育ったことと、人里に近い環境に適応して生きる野生動物を研究の題材にしたことが、たぶん大きい。これが自分の原体験。
「自然と調和して生きていくのが本来であり、これからの望ましい生き方」という、SDGsの世の中の社会的な正しさ?みたいなものに賛成できないわけじゃ無い。けど、その正しさを経済的な合理性で説明しようとするよりもっと前のところに惹かれるものがある。
言葉にするのは難しいのだけど、その場所で暮らす人々の「自分たちはどこで、何とつながって生きてきたのか」というアイデンティティや、そこから生まれた文化を掘り下げていくと、大抵はその地域固有の自然条件(気候や植生)に適応してきたことに行きつく。その関係性を紐解くのが好きだし、それに尊厳や誇りを持つ人の話を聞くのも好き。
そこに、生まれた土地への愛着が乗っかってる。この限界集落は、自分がジジイになったとき存在するのか?人が自然に干渉できなくなった時、この景色はどうなるのか?ここに自分なりの考えを持ちたいという動機は、進学先や就職先を選ぶ時にずっと持っていた。
②生業をつくることに対する意識
社会人になってしばらくの間、「まちづくり」に関わる期間があった。そこでは挫折というか、自分に対しての大きな反省点を得た。それから改めて、この先何を仕事にして生きていくのか?を考えるようになった。
生業。イコールではないにしろ一旦「仕事」に変換する。自分にとっての仕事は、それがどこであっても、暮らしている地域や周りにいる人達とちゃんとつながって生きていくための手段だと思っている。
「好きなことで食うのは難しそうだから、仕事ではなく趣味にする。」もしくは「好きではないけど、稼ぎが良いから仕事にする。」どちらも間違っているとは思わない。けど、この2択で判断するのは嫌だと思ったので、好奇心と仕事の、自分にとって最適な掛け合わせを考えてみる。
好奇心×仕事 = ??
仕事は、誰かに「ありがとう」と言われることで成立する。そのために、自分の持っている知識や技術、もしくは体力、財力、人脈。できることをフルに活かして何かを変化させたり、新しいものを生み出したりする。
となると、いままでのように好奇心の対象(里山)を観察しているだけでは仕事にならない。「自分ならこれができます」と、自信を持って他者(クライアント、もしくはほかの分野で活躍するプレイヤー)に働きかけるフィールドが欲しい。
自分が働きかけたいこと、表現したいものって何だろう。。。?
高山に来てから、自分の身の回りの同年代には、戦うフィールドや表現の手段を持って生きている(ように感じられる)人が増えた。憧れと焦燥が入り混じった感情の中で、自分にもそういうものが無いと、その人たちと対等に言葉を交わせないと思ってから、もう3年くらい経つ。
現時点の仮説としてあるとすれば、それは「景色」かな?と思っている。自分の力で景色を編集する、書き換える、あるいは表現する。これが自分の仕事のキーワードになりそう。
景色を書き換える仕事
人間活動が縮小していくこの先の日本では、放っておけば「後は野となれ山となれ」のごとく森がどんどん進撃してくる。人間活動を維持していくためには、部分的にでもこの大きな流れに抗う必要がある。この過程では、いろいろなニーズ(困りごと)が生じる。
めちゃくちゃわかりやすい事例を出すなら、草刈りや、育ち過ぎた樹木の伐採。もう少し範囲を広くとって、自然資源の有効利用、土木インフラを守る新しい仕組み。あるいは、その周辺にある情報管理や、人の営みをシステム化する流通フローや人材配置も含む。
こうしたことに幅広く解決策を持っている人間がいたら、それは、人から「ありがとう」と言われる仕事として成立するのではないか?と思った。そう考えると、「景色を書き換える仕事」をつくることに俄然興味が湧いてきた。
これが、個人事業主になったイチバンの理由。仮説ながらも、自分が向き合いたい対象を決めた。次は、具体的にどんなものであれば、仕事になるのかを明確にしていきたい。検証の場として、個人事業主の屋号をフル活用していく所存。