やりたいことが見つからない。
何をやっても中途半端
中学生の頃は成績もまあまあ良くて、テストの点数はクラスでだいたい10位以内に入っていた。
当時から自己主張をあまりしない私は、特に行きたい高校もなく担任に進められた学校に推薦入学することになった。
新学期、軟式テニス部に入部した。中学校で吹奏楽部だった私は体育系の部活に憧れた。
しかし、ほとんど運動習慣のなかった私には想像以上に練習が辛かった。練習中、大きな声を出さなければならず、毎日、帰宅時間も遅かった。当時、家計が苦しかったこともあり、母にも反対された。
テニスがやりたいわけでもなかったので、続ける意味を見失い退部した。
これが、最初の挫折だ。
結局、古巣の吹奏楽部に入部した。
最初は順調だった。野球部の応援団として演奏したり、学園祭で発表したりと、楽しい思い出だってある。
部活動が崩れだしたのは、アルバイトを初めたことがきっかけだ。アルバイトがない日は練習にも参加していたが、演奏についていけず、休みがちになっていった。
そして、幽霊部員となった。
アルバイトに明け暮れた挙げ句、勉強もおろそかになり、成績もどんどん落ちていった。
両親の離婚問題も重なって、学校も休みがちになった。
高校卒業間際になっても進路が決まっていなかった。
そもそもやりたいことがなかったのだ。
今なら思う。
いつも誰かの後をついてばかりで、自己主張が出来なかったからだと。
自己主張出来ないのだからから、誰かに相談もできるはずがない。
高校卒業後は、周りの勧めもあって、情報系の専門学校に入学した。
専攻したのは電子工学科だ。面接で「なぜこの学科を選んだのか」と質問されたとき、私は、「何かを開発したい」と答えたことを覚えている。
漠然としていた。
それも当然。何も考えていなかったのだから。
結局、目標を見失い、数ヶ月後、学校を中退した。
本当に中途半端な人生だ。
やりたいことを探し続けた20代
専門学校を中退した後、就職することにした。
しかし、何社か応募したが、面接する前に断られた。
高校生の時にワープロ検定や日商簿記3級を取得していたこともあり、職業訓練校の日商簿記検定2級コースを受講した。
日商簿記検定2級資格を取得し、地元のデパート経理課に採用された。
仕事にも慣れてきて、2年くらい経ったころだろうか。私はシンガーソングライターを夢見るようになった。きっかけは会社の仲間とのカラオケで声がいいと言われたり、当時人気だった女性ボーカリストに声が似ているなどと言われたことである。
私にとって、誰かに評価されることは記憶にないほどまれのことであった。
その気になった私は、仕事をしながら、週に1回、音楽学校に通い始めた。
シンセサイザーを購入したり、ギターまで習ったりして本気に取り組んだ。
しかし、そんなに甘い世界ではない。すぐに結果が出なかったため、シンガーソングライターになる夢をあきらめた。
やはり、中途半端な人生だな。
いや、これまでと違うのは自ら考えて行動したことだ。
音楽学校に通うことは上司にも相談していた。自己主張できたのだから。
その後、経理の仕事に専念し5年勤務し退職した。
次は、物作りの会社に興味があり、製造会社に就職した。その製造の知識を習得するため、職業訓練校でそのコースを自ら学んだ。PCで検査データの処理を任され、仕事は順調だった。
高校時代、部活の退部や専門学校の中退を経験したその反動から、何事にも本気で取り組み、向上心を持つようになった。
最後まで成し遂げたい
私は、家計を助けるため、飲食店のアルバイトを掛け持ちした。
その飲食店で、小学生の同窓生と出会った。
彼女は歯科衛生士の資格を持ちながら、栄養士養成の短期大学に就学していた。
私にとって、短期大学や大学は現役の高校卒業生が就学するという固定概念が覆された。
私は、彼女に刺激され、栄養士を目指すべく短期大学への就学を考え始めた。
一度、専門学校を中退した経験から、最後まで成し遂げたい、ちゃんと卒業したいという思いが強くなった。
その翌年、オープンキャンパスに参加し、入学についての説明を受けた。
入学資金を貯めるため、寝る間も惜しみ働いた。空いた時間は受験勉強に励み、28歳で短期大学に入学した。
入学してからは、受けられる講義はほとんど受講し、知識と技術を身につけるための努力を惜しまなかった。
そして、30歳で短期大学を卒業した。
最後まで成し遂げることができて、大きな自信につながった。
やりたいことは思いついた時にやれば良い
ある知人が話していた。
「本当にやりたいことを仕事にしている人は少ないよ」
そうなのかも知れない。
私もただ目の前のことを遂行しているのに過ぎないのかも知れない。
本当にやりたいことがみつかれば、それは素晴らしいことだ。しかし、たとえすぐに見つからなくても、ひたすら取り組めるものがあるとすれば、それが今のやりたいことで良いと素直に思える。
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