かけがえのない体験
人間の体って、つくづく不思議なものと思う。
ぶっちゃけた話、
魂の入った一つの革袋みたいなものなんだけど、
口から食べ物を入れ、消化吸収し、
あちこち動き回って、要らなくなったものを出す。
その新陳代謝を長年繰り返し、
いつまでも若いと思ったりする。
が、何事も、使えば擦り切れる。
これ、厳然たる事実。
というか、掟、乃至は宿命。
更新したつもりでも、
時間の経過とともに、
細胞レベルでは、やはり何らかの損傷も免れないし、
目に見えない老化、劣化、脆弱化は
着実に進行している。
結果、自然が造り出した精妙な器といえども、
生老病死は避けられず、
不老不死なんてありえない。
だからこそ、一人一人の、ささやかであろうとも、
かけがえのない体験が、
バトンとなって次の世代に受け継がれていく。