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2021年度シーズン終了に伴う回顧録

ことの発端は、2021年3月14日。
”新しくクラブチームを作ろうかと考えてるいるんですが、良かったら一緒にやりませんか?”
クラブチームといってもサッカーのチームではない。野球のチームでもない。

陸上競技(短距離)のクラブチームだ。

ありがたいことに、大学の後輩がそうやって私に声をかけてくれた。
大学院の1年までは競技に精を出していたが、アキレス腱炎を患ってからは思うようにトレーニングが詰めなくなり、気が付けばアキレス腱炎を言い訳にトレーニングをあまり行わなくなった(学生へのコーチングをする、という理由もあったが)。

社会人になってからは、年に1,2回は競技会に出場に出場する程度の活動頻度であり、誰かと一緒になってトレーニングや試合に出場するといったことはなかった。
陸連登録はおこなっていたが、気が向いた時や時間があるときに走って記録会に出る程度の野良的な活動を行っていた程度だ。

新型コロナウイルス感染症禍でライフスタイルも一変し、何か変化を求めていた私は、これはまたとない機会だと考え、競技復帰をすることに決めた。

2017年度(大学院卒業)以来、久々に年間を通して陸上競技に関わったシーズンなので、回顧録の残しておこうと思う。

準備期(3月~4月)

後輩から声をかけてもらい、5月のE選手権をターゲットとして本格的にトレーニングを再開した。
トレーニングの頻度は週に2~3回。

・週に2回は競技場でスパイクをはいてスプリントトレーニング
・競技場が使えない場合は近所の公園(芝生・坂)でトレーニング
・週に1日はウェイトトレーニング

新型コロナウイルス感染症の影響で、一部競技場は使えなかったり使えた場合でも20時までだったりと何かと制限がありつつ、限られた時間で着々とレースに向けて準備を進める。

スプリントトレーニングのベースとしたのは短い距離のショートダッシュ(あるいはSD)120m~200mのセット走である。
体力も筋力も衰えていたが、ボディメイクのため、最低でも週に1~2回は身体を動かしていたので、トレーニングができる状態であったことは幸いであった。

シーズン前半(5月~7月中旬)

5月1日:J記録会 100m 11"84(+2.0m/s)
シーズン初戦は母校にて。風も加味すると12秒フラットというところ。
久々のレースであり、忘れていた緊張感を思い出した。

5月17日:E選手権 400m 51"93
大学3年生の日本インカレぶりに熊谷でのレースで、大学で唯一出場したインカレでもあり、思い出に残る競技場だ。
当時、教育実習の最中であり、大した走りができず苦い思い出が残る……
日本インカレにはマイルでの出場だったため、フラットレースを熊谷では走るのは初めて。400mは約2年ぶりのレースとなる。
100mと比べてとてつもない緊張感。恐怖心。それと、どのくらいで走れるのかという(いろんな意味での)好奇心。
何とか52秒を切れて、一安心。

5月30日:N記録会 400m 51"01 ★SB
実は、東日本実業団選手権では、51"00を目標としていた。神奈川県選手権の参加標準記録である。
東日本の結果を見ると、箸にも棒にもかからず、若干悔しい思いをしていたので、この2週間で可能な限りロングのトレーニングをして迎えた。
東日本の時よりも、前半思い切って加速してスピードを維持することができ、ラスト100mは気力を振り絞ってある程度力を出し切ることができたが、0"01を削り出すことができず、神奈川県選手権への切符は手にすることができず。

6月12日:K市記録会 100m 11"82(-0.8m/s) ★SB
チームのHさんと、大学の同期であるUと出場。Uは大学生ぶりとなる復帰戦だというのに、11"5台をマークしており、さすが元スプリンターだと感心した。
足の遅い元400mランナーからすると、ちょっとうらやましい。

7月10日:J記録会 100m 11"96(-0.9m/s)
前回のレースから1か月が開くこと、久々に母校でのレースとなった。
シーズン序盤のレースを振り返って、スタートからあまり重心移動、接地がうまくいかず、下腿のみシャカシャカと頑張って動かしているような感覚があったため、一歩一歩乗り込んでみることを意識してきたが、これが裏目にでる。
以後、トレーニングをするも足が遅くなるばかり(笑)

7月17日:K記録会 100m 12"26(-1.4m/s) 400m 52"70
7月18日:K記録会 200m 24"38(-1.8m/s) 100m12"28(-1.3m/s)
泊りがけで、旅行もかねて出場。はるばる旅に出かけてまで出場した結果はイマイチだった。
レース運び云々の前に、身体が重く完全に疲れがあったように思う。
とはいえ、さすがに100m12秒かかるのは想定しておらず、かなりショック。
400mについては、100mのレースの1時間後だったこともあり、出場するか迷ったが、血迷って?強行出場。
スタートから流しのようなペースで、なんとか完走。

7月24日:W選手権 100m 12"28(-0.5m/s)
K大記録会での反省を経て、身体もフレッシュに、技術も改善して臨んだつもりだったが、記録は全く変わらず。
まるで成長していない……ということはまさにこのこと。
100mはあっという間に終わるレースだなぁと思う。
スタートで飛び出して、しまった!と思って頑張るも、から回ってあっという間にゴール。
もう少しうまく走れたのではないかと思う12秒そこそこの悲しみ。

中だるみ期(7月下旬~9月)

仕事の都合上、記録会等申し込めるレースがなく、あまり意欲的にトレーニングできず。
目標・目的のないトレーニングは本当に無意味で、効率が上がらないものだったと10月に身をもって知ることとなる。
特に8月は、気が向いては競技場に行き、SDと120mの流しを悪い意味で”テキトー”にこなしてトレーニング終わりという、無計画・無味乾燥なトレーニングデイズを過ごしていた。

シーズン後半(10月)

10月17日:K記録会 100m 12"15 (+0.6m/s)
10月24日:S記録会 100m 12"13 (-0.2m/s)

スケジュールの兼ね合いもあり、9月末に出場を決め、慌ててトレーニングを再開。
どうも、9月から左膝の外側側副靭帯に違和感がある。痛みではないが、設置した際にきしむ感じが強い。遊びがない感じがする。潤滑油が足りず、すれているような感じ。
特に短い距離で体重を乗せる時と、最大速度が出現するあたりで特に気になり、かばうような感じになってしまっていた。
両大会とも全力でやったつもりではあるが、悲しいかな、12秒台。

10月30日:N記録会 400m 52"00
12秒台のレースで、不完全燃焼だったため、急遽出場することに。
シーズンラストレースは、やはり400mで〆なければ。
シーズンの〆は、400mで。
アップの段階から、これがシーズンラストのレースかという感傷と、走り終われば解放されるという妙なプレッシャーを感じていた。
レースの内容としては、今ある力を出し切った結実としての52"00だったように思う。
良くも悪くも、これまでの取り組みが記録として表れる、面白いスポーツ、それが陸上競技だと思う。
結果を求めるなら、誠実に自分自身とトレーニングに向き合わなければならない。
走り終わった後、仰向けに倒れて青空を見つつそんなことに思いを馳せる。

社会人(一般)としての活動について

久々に1年間を通して陸上競技に取り組んだ。
自分の余暇の範囲で楽しく活動する、をモットーに取り組んだ1年間で、100mのタイムは振るわなかったものの、400mのタイムは50秒台も近く、それなりの結果だったのではないかと思う。

また、緊急事態宣言終了後の秋シーズンは、レース後チームメイト数人でご飯も食べたりと、チームとして楽しく活動できた(このご時世でなければ、レース後の宴会もはや本番とも言える)。

自己記録には遠く及ばないし、もちろん出せるとも思っていないが、エンジョイ志向として活動するのも悪くない。
まさにウェルネス陸上といった感じである。

JAAF(日本陸上競技連盟)が公表しているJAAFVISION2017では、以下の通り、「ウェルネス陸上」の実現を目指し、2040年までにアスレティックファミリーを300万人に拡大させることを目指している。

トップアスリートの競技力向上と青少年への育成を中心に行ってきた活動を「競技陸上」とすると、これからはいろんな世代の人々がアクティブなライフスタイルを送ることを目的とした「ウェルネス陸上」の実現が求められています。
JAAFVISON2017,公益財団法人日本陸上競技連盟(2017),p6
陸上競技・ランニングを楽しんでいる人口を2040年に2,000万人にすることを目指します。
そのために、アスレティックファミリー(競技会参加者、審判、指導者)を2028年に150万人に、2040年には300万人に拡大させることを目指します。
JAAFVISON2017,公益財団法人日本陸上競技連盟(2017),p4

令和2年6月の陸連時報によると、2019年度の登録者数は以下の通りとなっている。
一般:94,364名
大学(学連):20,296名
高校:111,691名
中学:198,929名

ここには、市民マラソンやジョギング愛好家は含まれておらず、競技会に出場するようなトップアスリートから競技志向の市民アスリートがほとんどであると推察する。
高校から大学(学連)への登録率の減少率もさることながら(大学に進学しない高校生もいるだろうから)、やはり特筆すべきは高校または大学(学連)から一般への登録者数の減少率だろう。
高校生3年生約40,000人、大学生4年生約5,000人(それぞれ全体の人数から最終学年の人数を学年数で割って算出したとして)が一般として登録したとしたら、登録者数はもっと増えても良いはずである。
(とはいうものの、登録しなければダメなの?と聞かれれば、そうではない)

陸連登録の煩わしさ、登録費用、活動モチベーションの維持、トレーニング時間の確保など、余暇として競技を楽しむにはいくつかハードルがあるものの、楽しくやりと割り切ってしまえば、案外気楽にやれるものである。
来季もチームとして活動できそうであれば、引き続き競技に取り組んでいきたいと思う。

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