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医療者が引く移動式屋台カフェの正体とは。YATAI CAFEが生み出す健康的な空間の理由。

【2022年1月28日更新】

「屋台やってる先生ですよね?」と最近よく声をかけられる。医師である僕は、医療福祉関係者が街中で移動式屋台でコーヒーを提供するお店「YATAI CAFE(モバイル屋台de健康カフェin豊岡)」を行っている。月に1回ひっそりと移動式屋台を引いて、訪れる人にコーヒーを物々交換で提供する。

この一風変わった活動を、多くのメディアに取り上げていただいた。神戸新聞、朝日新聞、ソトコト、Newspicks、リクナビNEXTなど。屋外の公共空間の利活用に関するソトノバアワードでも審査員特別賞、まちづくり功労者国土交通大臣表彰もいただいた。

2016年12月から始まった活動。ひっそりと月に1回行われるのみの活動が、なぜこんなにも注目されるのか。YATAI CAFE(モバイル屋台de健康カフェin豊岡)とはなんなのか、起こっている事実をお話したいと思う。

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●YATAI CAFEの日常

YATAI CAFEの日常を紹介しよう。ある日、僕らが商店街で屋台を出していると、通りかかったご婦人が「何をしているんですか?」とけげんそうに声を掛けてきました。「コーヒーを無料で配ってるんです。よかったら飲みませんか?」。僕がそう言うと、ご婦人はますます不思議そうな顔をする。ただ、何かよく分からないけど面白そうだと思ってくれたのか、ご婦人はコーヒーを受け取ってくれた。多分、一種のまちおこし的な活動だと思ってくれたのだろう。「コーヒーおいしいですね」と、ご婦人は温かい声を掛けてくれた。 どこのコーヒー豆を使っているのか、ご婦人はどこに向かっていたのか、ご婦人と僕らはそんなたわいもない話をした。そのうち屋台の屋根に付いている聴診器に気付いたご婦人に僕らが医師や看護師であることを伝え、だんだんといろんな話に発展していく。「面白いことやってるねー」と友達を呼んでくるおばちゃん、「病児保育がなかなか見つからないんです」とこぼすお母さん、「病院に行かんでもワシは健康!」というパチンコ帰りのおじさんもいる。そのうち、屋台の周りに集まってきた高校生とおじさんが話し出すこともある。僕が好きな光景だ。

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(屋台には次第に様々な人が集まってくる)

●医療で人は呼べない

もともと医学生だった僕は、仲間を集めて、地域の健康課題を探していていた。地域診断という手法を使って、地域の方にインタビューしたり、フィールドワークしたり、データを見たりする中で、地域の健康課題を見つけ出し、病気になる前に地域住民に出会い、予防的な活動ができないかと考えたのだ。地元の兵庫県養父市とその隣町である豊岡市で地域診断をはじめた。実際に話を聞いていくと、どうやら住民さんは救急車を呼ぶタイミングがわからないという課題を抱えていることに気づいた。不必要な場合に呼ぶ事例が社会問題になっているが、兵庫県北部ではどうやら我慢してあまり呼ばない人も多いとのデータだった。なんとかできないかと、医学生たちで「医療教室」を行い、いつ救急車を呼べばいいか伝えようと考えた。地元の新聞社にも広告を出してもらった。スライドも頑張って作った。にも関わらず、参加者はたったの一人しかいなかった。

なぜだろう。日曜日の午後にわざわざ医療教室に来る人などほとんどいないのだ。きっと友達とランチを食べたり、子供とサッカーしたり、麻雀したり、他に大切なことはたくさんあるのだ。僕たちは健康の押し売りをしていたのではないか。医療を訴えるだけでは人が来ないのだと気づいた。

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●モバイル屋台de健康カフェのはじまり

医療教室で行き詰まったときに出会ったのが、モバイル屋台de健康カフェだ。街に飛び出す家庭医孫先生(当時東京大学)らによる「谷根千まちばの健康プロジェクト(まちけん)」1)の一部として、モバイル屋台de健康カフェは始まった。まちけんは、人の健康は健康要因により支えられているとされる健康生成論に基づき、地域の「ゆるいつながり」を増やすプロジェクトだ。孤独はタバコ1日15本に相当する死亡リスクと言われる2)中、ゆるいつながりを増やすことは重要だ。その一環として、孫先生、大学院生の密山先生(当時)と一緒に、2016年10月に住民主催の「芸工展」に「モバイル屋台de健康カフェ」を出店した。地域にある場や人にリサーチに行くということがもともとのミッションだった。いざ行なってみると、医師が移動式屋台を引いて、コーヒーなどを振舞いながら、地域の人とコミュニケーションをとる。屋台とコーヒーにより、たわいもない話から健康相談まで発展するゆるい場になった。移動式屋台により、ケアと住民の対話の場を生み出したのだ。リサーチよりも、その対話の場の面白さと惹かれ、その後、2016年12月より芸工展に共に出店していた当時医学生だった僕が、兵庫県の豊岡市においても、「YATAI CAFE」と名前を変えて、活動を開始した。

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(谷根千でのモバイル屋台de健康カフェの様子 まちけんホームページより)

●人が来る仕掛けとは

コミュニティに人を集める要素は、楽しさ、美味しさ、オシャレさと言われている。YATAI CAFEには、楽しさ、美味しさ、オシャレさが内包されている。移動式屋台を見ると、神輿のようで楽しくなってくる。コーヒーは美味しさとオシャレさのアイコンと言える。YATAI CAFEにいると、ワクワクしてくる。ためにはなるが、そんなに楽しくもない貸し会議で行われる医療教室とは異なり、YATAI CAFEには、ふと訪れてみたくなる仕掛けがある。こういった直感に刺激をするやり方は、「ナッジ」と呼ばれる行動経済学の考え方である。

こういったワクワクは地域住民だけではなく、仲間集めにも役立つ。普段は真面目な勉強会は参加しないけど、YATAI CAFEは参加してみようと思う仲間が増えてくる。いまやYATAI CAFEには、7名もの医療福祉従事者が運営スタッフとして参加している。コミュニティに飛び出す医療者たちの想いを語り合う場になっている。自分のワクワクに問いかけながら、「自分だったらこんな活動行ってみたい」と思えるような活動から行ってみるのもいいのではないだろうか。それがひいては人を集め、健康的なまちを作る第一歩になるかもしれない。

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●作る過程から参画してもらう

屋台の活動は、屋台を作る段階から始まっている。街中の路地や駐車場を借りて、屋台作成ワークショップをすることから始めた。通りかかる地元住民や観光客に、屋台を作るのを少し手伝ってもらうと、偶発的な会話が生まれた。中には、その後の屋台の活動の際に、コーヒー豆も持って来てくれる方もいた。また、屋台を購入するための費用をクラウドファンディングで集めることで、お金のみならず、活動にコミットしてくれる方、活動を見守ってくれる方を巻き込んだ。作る過程から、多様な人に参画してもらうことで、さまざまな人を巻き込んだ活動を展開することができる。

ちなみに僕は屋台の活動を行う前に、地域のイベントにいくつも参加させてもらっていた。その時に出会った人が、屋台を作る活動に参加してくれた。訪れた映画館が屋台を作る場所を提供してくれた。ただ巻き込もうとしても、なかなか参加者は増えない。巻き込むためにも、誰かの活動に巻き込まれて関係性を作ることが大切なのだろう。

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(屋台の改造ワークショップの様子)

●屋台を介することで変わる医師と住民の関係性

屋台完成後は、地域に関心を持つ家庭医、コミュニティナース、医療系学生、介護職員、行政職員などが、街中を巡り、出会った人々にコーヒーを振る舞う活動を続けた。街中でコーヒーを配るのみならず、演劇の公演に出店したり、藍染めワークショップを開催したりなど、形を変えながら活動している。たわいもない話からときに健康相談されている。早めに受診につなげられたりすると、まち出た意義があったな、医療が少し身近になったかなと嬉しく思う。そういった健康相談以外にも、YATAI CAFEは、活動していくうちに見えてきた役割が大きい。

屋台を巡って行われる対話は、コーヒーや屋台について、個人の身の上の話、まちへの思い出など多岐にわたっている。それは、コーヒーを飲むという日常的な会話から発生している。医療者であることを前面に出さず、屋台やコーヒーという多くの人の関心を引く仕掛けを行うことで、街中で健康教室を開いても来ない健康に無関心な層ともゆるくつながり、世間話の延長で健康をめぐる対話が偶発的に発生する。病院の中での医師-患者関係から始まる診察ではなく、コーヒーを配る人-もらう人というカジュアルな関係性から始まる対話では、より本音の話が期待できる。「お医者さん」という役割から「屋台を引く〇〇さん」という一個人へと、医師と住民の関係性が変わっていった。これは、恋する豚研究所と同じように、後から医師や障害者という肩書きに気づくことで、スティグマがほぐれ、関係性が変化する「気づいたら〇〇パターン」だ。地域で活動していくうちに、医学生/医師というタグしかなかった僕は、「屋台を引いている」「まちづくりに興味がある」「本が好き」といった多様なタグを付けられて、一個人として地域と関わることになった。病院で会うと、「白衣を着ているなんて信じられませんね」と言われることが多い。そんな冗談が言える関係性は、シビアな医療上の判断が必要となった際にも本音で語れる関係性ではないだろうか。

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●地域の「ゆるいつながり」が健康につながる

一方で、医療者と地域住民の関係性を変えるだけではなく、まちのソーシャルキャピタル(社会関係資本)の編み直しにも繋がっていた。「屋台」という装置が、コミュニケーションの磁場となり、日常会話が発生する。健康をめぐる対話が生まれ、またコーヒーを飲みながら、リラックスできる場所ともなる。子供たちにとっては遊び道具となり、大人たちにとっては憩いの場となる。地域住民が思い思いの楽しみ方ができる場所である。昔ながらの銭湯、カフェ、公園、路地などがそのような機能を果たしてきたが、それらが徐々に失われていく中で、YATAI CAFEは、地域のつながりの編み直しの場になりうる。「ゆるいつながり」を増やすことで、健康的なコミュニティ形成に寄与している。

YATAI CAFEに訪れることで、健康を取り戻していった人たちがいる。屋台をいつも通りに出店していたとき、一人の男の子が母親と一緒に訪ねてきた。病気を発症したAくんは、⾼校に通えなくなり、社会的なつながりを失ってしまった。お⺟さんがYATAI CAFEのことを聞きつけ、Aくんと⼀緒に訪れたのだ。「お医者さんだというのはすごく安⼼感があった。この⼦は病気をしているので、医療者だったら安⼼してお話ができるかなと思って、初めて寄らせてもらいました」とお母さんは言った。その後、Aくんとお⺟さんは、何度かYATAI CAFEで医師や看護師と話しているうちに外出の機会が増えていった。YATAI CAFEに参加していた社会福祉協議会の職員と出会うことで、地域のいろんな施設にも紹介してもらえるようになった。もともと⾳楽が好きだったAくんは、YATAI CAFEを訪れていたある⾳楽関係の⼈と出会う。それがきっかけで、地域の⾳楽イベントにも通うようになり、生きがいや楽しみを取り戻していった。AくんがYATAI CAFEと出会うことで取り戻したのは、まさに地域との「ゆるいつながり」であり、AくんはYATAI CAFEと出会うことで⾃⾝のウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)を回復させていったと考えられる。YATAI CAFEだけではなく、YATAI CAFEが訪れた多様な場やコミュニティが多層的なネットワークとなり、Aくんを支えていたのだ。移動できるYATAI CAFEだからこそ、ネットワークが作れたのかもしれない。英国では医師が患者を地域の活動やコミュニティとつなげる「社会的処方」が行われている。YATAI CAFEの取り組みはまさに社会的処方といえるのかもしれない。

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(YATAI CAFEは移動しながら、地域の多様なコミュニティと関係を作る)


●小規模多機能な公共空間

このように、YATAI CAFEは「健康無関心層へのアプローチ」「ソーシャルキャピタルの醸成」「医師-患者関係の変化」「専門職連携」など、多様な役割を持つ。いうなれば、「小規模多機能な公共空間」である。明らかな健康課題をターゲットとする課題解決型ではなく、地域の資源を活用しながら、人々がウェルビーイングとなる要因を強化する健康生成論的なアプローチだからこそ、活動していくうちに見えてくる役割が多くある。明確な目的を持たずアート的に行う活動だからこそ、思いも寄らない結果が見えてくる。

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小規模多機能な公共空間は関わりしろが多くある。ある人は健康相談にやってくる、ある人は人と話にやってくる、ある人はコーヒーを飲みにやってくる、ある人はコーヒーを入れるために参加している、ある人は屋台に惹かれてよってくる。多様な人が多様な目的でやってくるYATAI CAFEは、偶然の出会いを演出している。YATAI CAFEでウェルビーイングを回復した多くの人もそういった人との出会い、社会関係資本によるところも大きいだろう。

社会は高度化し、一つ一つの機能が分断されている。以前のお寺や教会のようなまるっとおせっかいをしてくれる場がなくなっている。昔のお寺や教会は、宗教というゆるいつながりから、祈りも懺悔も受け入れ、地域住民の悩みを聞き、宿として場所を提供し、子供たちの遊び場にもなる。「あそこに行けば、解決してくれるかもしれない」と期待できる場だった。とりあえず相談してみようという場が減った。機能の分化も要因のひとつだろう。たらい回しされる市役所や病院は縦割りにより、勇気を出して相談しても、受け止める前に、次に回されてしまう。それでは相談しようと思えない。YATAI CAFEは、屋台とコーヒーというテーマで多様な人が集まる小規模多機能な公共空間だからこそ、ちょっとした相談も寄せられている。ちょっと困ったらYATAI CAFEに行こう。YATAI CAFEのような小規模多機能な公共空間が必要なのではないだろうか。人も資源も少ない地方では、空洞化し、人と人の距離感が遠ざかっている。縦割りの相談の場まで辿り着くことは困難である。地方では、特に小規模多機能な場を作る必要があるのではないだろうか。

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(小規模多機能な公共空間としてのYATAI CAFE)

●お金ではない継続する要因

YATAI CAFEは、2022年になっても活動を続けている。コロナ禍になり、回数は減っているものの、活動を継続して6年目になった。仲間は10名程度まで広がっている。参加している医療者にはお金は支払われていない。にも関わらず、なぜ多く人が参加し、活動は長く継続できているのだろうか。

ケアとまちづくりの活動を継続する方法は多くはない。まずは運営できる費用を稼ぐことである。YATAI CAFEの次のケアとまちづくり活動としてチャレンジしたシェア型図書館「本と暮らしのあるところ だいかい文庫」は、一箱本棚オーナーさんを集め、実際にまちに「ある」常設の場を作り、コミュニティナースがいる場所を作った。一箱本棚オーナーの月額会費や本やコーヒーの売り上げからコミュニティナースの給与を払っているエコシステムを作っている。

一方で、YATAI CAFEは全くお金が絡まない。コーヒー豆はお客さんやスタッフが持ち寄り、備品も差し入れがほとんどである。お金が一切発生しない場で、継続できているコツは、まず自分たちが楽しんでいるからではないかと思う。

冬はコタツを出して路上で暖まったり、春は桜を見る会をしたり、新年は屋台で路上で書き初めをしたりした。アート作品に出演させてもらうこともあった。コロナ禍では、うきわを装着して、ソーシャルディスタンスを保つような工夫を楽しんだ。スタッフも人にによって「楽しい」と感じる瞬間は異なる。僕は、本が好きだ。出会った方におすすめの本をすすめることで、「コンテンツ処方」をする場にしている。スタッフの理学療法士は、自分の作ったクッキーで街の人とコミュニケーションをはかる場にしている。

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(コロナ禍でのYATAI CAFE。ソーシャルディスタンスを保つ工夫をした)

屋台で自分の思う楽しいことをやりながら、地域住民の役に立っているという「役割」と「生きがい」を持ち、まちに飛び出す医療福祉関係者の「居場所」にもなっている。やりたいと思うことをやってみて、自分がやれるという感覚を掴んでいく。ケアされているのは、お客さんである地域住民だけでなく、参加している医療者も同じなのだ。だからこそ、YATAI CAFEは継続して活動できているのだと思う。

医療福祉関係者も、地域住民も、様々な人が様々な使い方ができる「ハッカブル(Hack+able)」な装置が屋台である。楽しんでいるからこそ無理なく続けられる。ケアの支援スキルとまちづくりへの興味・関心で人を集めるスキルの結合点がYATAI CAFEなのだ。自分らしさを発揮できる環境が形成されている。

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(屋台に置いた本 会話の中で本を紹介したり、本から話が弾むことも多い)

●全国に広がるYATAI CAFE

今、モバイル屋台de健康カフェ(YATAI CAFE)は全国に広がっている。谷根千から始まり、兵庫県の豊岡市で継続して行われ、今や東京の西国分寺、北九州、福井、富山、静岡と全国各地に実践者が広がっている。どれも家庭医やコミュニティナースが関わっており、病院で待っているだけでなく、地域に出て行ってケアを実践したいと考えている医療福祉関係者だ。彼らが地域に踏み出すにあたって、モバイル屋台は比較的簡単で取り組みやすい。

たかが屋台なのかもしれない。屋台一つでまちの死亡率が変わるわけではない。全国各地で医師不足が叫ばれる中で、医師はこんな活動に時間を費やすべきではないという意見もあるだろう。ただこのような地域に出る医療福祉関係者が少しずつ増えていけば、見える地域の景色も変わってくるのではないだろうか。これからも地域へ出て行く医療者が増えるきっかけとして、モバイル屋台de健康カフェ(YATAI CAFE)が、まだまだ広がっていくことを期待している。


●書を持ってまちに飛び出そう。

屋台を引いてまちに飛び出すのもいい。自分の家の前にベンチを置いてみて座った人と話してみるのもいい。まちへ飛び出し、小規模多機能な公共空間を作ったり、手伝ったりする人が増えていくと少しずつ社会はよくなっていくのではないか。まちへ飛び出す医療従事者の皆さんには、西智弘先生と藤岡聡子さんと書いたこちらの弊書がはじめの一歩としておすすめ。この記事を含むマガジン「ケアとまちづくり、ときどきアート」が書籍化されたものだ。寺山修司は、「書を捨てよ町へ出よう」と言った。今回は、この書を持って、街に出てみてほしい。

noteマガジン版では書籍以外の記事もあります。僕と藤岡聡子さんのおすすめ施設なども多く書いています。読んでみたい方はどうぞ。


●モバイル屋台de健康カフェとの関わり方

参加する
ホームページで随時次回予定を記載しています。月1回程度の開催を予定しています。ご覧いただいた上でご参加ください。スタッフ側で来たい方もまずはご参加いただければ幸いです。

寄付する
皆様からの寄付があれば、だいかい文庫やYATAI CAFEの活動を発展させ、社会的処方の実現のため、活動できると考えています。ケアするまちを一緒に作るお仲間になっていただけると大変嬉しいです。何卒よろしくお願いします。

視察する
視察対応も受け付けています。3名以上で1人3000円から承っております。運営方法やケアとの接点の作り方、関わり方等を含めて、お話ししておりますので、ご希望の方は日時を明記の上、info@carekura.comまでご連絡ください。

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●参考文献

1)谷根千まちばの健康プロジェクトホームページ.<https://www.ynsmachiken.net>.閲覧日2022年1月28日
2)Julianna Holt-Luntad et al. Social Relationships and Mortality Risk: A Meta-analytic Review.Plos medicine.2010
3)西智弘.守本陽一.藤岡聡子.ケアとまちづくりときどきアート.中外医学社.2020
4)孫大輔.密山要用.守本陽一.家庭医が街で屋台を引いたら:モバイル屋台による地域健康生成プロジェクト.日本プライマリ・ケア連合学会誌 41(3), 136-139, 2018

聡子's eye 
そう、「小規模」で「多機能」のとんでもなく魅力的なことは、このもりもんの愛情たっぷりの記事からもう十分なほど伝わってくる。多動なもりもんが、屋台だけはずっとひいている。もしかしたら、ケアに関わる人が必要なことは、もちろん現場ので研鑽もそうだけれど、もう一つ、こうした居場所なんだなと、改めて気づいた。こうして、日々受ける色々な”いびつなこと”も、この居場所で溶かしていっているのかもしれない。「なんでもうまくいかないよ、だけど、屋台で珈琲一杯、どう?ちょっと止まって気持ち満タンにしてきなよ。」はたから見れば不思議な様子かもしれないけれど、これはある種、今の私たちの暮らしに最も必要な”処方”だな、そう思った。

★みんなで「ケアとまちづくり」「ケアとアート」について考えていくマガジンです。コメント欄で毎回、対話していければと思っています。もしよければ、ご自身の意見をコメントください。


守本陽一
一般社団法人ケアと暮らしの編集社 代表理事
1993年、神奈川県生まれ、兵庫県出身。医師。学生時代から医療者が屋台を引いて街中を練り歩くYATAI CAFE(モバイル屋台de健康カフェ)や地域診断といったケアとまちづくりに関する活動を兵庫県但馬地域で行う。2020年11月に、一般社団法人ケアと暮らしの編集社を設立。医師として働く傍ら、社会的処方の拠点として、商店街の空き店舗を改修し、シェア型図書館、本と暮らしのあるところだいかい文庫をオープンし、運営している。YATAI CAFEで、まちづくり功労者国土交通大臣表彰受賞。共著に「ケアとまちづくり、ときどきアート(中外医学社)」「社会的処方(学芸出版社)」など。

購入いただいた方へ

記事無料公開にあたって、これまでそして今回ご購入いただいた方に、YATAI CAFEのソトノバアワードでのポスター発表のPDFを添付します。ご活用ください。またYATAI CAFEのグループにも招待します。以下のキーワードをコメントの上、申請してください。

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