新規上場企業(IPO企業)のビジネスモデル分析をしてみた!〜株式会社サーバーワークス〜
みなさんこんにちは。
ご覧になって頂きありがとうございます。
今回からは、やはり新しいビジネスを創るスタートアップに興味が強いため、マザーズへの上場企業に限定して分析をしていきたいと思います。
ということで、一部上場をした株式会社ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングスさん、日本国土開発株式会社さん、ダイコー通算株式会社さんをSKIPさせて頂きます。
毎度のことながら、間違っている箇所などありましたら、いつでもご指摘ください!
IPO企業分析第6弾!本日は、株式会社サーバーワークスさんです。
※尚、記載の情報は、日本取引所グループの新規上場会社情報に掲載された書類を元に作成しており、投稿日時点での情報ではありません。
「株式会社サーバーワークス」概要
■設立日 :2000年2月21日(上場承認日:2019年2月7日)
※上場承認まで18年と351日
■従業員数 :90人
■本社所在地:東京都新宿区揚場町1番21号 飯田橋升本ビル2階
■市場 :マザーズ
■代表者名 :大石 良
■事業内容:
AWSのインフラ基盤構築、リセール、保守、運用代行
■ビジョン・経営理念:
クラウドで 世界をもっと 働きやすく
主要年間指標(2018年2月期)
■売上 :3,066,175千円
■営業利益 :53,011千円
■経常利益 :38,585千円
■純利益 :179,249千円
■時価総額初値:304億(初値PER136倍)
※以下、新規上場時の有価証券報告書(Ⅰの部)
過去5年間での社名検索回数推移
※比較用のキーワードは、私が大体同じような検索回数の一般用語のキーワードを主観で選定しています。(今回は「運用保守」との比較です)
当然ではありますが、toBのビジネス展開をされている企業の検索回数は、toCビジネス展開企業よりも検索回数が少ない傾向があります。
今回は、かなり領域の近い「運用保守」(一般的に、WEBサービスを提供するためのサーバーの点検、管理等を行う業務)と比較してみましたが、上場後からは、この一般用語と近いくらい検索されているようになっています。
ビジネスモデル概要と図解(独自作成)
サーバーワークス社は、社名からもわかるように、サーバー関連ビジネスを提供しているのですが、特に、AWSというAmazonが提供するクラウドサーバのコンサルティングパートナー<AWSコンサルティングパートナーの最上位であるAPNプレミアコンサルティングパートナー ※日本では9社のみ(2020年5月現在)>となっており、AWSクラウドサーバへの移管業務などを中心に手掛けています。
余談ですが、AWSとは、Amazon Web Servicesという、Amazonが提供している、企業のWEBサービスを支えるサーバー事業です。
実は、Amazonは一般的にはAmazon PrimeやECサイトがよく知られていますが、Amazonの利益の内、約60%はこのAWS事業から生まれています。
サーバーワークス社は、企業のサーバー環境をAWS環境へ移管するサポートを行ったり、運用支援サービスを提供したりしています。
考察
・事業の構成は下記の3つから成り立ち、それぞれが重要な役割を持つ。
①クラウドインテグレーション:クラウド基盤のデザイン、構築サービス(顧客数123社、372,425千円)
②リセール:AWSの再販売(日本円での請求書処理)を「PieCe」として提供。自社サービスの「CloudAutomater(AWS運用自動化サービス)」も無償提供(2,202,435千円)
③MSP:監視、運用、保守(425,358千円)
この中でも、②はストック収益となるサービスであり、この領域を強化することが、安定的な収益基盤となる。
また、その構成を実現する上で、①で顧客を獲得し、②で安定収益を作り、③のアップセルを行う、という事業構成になっていると思われる。※③もストック収益
・特に上記のリセールビジネスは秀逸で、AWSのサービスを利用する際は、クレジットカード課金になっており、多くの企業でまだそのような対応ができていなかったりする。そこでサーバーワークス社は、AWSの支払い代行を行うことで、AWSの利用料に応じて手数料(〜10%)が入るモデルを構築している。
・同時に、「CloudAutomater」を無償で提供し、支払い代行以外の価値提供を強化している。(AWSを利用したことのある方はわかるが、AWSはところどころの説明が英語だったりするため、ここに抵抗感がある企業担当者も多いはず)
そのため、支払い代行の「〜10%」の手数料は、この「CloudAutomater」サービス利用料に置き換えられるようにしていると思われる。
まとめ
今回は、株式会社サーバーワークスさんの分析記事でした!
数年前と比べ、企業のクラウドサーバー依存はますます強くなっており、今後も更に増えていくと思います。それに伴い、クラウドサーバ支援ビジネスの重要性は当然のことながら今後も増えていくことが想定されるため、結果としてこのビジネスは、なくてはならないモデルと言えます。
特に、GoogleやMicrosoft、Alibabaもシェアを増やしていますが、AWSは現段階でクラウドサーバの中では圧倒的なシェアを持っていますので、サーバーワークスさんの需要も今後まだまだ減らないものと思います!
※Canalys社調査(2019年の世界クラウドインフラ市場(支出額ベース))
それでは、また次回!