Y.Ippei

大分県中津市生まれ。2024.4-

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最近の記事

文学はなにをやっているのか:『悲劇の誕生』を手がかりに

会社の飲み会で先週、会社の飲み会があった。私が働いているのは、従業員三十名程度の特許事務所である。うちの事務所では、日常的な会話というものはほとんどなく、飲み会も年に一度あるかないかというくらいだ。 就活の面接でしゃべって以来、私が趣味で小説を書いていることは知られているため、この日もその話題になった(なぜ面接で話したかといえば、フリーター期間の理由づけのためだ)。となりに座る所長が、私にこんなことを言った。 「文学ってなんであんな書き方をするの? ふつうの小説とちがうじ

    • 台湾紀行

      1GW前半に台湾へ旅行した。 行きは4月26日(金)22:10成田発の、ピーチ航空の便だ。婚約者Mとともに、最前左側の席にすわった。正面ガラス越しで、ふたりのCAが終始笑顔でおしゃべりしていた。 深夜に台北桃園空港へ着き、セブンイレブンで悠遊カードという交通系ICカードを買う。私はセーラーマーキュリー、Mはバッドばつ丸のものをえらんだ。ふたりは3:00の深夜バスに乗り、台南のさらに南にある高雄という街へ向かった。 夏の装いで来たがバス内は冷房で異常に寒く、持ってきた服や

      • 「マイ言語」に生きるロラン・バルト:『零度のエクリチュール』論

        はじめに ロラン・バルトの『零度のエクリチュール』は、一九五三年に出版された彼はじめての単行本である(以下『零度』と略す)。ひとことでいえば、文学作品がいかにして価値をもちうるかについて論じた本だ。 「エクリチュール」というフランス語はふつう「書き言葉」と訳される。ジャック・デリダは「パロール(話し言葉)」の対概念としてこの語を導入したが、バルトの場合そうではない。  バルトは、「言語活動においてその言語活動と社会との関係をさだめる層」という意味で「エクリチュール」という

        • note開設にあたり

          私は2022年2月にTwitterで、「力について」というタイトルで連載をはじめた。批評を書きたくて、批評を書くための訓練として、「力について」をはじめたのだった。2021年末にフリーターをやめ就職しているが、時期としてはそれとかさなってもいる。 2年がたった。 そのかんに私生活としては、2022年5月に3年ぶりの帰省(就職して親と和解したため)、同年7月に脳挫傷での入院(以来酒は飲めなくなった)などがあった。2024年1月には、はじめてまとまった量の批評を書きあげた。そ