Road to Success...
今いるところに入り2年経過、3年目を迎えました。
今回のタイトルは「Road to Success」。
Customer Success Manager (CSM) として採用されたものの、微妙な立ち位置であるがゆえに本当にCSMというポジションは必要?と引き続き考える日々で、まだSuccessの道のり途上ではありますが、(自分なりに)必死に頑張ってきた2年間、あとで「こんな時代もあったね・・・」と笑顔で振り返れるようにするためにも、今まで何をしてきたか?をまとめてみることにしました。
※個人の見解としてみていただけたらうれしいです!
※それなりに長めです!
どんな時にJoinしたのか?
売切り型から、サブスクリプション型に切り替えようとしているフェーズでした。売上も売切り型の方が大部分を占めており、サブスクリプションはまだ認知されないくらいの位置づけでした。
もとからサブスクリプション型で展開していたクラウドサービスのCSMとしてJoinしたはずが、オンプレミスのプロダクトのサブスクリプションもカバーするようお達しが…(さすがに最初からオールマイティーにと言われてもすべては難しいので、まずフォーカスするところを決めてやる形にした)
更にCSMも全世界で数十人という新興の組織であり、何をしてくれるロールの人なのか?他の部門の方々にはあまり認知されていないような状況でした。
全体的に、サブスクリプションビジネスも、CSMもこれから・・・という状況でした。
この2年間でやってきたこと
今振り返ると、結果的に自分がしてきたことは
「Renewal に興味を持ってもらうこと」
「Customer Successに興味を持ってもらうこと」
大きくまとめるとこの2点です。
今だから言えることですが、「CSM、何で採用したの??」を結構長く疑問に思って答え探し続けてました・・・笑
おかげさまで、社内外含め、様々な人に出会い、様々なことを学べ、当たって砕けて、得られたことはとても大きな財産になりました。
募集時のJob Descriptionに書かれていた「Customer Success Manager」の仕事をするために、色々やらなければならないことがたくさんあったのでした。。
一番最初にしたこと
CSMの評価の一つに、「自分がアサインされているアカウント全体のRenewal Rateがxx%以上」というものがありました。
ただ、その数値を達成するのがどれくらいの難易度なのか?を最初に見ておきたく、「今、日本全体でどのくらいの数値なのか?」を把握する必要がありました。SaaS企業だと当たり前のようにすぐ出てくる数値ではありますが、周りの人に聞いても出てきませんでした。
なので、入社して一番初めにした仕事は、
・サブスクリプションの契約がどれくらいあるのか?
・Renewal Rateはどのくらいか?
を把握することからでした。
想定外に結構骨の折れる作業の連続でしたが、おかげさまで、データの所在だけでなく諸々の指標の見方などを知ることもでき、置かれている状況を把握するのにはとてもいい機会でした。
ただ、同時に、サブスクリプションはまだ興味を持ってもらえないくらいの状況であることを知り、まだ主力でないのは理解しつつも、現実をつきつけられて若干ショックでもありましたが、募集時のJob Descriptionに書かれていたCSMの仕事をする前に乗り越えないといけない壁がいくつもあることにも気づきました。
「私はどうあるべきか?」を探す旅が突然・・・
CSMのあり方は会社によって異なることは知っていたので、この会社でCSMに求められているのは何か?を理解する必要もありました。
こちらも色々聞きながら進めましたが、あまり時間も経たないうちに、どうやら自分の所属するリージョン全体で、CSMは何だかよくわからない位置づけになっていることに気づき始めました。
CSMというポジションも、もともとは初めからサブスクリプション型で展開していたクラウドのサービスから派生したものであることがわかってきたので、「私はどうあるべきか?」の答えは、クラウドのサービスのCSMをしていた人たちが持っているはず!という考えが出てきました。
ただ、諸事情あり簡単にリーチできなさそうなので、意を決して、CSMイベントに休暇で参加する目的がてら、私が入るときに面接してくれた別リージョンCSMのマネジメントに会いに本社(某国)に行くことにしました。
ちょうどホテルに到着した日の夜、クラウドサービスで予期せぬ出来事が突然起きたと日本からメールがざわざわ。。
そして、たまたまそのタイミングで本社に近いところにいた自分が、状況把握、関係者の把握と諸々の対応をすることになり、本社で仕事する日だけでなく、休暇で参加しようと自腹で申し込んだイベント参加もままならない状態になるという羽目に…
でも、おかげで、プロダクトチームのマネージャーやエンジニア、ローカライズを担当しているチームなど、プロダクトサイドとのコンタクトが一気にでき、日本におけるクラウドサービスのスペシャリスト的な立場に成りあがることができました 笑
このトラブルをきっかけに明るみになった大々的なイベントのためのプロジェクトを進めたり、SalesからRenewalまで幅広く支援し、CSMというよりは「私は何者か?」の認知はしてもらえるようになったと思います。
本来の目的だったクラウドのCSMは、あいにく違うロケーションにいたためにに会うことはできませんでしたが、クラウドのCSMではなかったCSMからも仕事の内容を聞くことができ、何となく形が見えてきました。
約1年後、USにいるクラウドのCSMだった方にも会うことができ、どのようなことをしているのかようやく聞けましたが、入社時に聞いていたらどれだけ苦労せずに済んだことだか…と思ったのと同時に、聞いていなかったなりにも考えてやってきたことは間違っていなかったこともわかりました。
しかし、、
CSMの役割は見えてきたものの、その前提がGlobalから落ちてきている話と、日本における現状がずれているのもわかり、まだまだ苦難は続きます・・・笑
CustomerにとってのTrusted Personよりも・・・
"Customer Success Manager" は、Customer にとって Single Contact Pointであり、Trusted Personであると、GlobalのPlaybookでは定義されていました。でも、実際は、そのどちらにもなれない状態なのでした。。
考えられる理由はいくつかありましたが、主な理由は下記の通りです。
・Globalでは、Salesは売った後のケアにはそれほど時間を割かない傾向にある(売ってしまえばCSMが何とかしてくれるだろうみたいなケースもある)が、日本のSalesはPreからPostまでハイタッチで関わる
・CSMはゼネラリストであることが求められているが、お客様が求めるのは分野にある程度特化したプロフェッショナルであることが多い
・商流がダイレクトでないのがほとんどであるため、中にはSalesですらエンドにコンタクトがあまりないというところもある
でも、
・Salesがケアできていないところこそねらい目
・幸いにも確立してきたクラウドサービスという専門分野
のおかげで、徐々にCSMというか、自分自身の存在が何者なのかを認知してもらえるようになってきたと思います。
状況をみれば使えているところ、使えていないところは、だんだんとわかるようになってきたので、こちらから利用状況を関係者に共有して、プロアクティブに関われるようになってきました。
次第に顧客へのエンゲージも進み、Contact Pointとしてお客様からも認知され、社内からも相談を受けたりするようになり、商流がダイレクトでないお客様へのCustomer Successも、少しずつですが進めていくことができるようになりました。
ただ、いまだにCSMと接点があまりないSalesが担当するアカウントは、協業による成功体験がないからか、エンゲージにも影響していますが、ここは地道に接点を作っていくか、外堀から攻めていくか・・・的なことを引き続き考えなければと。。
CSMのSuccess には、まず社内の人たちの Trusted Personになる必要があることを学びました。
Renewal に興味を持ってもらう
SaaSやサブスクネイティブな世界だと「?」ではあるのですが、Renewal の認知とプライオリティがとても低かったので、ここにも手を入れる必要がありました。
売切り型からの移行期というのもあり、そもそも更新するライセンスのRevenueが少なく、大したインパクトもない状況であり、かつ、同じオフィスで働いている人のほとんどが、Renewalに対するKPIを持っていない状態であったため、CSMと海外にいるRenewal担当以外はRenewal Rateにそもそも興味を持つ必要がなかったのでした。
ただ、Customer Successの成果の一つが更新してもらうことであり、Renewal Rateに興味を持ってもらうことは、CSMの存在意義を理解してもらうためにも必要でした。
そのためにまずやったことは、Renewal RateとChurn傾向を数値で全体に共有することでした。最初は興味持ってみてもらえたものの、残念ながら、次第に反応も少なくなくなりました。
やはり、Recurringの割合が小さく、毎年新規契約でそれなりに潤うんだったら、Renewalに興味を持つ必要もないですよね・・・
そんな孤独な日々が1年ほど続きましたが、翌年、Sales 組織にもRenewalのKPIが課せられるようになり、一人だけRenewalを気にする孤独な日々からようやく解放される形となりました 笑
もう一つ、Renewal に興味を持ってもらうには・・ということで考えたのが、サブスクリプションの契約が増えないことにはどうにもならない!という点でした。CSMという身分でテコ入れするには畑が違うところでもあるので、一時期ロール自体を変えた方がいいのでは?と考えたこともありますが、そうこうしているうちに全社的にサブスクリプションに切り替えてきたので心配する必要もなくなってきました。
こうしてようやく Recurring Revenue にもフォーカスがあたるようになり、2年目の年から、SalesからRenewal担当まで複数の関係者をまきこみ、Renewal Forecastを共有する定期的なミーティングと、Retentionのための活動を行うようにしました。
そのおかげで、だいぶRenewal Rateが改善され、日本単体でみれば一番高いリージョンと遜色ない数値になりました。
「Renewal に興味を持つ」という内容自体は当たり前で大したことのないものなのですが、ボトムアップからのアプローチでは、興味関心が異なる関係者を一つのテーブルに集めることは結構大変でした。少しでも結果が出たことが本当に救いでした。
Customer Success に興味を持ってもらう
Renewal に興味を持ってもらうことができても、Customer Success Managerというロールを機能させるための道のりはまだまだありました。
Renewal の Forecastをしていくようになり、更新するかどうかの意思確認や状況を手続きを行う直前ではなく、半年以上先から更新の可能性があるかどうかを見ていくことができるようになったことで、ある程度のRenewal Rescueができるようにはなりました。
しかしながら、Renewal Forecastからのアプローチでは、ping を打って死活状況を確認することはできますが、Customer Success Managerとしてのロールが機能したというよりはむしろ、Renewal Managerとして機能したにすぎないという面もあります。
ちなみに、募集時に見たときのCSMのJDに書かれていたのは下記のようなもの(もっとありましたが、なるべく短めにまとめたのが下記)でした。
内容自体は、Customer Success Managerというポジションならどこでも掲げているようなものでした。契約し、導入、活用というところまで、ほぼすべてを担うような内容になっていますが、入社当時、CSMのロールとして機能してたのは「5」くらいで、理想と現実のギャップのように見えました。
また、下記の通り、CSMのロールで定義されている役割は、個人差が大分ありますがSalesでもやっている状態であった(表の○に該当するところ)ので、CSMがやらなくてもいいんじゃない?とも理解され、なかなか顧客にエンゲージしてもらえない状況が続きました。
ただ、Salesがやっているといっても、きちんとオンボーディングできているか?をチェックしたり、本当に活用できているのか?を見て適切にアプローチしたり、属人的にならないようにスケールも考えてプロセス化や反復可能な状態にしていくことを考えたりするようなProcess Managementについては誰も手をつけていない状態だったので、ここにフォーカスすることにしたのでした。
でも・・・これがなかなかうまくいきませんでした。
理由は、CSMとはJDに書かれていることをしていくロールの人、というベースが組織に浸透していなかったのもあります。
実は、立上げと聞いてJoinしたものの、実際は同じ名称のロールの人がもう1人いました。その方がやっていたのが「5」のみだったのですが、CSMのチームの成り立ちも、オンプレのTechnical Account Managerと、クラウドのCSMがいっしょになったという経緯があり、そもそもJDの内容自体がCSMの組織内に定着していないのでした。そんな状態だったので、Sales等他の組織にCSMが何をする人なのか理解されていないのもわかるような気がしました。
とはいえ、JDに書かれたCSMとして働くことを期待されJoinしているので、それを実現するにはどうしたらよいのか?を考えていかなければなりません。
色々試してみましたが、一番効果があったのは、Customer Successの世界観を共有できる場所に社内の人を巻き込み、Customer Success(Post Salesの重要性 etc..)を考えていくのがなぜ必要なのか?を感じてもらうことでした。
中でもこのイベント↑↑に出た後、社内の空気が一番変わったと思います。
このイベントに登壇するために本社からCCOが来て、イベント内だけでなく、日本のオフィスの社員に向けにもCustomer Successについて説明してくれたことで、Customer Successに対する目の色が変わったのを感じました。
また、このイベントに一緒に参加した方がCustomer Success界隈では有名な青本を社内チャットで紹介するなど、Customer Successに興味を示してくださるようになりました。
入社して初めて市民権を得たような・・・そんな瞬間でもありました。
中から難しかったら、外から圧をかけていく、、どこかで聞いたことを試してみましたが効果を実感しました 笑
Road to Success はまだ続く・・・
そんなこんなで3年目になってようやくCustomer Success Managerが認知されてくるようになりました。ここはCSMを巻き込んでいかないといけないんじゃないの?とか、CSMにもUpsell/Cross Sellの掘り起こしに貢献してもらいたい、、、入社した時は全然聞かなかったような言葉もちらほら出てくるようになりました。(うれしい・・・涙)
そして会社もサブスクリプションに舵を振り切ったので、これからより重要なポジションになっていくことは間違いなく、市民権を得られただけで満足してもいられず、今度はスケールを見据えて真剣に考えていかなければならないフェーズに入ってきたのかなと感じています。
自社におけるCSMのポジショニングもままならない状態ではありましたが、パートナー商流におけるCustomer Successについても取り組んでいかなければ・・・ということにも気づいていたので、ものすごく手探りな状態で進めることもしてきました。これは2年目になって本社のCSMの組織のトップに日本における課題として話したときに、ぜひ進めてほしい!と言われたことでもありました。
こちらもまだまだRoad to Success の途上ですが、スケールを考える上では非常に重要と考えています。
ここに書ききれない細かいことも色々ありますが、ざっくり書くと、これまでやってきたのは下記のような感じでしょうか・・・
Success のための Tricks & Tips
JDに書かれたことができないじゃん!とショックを受けるだけの人だったら、おそらく早々に辞めてたんだろうな・・・という道のりでしたが、苦しかった分、得られたものもとても大きいと実感しています。
たくさん色々なものを学んできたつもりですが、その中でこれはどこかでも共通していそう!というものをまとめてみました。
● Customer SuccessはCSMだけの仕事ではない
以前より当たり前のこととして世間に広がってきているのでは?と思いますが、Customer Successは組織全体で考えていかなければならないことです。全体で考えられている組織では、自分の組織だけ成功していればOKと考えるのではなく、他の組織の人たちは何を考え、何をしているか、どう動いているかを理解し、それを見越して自分のミッションを全うするという動きをする人が個人のレベルで多くなるのではないかと思います。
● マネジメント層のCustomer Successへの理解が定着・展開の難易度を決める
立場的にはボトムアップで色々とやってきましたが、マネジメント層がCustomer Successに対するビジョンを持っている、CSMに期待していることが明確であるのとそうでないのとで、同じことをやっていても浸透具合に差が出てくるのだろうなと感じました。これまでの経験でも、周りを動かすには上から落としてもらうことが一番効果があったことを考えると、ある程度正しいと実感しています。
● 売切り型からサブスクリプション型への適応は容易でない
従来から売切り型のソフトウェアを展開していた企業も、サブスクリプション型のライセンスモデルにしたり、オンプレからクラウドで提供するサービスに変える過程でサブスクリプション型のモデルに変更するところが増えてきました。
そこで、カスタマーサクセス経験者を採用してサブスクリプション型で展開するところの部分を何とかしよう!と考えているところも見受けられますが、残念ながらそれだけで何か変わることは期待しない方がよいと思います。一担当者が変えられるレベルのものではありません。
サブスクリプション型への移行やCustomer Success 担当者の定着には、売切り型に適応していたSalesやサポート、プロフェッショナルサービス、契約処理、ライセンス発行、その他諸々の組織もサブスクリプション型に適応するように変えていかなければなりません。これまでの慣習、新しいものへの抵抗、マインドセットなどなど、色々なチャレンジが必要です。
みんなが変わることを意識しない限り、適応までの道のりは遠いままで終わります。
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